【沖縄県・那覇市】 那覇:無防備平和条例案の議会審議
   本会議、賛成3名で少数否決 運動の成果を県内各地に!
 10年42号2〜3面
              戦争はイヤです!なは市民の会(那覇市無防備平和条例をめざす会)・事務局長 西岡信之          
 
 沖縄戦で壊滅的な攻撃を受けた那覇市。その地で、無防備平和条例制定を求める運動は、いよいよ1月12−13日の市議会臨時議会審議で結末を迎えた。
 1月11日の「平和の街づくりシンポジウム」と翌日からの二日間の議会審議を報告する。
 まずは、議会審議から。

全国最低の那覇市議会
●傍聴者をたたき出せ!−議場に自民党市議の怒号


 「議会事務局職員に告ぐ、直ちにその傍聴者を退場させてください」「繰り返します。その人もです。そう、その人も」
 本会議場の隣に用意された議会ヒアリング控室に私と請求代表者の池間美代子さんはいた。意見陳述をした後、議場を映すモニターテレビのある控室に通されたのだ。モニターに映し出されるのは議場の演壇付近だけ。議場内は、激しい怒号がとびかっていた。何が行われていたのか、私たちにはわからなかった。モニターは傍聴席や議員席を映し出さないからだ。
 結局、市民の会の傍聴者3名が強制退場させられた。自民党市議らは、机の上をたたき続け、傍聴者に向けて暴言をはき続ける。それを注意するとさらに自民党市議は「こいつらをたたき出せ」と席を離れて議長席につめより、傍聴席に向かって怒鳴りつけていたという。
 最低の那覇市議会だ。自民党市議など保守系議員のモラルも品もない醜態と図体、議会職員は自民党所属の市議会議長のことしか聞かない。傍聴席の市民だけを退場させ、議場内を暴れる自民党市議らは、やりたい放題。
 那覇市議会臨時議会は、1月12日(火)午前10時から開会された。冒頭の議場風景は、二日目の私と池間さんの意見陳述が終わったあとの、自民党市議の条例案に対する反対意見答弁の中で起こった。
反対討論は、自民党市議と共産党市議が行った。自民党市議も共産党市議も、ようするに日本や沖縄が武力攻撃を受けたら戦うということで一致した。
 自民党は、中国や北朝鮮、国際テロ組織など不安定な世界、軍事力で対抗するのは当然。共産党は、占領下でも我が党は命をかけて戦いぬくと声をはりあげた。どうぞ共産党人民軍は戦ってください。この人達には、国際人道法の「軍民分離」で住民を保護することは理解出来ないだろう。
 共産党は、さらに国際人道法のジュネーブ条約は戦争を前提としているので、憲法の理念に相容れないとまで言い放った。また、自民党籍の翁長雄志那覇市長に最大限の賛意を示して市長意見書を歓迎した。自民と共産の呉越同舟議会と言えるだろう。

●委員会付託すら行わず

 本会議だけの審議となり、総務委員会付託も参考人招致も行わなかったために、市民の会からの意見や反論を述べる機会さえ奪った議会運営委員会。
 意見陳述で、沖縄戦の自らの体験を絞り出すように語った元ひめゆり学徒の池間さんの発言にも自民党市議は、ニヤニヤしていたという。市議会最大会派を占める自民党市議たちには、すでに沖縄戦はどうでもいいのだろう。
 一日目の議会審議は、市長意見表明を総務部長が条例案提案説明を兼ねて代読し13分で閉会。市民が署名を集めた直接請求の条例制定の意義を理解しない議員と行政。
 賛成討論をする市議はなかったが、表決は社民党と沖縄社会大衆党の議員で構成される会派「社社連合」の3人が、条例案に賛成で起立したが少数否決となった。
 65年前の沖縄戦で地獄と化した地での無防備平和条例制定を求める議会審議は、これまでの全国28自治体で行われた審議の中でも最も最低のレベルで終わった。

■シンポは大成功  無防備、県内全部やろうや

 いい話に変えます。前日のシンポジウム。
 パネリストには、元沖縄県知事の大田昌秀さんをはじめ前岩国市長の井原勝介さん、前国立市長の上原公子さん、沖縄国際大学教授で条例制定請求者でもある石原昌家さんという顔ぶれ。全員が熱のこもった発言で、プログラムの予定は大幅にくるったが、参加した市民の誰もが満足した。

●上原公子さん
 「地方自治の本旨は、住民の意思。署名を通じて市民が請求することの重大性について耳を傾け、敬意を払い、審議するのは行政と議会の責務。無防備条例が理解できない議員と役人の改革が必要」

●井原勝介さん
 「市民の安心安全を守るのが市長の仕事。政権交代したが外交防衛はあまり変わっていない。自分たちで守る無防備運動は究極の平和運動で、基地に囲まれた沖縄にこそ必要な運動」

●石原昌家さん
 「請求代表者の就任は二つ返事でOKした。1970年から沖縄戦を研究し、何千人と聞き取り調査をしてきたからこそ、この運動が必要と思った。地域別沖縄戦戦死状況を見てほしい。軍隊と住民が混在した場所で住民の被害が圧倒的に多い。中部も南部も同じ現象。有事法制と国民保護計画で戦争体制がつくられようとしている今こそ無防備運動で地域から反撃が必要」

●大田昌秀さん
 「バルト海のオーランドは島嶼地域。国際連盟は、軍隊のない非武装地域にして自立を実現させた。行政の仕事は市民の命と暮らしを守ること。戦前、首里城には23の国宝があった。京都のように米軍は首里城を攻撃しないと決めていた。しかし、日本軍が首里に布陣したため、攻撃され灰燼(かいじん)に帰した。無防備都市も那覇から始めて県内全部でやろうや」

 大田元知事が、県民の前で一時間近くも話したのは久しぶりだ。元知事からの無防備運動へのお墨付きで、議会への意欲は高まった。
 議会審議結果は、前述のとおり。今後、那覇市から県内の各地に無防備を広げいきたい。

      1/11「平和の街づくりシンポジウム」より     上原公子さん講演要旨 
                                          
10年42号4面
                       
 
   
 ●自治体を自分の町にする−地方自治の本旨とは何か

 行政は、住民の意思で行政の運営をしていくということです。憲法の前文にある「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように」とは、政府は間違うことがあるということ。それを正すのは主権者である皆さん。国民が主権者であることを明確にするためにこの憲法はできている。
 皆さんの住む町で、道路がおかしいよとか学校が最近荒れてるとか、そういうことから実は政治の問題は見えてくる。基本的人権、国民主権、平和主義という憲法の三原則を自分達が実感を持って、主権者として変えていく場所は自治体です。だから憲法92条で地方自治の本旨に基づき運営をするとあるのは実はものすごく大事です。皆さんが意思を持たなければ実は自治体は、権力を持っている人の言いなりになり、皆さんが意思をもって初めて自治体が皆さんの町になる。だから物を申して条例を制定させるという直接請求運動がとても重要なんです。

 ●平和的生存権を具体的に充填する無防備運動

 一昨年の4月に、名古屋高裁判決の中でイラク派兵違憲の判断が出ました。その中で、「戦争の準備行為等によって個人の生命、自由が侵害され、また侵害の危機にさらされ、あるいは、現実的な戦争等による被害や恐怖にさらされるような場合、また憲法9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には、平和的生存権の主として自由権的な態様の表れとして、裁判所に対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請求等の方法により救済を求めることができる」と言っている。戦争の準備行為に対して言って良いということ。これまでは、平和的生存権は抽象的概念として具体的権利として認められていなかったのを覆して、「憲法上の概念はおよそ抽象的なものであっても、解釈によってそれが充填されていくものであること」として、平和も具体的に充填していきなさいと。このことは、無防備運動で、ジュネーブ条約第一追加議定書58条で予防措置(軍民分離)があり、活用しようと言ってるが、それは戦争の準備行為に関して我々は協力しない、平和的生存権で巻き込まれない権利をもっているから具体的にそれを充填・活用しようと言われたのです。まさに、無防備平和条例はそうだ。国際法で具体的に法的にやっていくのだから。だから、この判決を使って、我々が具体的にやることが大事です。
 だから今回の那覇市長の平和宣言があるから無防備平和条例はいらないと言っていることは、駄目。宣言はいくらでもできます。具体的に法律で担保するようなものを作らないと。地方で言う法律とは条例なんですから。平和宣言したなら、法律・条例をつくりなさいと皆さん言っていいわけです。

 ●ただちに軍民分離を!市長は覚悟持ち市民を守れ

 憲法9条があるために、日本中、戦争をしないことを前提にまちづくりが進んでいる。だから、町の重要なところに基地が混在している状態は、国際人道法・ジュネーブ条約追加議定書の軍民分離原則に違反しており、ただちに分離しないといけない。基地の中に沖縄があるということは、どうぞ攻撃していいですよと言っているに等しい。平和的生存権がないがしろにされている。平和的生存権は未来永劫、不可侵の基本的人権です。それをずっと我慢して来たのですから、ここで頑張らないとどうする。市長の仕事は覚悟を持って、市民の生命財産を守るというとですから、やらせましょう。
  
 関西・首都圏で集会・学習会開催
          名護市長選勝利は、基地拒否する沖縄県民の総意
 10年41号5面
                                                                
 
 日米安保改定から50年を迎えた2010年。普天間基地を撤去し辺野古新基地をつくらせない展望が開けた情勢に応え、1月15日(金)関西、1月16日(土)首都圏で集会や学習会が開催された。

 関西集会は、無防備全国ネットと平和と生活をむすぶ会、ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)の3団体が呼びかけ、80人が参加した。
集会では、SDCCの蜷川義章さんから「基地移設でなく、撤去で〜ジュゴン保護区を」と題して基調講演がおこなわれた。97年の「みんなで決める」名護市民投票に始まった座り込みやジュゴン保護等13年にわたる闘いが、辺野古新基地建設を許さず基地撤去の力を作り上げていることが報告された。また、普天間所属の海兵隊の大部分がグアム移転を予定している米公文書の存在やマスコミが大合唱する「日米同盟危機」は、「二次的問題」(1/8ナイ元米国防次官補)であり、つくられた「危機」であることが明らかにされ、2010年が正念場であることが訴えられた。集会では、辺野古現地から名護市議・東恩納琢磨さんのビデオメッセージや、無防備全国ネットから那覇市無防備運動の報告も行われ、名護市長選へのカンパが訴えられ、基地撤去へ署名などの運動を強めることを確認した。
 翌日には、東京都内で無防備首都圏ネットとSDCCの共催で、「幻想の島沖縄」の著者ジャーナリストの大久保潤氏を講師に学習会が開催された。講師は、今、沖縄に海兵隊を置く理由・根拠はない(嘉手納基地も不要)。脅威論、地政学などを持ち出して海兵隊を置く必要性を語る「専門家」はいるが、どのような事態のために、どんな作戦・行動のために必要だ等と、具体的に語る人はいない。米国が、海兵隊を使わざるをえないような戦争をアジアで起こす可能性は低い。また「脅威」(北朝鮮のミサイル等)に「西洋医学」的(MD等)に対処するのではなく、「東洋医学」で対応する(信頼醸成措置を講ずる等)、ということが必要だと、普天間移設が不要であると語った。首都圏ネットからは、署名などの運動強化を呼びかけた。

 ●提案された行動

・「普天間基地閉鎖・全面返還」「辺野古新基地建設中止」「ジュゴン保護区」を求める全国署名を広げよう
・名護市長選挙勝利支援、「普天間は基地はいらない・新基地建設は許さない」1・28大阪、1・30中央集会に参加し、取り組みを進めよう
・10月名古屋で開催される「生物多様性条約締結国会議」に向け「国際ジュゴン年」の取り組みを成功させ、辺野古に「ジュゴン保護区」を実現させよう
・「東アジア共同体」構築に対応する安全保障の枠組みをつくろう〜戦後補償実現、日朝国交正常化のための運動に取り組もう
・沖縄・本土で無防備地域宣言運動をさらに広げよう

 名護市長選勝利は、基地強要拒否する沖縄県民の総意

 1月24日投開票された、名護市長選挙で「辺野古の海に基地はつくらせない」と訴えた稲嶺進氏が当選しました。この勝利は、これ以上の基地強要を許さないとする沖縄県民の総意がもたらしたものであり、辺野古新基地建設中止から普天間基地無条件撤去の流れを大きく加速させるものです。無防備全国ネットでは、この流れを全国から作り出すため、15日の集会を期して平和と民主主義をめざす全国交歓会が呼びかけた普天間基地撤去の署名を大きく広げることを呼びかけます。

   【東京都・日野市】市政と議会の変革めざし、市議選に立候補
                  国際人道法を活かして平和のまちをつくる!
                                   ひの・平和で安心して暮らせる町をめざす会 有賀 精一   10年42号6面
  
 無防備平和条例の直接請求運動に取り組んだ全国各地の市民は、条例案の議会審議を体験し、市民の声を平然と踏みにじって恥じない自治体議会の変革する必要性を痛感しました。06年4月直接請求署名に取り組んだ東京都日野市では、有賀精一さんが議会の変革と国際人道法を活かした平和のまちづくりをめざして、2月21日投票の市議会銀選挙に立候補します。有賀さんに、その決意を投稿していただきました。

 ●市民の声を受け止めない議会に怒り

 日野市で無防備・平和条例直接請求署名に取り組んでから4年が経とうとしている。当時、議会審議を見るにつけ、市民の声を受け止めようとしない審議内容と議員の態度には怒りを覚えた。
 無防備地域宣言の運動は平和運動であるとともに、地方自治体の市政・議会を変えていく市民自治を取り戻す運動だ。本来、自らの生命と財産を守ることは最も自分たちにとって大事な問題であるはずだ。けれど、防衛・外交も絡む難しい問題ととらえてしまう向きも多い。つまりこの問題は日常生活での意識が向きづらい課題と思い込まされている。
 軍隊や基地が自らの生活を脅かし、日常生活に介入してくるまで分からない。
 昨年、沖縄県那覇市で行なわれた無防備平和条例の直接請求署名に応援に行ったが、私が経験した無防備運動直接請求署名の取り組みの中では、一番市民の反応が良かった。沖縄戦の経験、現在も軍事基地の被害をもろに受けている県だからでもある。
 しかし翻って、今日の時代状況を考えると、今私たちは非常に恵まれた状況にあるといえる。それはグローバリゼーションの進展である。もちろんグローバリゼーションは貧困・格差を生み出す元凶だが、地球市民を一体化させる。環境問題も重要な課題になっている中で、この世で一番無益な戦争こそ地球環境を破壊する最大の悪である。

 ●国際人道法を活かして平和の町をつくる

 私たちはまず、戦争をしない社会をつくらなければならない。グローバリゼーションは、世界の市民の手でそれが実現できる環境を着々と準備していると私は「勝手」に解釈している。国家の縛りを断ち切り、偏狭なナショナリズムを克服すれば、世界の市民は必ず平和のために団結する。
 こんなイメージをふくらませ、地域から平和への歩みを一歩一歩進めるつもりである。
 私は、2月14日告示の日野市議会議員選挙に立候補する。もちろん、国際人道法(ジュネーブ条約)を活かして平和の町をつくる運動も政策に掲げている。外交・防衛を国任せにせず、市民が積極的に関わり、つくっていく。

  【無防備地域宣言運動への疑問に答えます 】
 Q:地方議会で可決されるのは無理なのでは?
 Q:攻められることを前提にしている?
 Q:国際法は高い理念だが機能しないのでは?
             10年42号7面
 無防備平和条例の直接請求運動は、29自治体を数え市民の平和の声を草の根から掘り起こしている一方で地方議会では条例は否決が続いています。こうした状況の中で、平和学習を取組んでおられる方から、無防備地域宣言運動に対して疑問の声が寄せられています。これに答えるとともに、これまで以上に、この運動を強化していきたいと思います。

 ■疑問の要旨 

 この条例案は地方議会で可決されることは無理である。この運動に現実味がない。日本は攻める立場であり、攻められることを前提にして地域の安全を図ることは不要である。無防備地域があったとしても国際紛争があれば守られない。国際法は高い理念だが、機能しないと思う。

 ■私たちの立場 

1 この無防備地域宣言運動は、改憲して自衛隊を自由に海外派兵できる「普通の軍隊」にしていく戦争国家路線が強化されているからこそ、その対案として憲法前文や憲法9条の条文を曖昧にせず、それを体現する地域を具体的につくっていく運動です。武装せず、軍隊をいれず、交戦することを認めないことで、市民の命と安全を守るのです。
 そのために、国際人道法ジュネーブ諸条約第一追加議定書の軍民分離原則を活用し、平時に軍隊のない地域をつくることを目的としています。万が一、戦争がおこったら、殺し殺される必要のない無防備地域の規定を活用し、無防備に徹することで市民の命と安全を守ろうというものです。

2 従って、無防備運動は「攻められることを前提」にしておらず、攻めて行こうとする戦争国家への対案であることは一目瞭然です。また、「国際法は守られない」については、米軍などの違法な爆撃で国際人道法が蹂躙されている事実はあります。一方、米軍は誤爆を「付随的被害」と称したり、ことあるごとに「ジュネーブ条約は遵守している」と言っているのは、国際人道法を無視できないからです。「国際法を高い理念」として飾っておくだけでは、法は機能しません。平和を望む世界の人々が声を上げ、行動することで法を守らせることができます。
 要は戦争と暴力を否定し、国際人道法の遵守と法の支配による平和の構築に力を注ぐ立場が求められているのです。「国際法は守られない」という論理は結局戦争犯罪人を免罪する論理になってしまいます。

3 たしかに現状では議会で可決させることは困難ですが、これは無防備条例だけの問題ではありません。原発、基地撤去など数多くが困難に直面しています。では、これらの運動は現実を直視してあきらめろというのでしょうか。主権者である市民が声を上げ、その力で民主的多数派を形成し、行政・議会を変えていく取り組みを続けることで、実現の可能性を作り出していくことが必要ですし、そういう運動なのです。不可能と言われた基地を撤去させた沖縄県読谷村の取り組みのように。