自治体で波状的に原発停止・廃止議会決議を集中しよう
                         自治体当局に脱原発施策を進めさせよう
                           
                      無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局  11年59号2面 
       
  北海道の泊原発3号基の営業運転を政府・北海道知事は容認した。この容認は安全審査は旧基準・ストレステストなし、地元無視、道民・国民世論無視というひどさであった。3・11以降では初の営業運転再開であるが、この泊3号基も来年春には定期点検に入る。また同2号基は8/26に定期検査入りし、全国で稼動している原発は残り13基となった。来年春へ全原発の停止の闘いの構図は変わっていない。
 この間にも、福島原発の作業員が急性白血病で亡くなり、「福島の子ども、半数近くが甲状腺被曝」(政府調査 8/18朝日新聞)、原発関連シンポジウムの「やらせ」問題で政府が玄海、伊方、浜岡、川内等8件も関与していたことが明らかになった。まさに政府の原発推進政策はでたらめの一言である。

 原発は直ちに停止、再稼働阻止を運動スローガンに、秋の取り組みを進めよう!

 全国の自治体で波状的に原発停止・廃止議会決議、意見書採択、首長声明を集中しよう。自治体当局に除染などの汚染対策措置、安全協定の締結、PPS(特定規模電気事業者)からの電気購入をはじめとした脱原発施策を進めさせよう。自分の生活する地域から測定運動を進めよう。放射能汚染を可視化する取り組みとして大きく広げ、自治体に命を守る独自施策を取らせよう。自治体独自の線量測定を求めよう。学校・園での遊具などの施設・給食・水などの放射能汚染対策を求めよう。放射能汚染震災廃棄物処理受け入など止めさせよう。
  2011全交大会(東京)分野別討議発言報告  
                                                11年59号2面~3面     
   
 7月30日〜31日に東京で開催された第41回平和と民主主義をめざす全国交歓会の第3分野別討議(地域から原発即時停止・廃止へ 運動の交流と廃止への工程表)での発言のうち、自らの居住地の自治体をどう変えるかに絞って報告します。
(紙面の関係上、極めて限定的な要約となっています。この文責は全て全国ネット事務局にあります)

 布施哲也さん(反原発自治体議員・市民連盟共同代表)
  主体である市民が社会をつくる

 放射能から命を守ることが必要。現実の重さの中で、自治体の長もこの連盟に参加してきている。TPP環太平洋経済協定も根っ子は同じだ。企業は「外国に出ていくぞ」と脅している。発想の転換が必要だ。錯覚がある。
主体は、市民・住民だ。逆転さることが必要だ。層としての市民が主体なのだ。では各論に入ると、具体的にはどうするのか。
 1つは、測定運動だ。
 2つは、原発推進の理由が核武装のためであることを明確にすることだ。
原発は儲かる。金がかかる。金が大量に流れる。裾野が広い。自動車、住宅、電力・原子力に共通した特徴がある。マスメディアが果たしている悪い役割も影響しているが、正しいだけでは駄目で理解されない。
 電力会社から電気を買わない運動が必要だ。政府機関も防衛庁を除いて、安いPPSから買っている。具体的にPPSから買うことができるし、そのおことが力になる。東電がPPSを買い占めている現状を奪い返すことが必要だ。PPSに変えると1~2割は安くなる。

 北野進さん(石川県珠洲市議会議員)
     自治体を変える闘いの強化を

 珠洲と志賀原発の2つある。珠洲原発は計画段階にあり、動いているものの停止とは違うかもしれない。どういう土俵を作っていくかが大事だ。建設、運転、安全、すべてが国の一元管理となっている。3電力会社とのけんかだけではかなり難しい。
 珠洲市では2つの予定地がある。土地と漁業権を押える、地元首長を押える、狭く仕掛けてくるだろう。土俵を珠洲市全体に広げる必要がある。地権者のみの切り崩しをやってくるだろう。自治体の中での住民合意を土俵にして闘ってきた。
 志賀原発は、1号機がトラブルで、2号機が定検で、3月11日の少し前に止まった。再稼働をいかに阻止するかが課題だ。周辺自治体で闘いを仕掛けていきたい。 
 第1に、原子力防災計画EPZが10Km圏に限定され、蚊帳の外におかれていること。第2に安全協定が志賀町と石川町の2つが当事者であり、内容、目的もばらつきがあり、北陸電力と2町との間で結ばれていること。これらを10Km圏を超える自治体にまで広げろ!の声をあげていきたい。
 1993年稼働の志賀原発は、防災計画をつくった。「訓練するまで動かすな」の要求に対しては、住民参加の避難訓練ということで、学芸会の発表のようなシナリオ通りの訓練が実施され、石川県は2年に1回の訓練が実施され、既成事実をつくられ、許してしまった。今の防災計画で住民は守れないことを明確にしたい。5Kmの距離にあるオフサイトセンターは機能せず、大丈夫なのか?という問題がある。10Km圏の問題、オフサイトセンターの問題を抱え、さすがに再稼働まではできない。20、30、50Kmと見直し決議が集中している。

   安全協定の対象と中身の拡大を

 このうねりを頭から切り捨てないことが大事だ。安全協定は、電力会社に要求可能であり、距離には関係がない。トラブル時の通報、立ち入り禁止、再稼働時の事前協定を10Km圏外から声をあげていく必要がある。北・西の能登半島先端にある2町は、能登半島根本にある志賀原発で事故がおこれば、海か空しか逃げる所がないことが心配。陸路は途絶えてしまう。安全協定の目的には、周辺の安全確保しかなく、県民の命を守る記載がない。2007年の臨界事故隠しで、「信用できない」の声があがった。対象と中身を広げることが大事だ。
 議会の対応は、石川県はかなり変わってきた。金沢方面も無関心だったが、色んな声があがり、裾野を広げる基盤はある。3000人集会で市民の動きは確実に広がっている。食品、環境に対するお母さんの関心も高まっている。自分が住んでいる自治体をどう変えていくかが重要だ。

  石丸初美さん(玄海原発プルサーマル裁判の会原告団長)
   直接請求から裁判へ主婦の闘い

   核の平和利用はあり得ない

 5年前にプルサーマルは危険なものだ、と主婦10名が立ち上がった。素人の主婦だ。4人の子どもがいる。核のゴミが佐賀や全国に大量にあることを知り、驚き、身が震える思いがした。3月11日以降、再稼働を何とか阻止したい、と考えてきた。原発そのものが実験台なのだ。核の平和利用はあり得ない。子や孫や動物に犠牲を押しつけることが福島で実証された。何としても、止めなければならない。そう考えて、主婦が集まりプルサーマルを止めさせるために住民投票を成功させようと06年に立ち上がった。

   直接請求否決もあきらめない

 玄海原発プルサーマル賛否の住民投票直接請求は、53,191筆という法定数の14,000筆を大きく上回る署名を集めた。しかし、それは議会であっけなく否決された。判断権はない、日本は間接民主主義だ、が否決の理由だった。2度とやるまい、と思うように仕向けていることが良く分かった。プルサーマルは刻々と近づいてきた。あきらめることはできない、とポスティングを続けた。2009年に日本で初のプルサーマルが導入された。玄海、伊方、福島第一の3ヶ所で行われるようになった。しかし、何も言わないのがプルサーマルだ。六ヶ所も大きな危険がある。やらせメールで知事は謝ったが、それですむ問題ではない。
 裁判は2つ闘っている。2010年8月9日の本訴は、プルサーマルに不具合、不良品があること、核のゴミ問題が未解決であること、だからやめてほしいと訴えている。3月11日は第2回公判の最中だった。プルサーマルを止めるに絞っていたが、原発はすべてやめてほしい。原発やめろ!に切り替える方向だ。
 市民の運動とは、普通に生活し、働き、食べ、笑って、泣いて、子を産んで、と些細なことを言っているだけだ。それなのに、強引に電力会社の船に乗せられている。何とかしたい!嫌だ!と一人ひとりが声をあげるしかない。子どものため、と思えば踏ん張れる。情報を共有し、継続することだ。電気より命が大事だと訴えたい。
  【京都府向日市】原発廃止・議会変革を訴え市議当選 
  【枚方市】市長選挑戦 
     
                                        11年59号4面

 【京都府向日市議選挙】
  議会変革と原発廃止訴え、杉谷さん当選


 7月17日投開票の京都府向日市議会選挙で、「市民のために働く議会に」「原発は絶対ダメ」と訴えた杉谷伸夫さんが初挑戦で628票を獲得し当選した。無防備運動からは、4月の枚方市の手塚隆寛さんに続き2人目、無防備平和条例直接請求代表者としては初めての議員の誕生だ。
 向日市では06年秋に取り組んだ無防備平和条例直接請求は有権者の1割を超える署名を集めたが、議会は市民の願いを 無視して否決した。それ以降も、09年JR向日町駅改築の多額の借金計画に反対する請願を提出。市民の声を集め計画を止めた。また、税金の無駄遣いに反対して住民監査請求にも取り組んだ。こうした取り組みを踏まえ、杉谷さんは、定数4削減で20議 席を23人が争う少数激戦に挑んだ。
 杉谷さんは訴えのポイントは、議会変革と原発廃止だった。「市民議会変革と原発廃止だった。「市民のために働く議会に」では、議員の働きはすべて公表することを訴えた。「市民が使いやすい市役所に」で は、相談窓口を1つにと福祉総合相談窓口の設置を要求した。「原発は絶対ダメ! 放射能から子どもを守れ」の訴えでは給食の食材チェックを自治体に求めた。
 「市民参加でまちを変えよう」の訴えは杉谷さんがかかわった市民運動の切実な経験から生まれたもので、それは確実に市民に届いた。杉谷さんの議員としての活動はこれからであるが、「議会のこれまでの不透明な取り決めは、やめさせていきたい。」「原発廃止へ取り組む」と決意を新たにしている。

 【大阪府枚方市長選挙】
  談合NO!原発NO!訴え市長選挙闘う


 「平和で豊かな枚方をつくる会」では、4月の市議会議員選挙に続き、市長選に挑戦した。枚方市では07年4月に4選を果たしたばかりの中司市長(当時)が談合罪で起訴され辞職。同年9月に再度市長選が行われた。その選挙に、大田候補は4月に続き出馬し、「談合NO!平和がいちばん」を訴え、2万6千票あまりを獲得した。その後の活動を踏まえてのチャレンジであった。 
 04年の枚方市での無防備平和条例直接請求の中心を担った大田候補は、「無防備はわたしの原点」として「談合政治NO!原発廃止、4年間で1億円の市長報酬半減」を訴え、市民から多くの激励を受けた。結果として当選に至らなかったが(8937票)、「会」では、今後も市政変革へ取り組む決意である。
  【沖縄から】  ピース・ナウ沖縄戦―無戦のための再定位」刊行へ
                            有事体制に抗する無防備平和運動の意義―再確認
         
無防備地域宣言・沖縄ネットワーク 事務局長 西岡 信之 11年59号5面
 
 石垣での右翼勢力の台頭

 昨年の中国漁船衝突拿捕事件以降、とりわけ拿捕事件の舞台となった石垣市で右翼勢力が台頭してきている。
 最近では、「新しい歴史教科書をつくる会」系の自由社や育鵬社の教科書採択をめざす動きがある。 
 石垣市は、昨年3月の中山義隆保守市政の誕生を背景に、右傾化が急加速。保守市政で選任された玉津博克教育長が、規約の手続きを踏まず教科書採択協議会の調査員を任命し、教科書選定作業での調査員による順位付け方式を廃止した。教育長らの教科書採択協議会が暴走し、県教育庁からの指導も無視、連日のように県内の教育関係者が玉津教育長に「つくる会系」の教科書を採択しないよう要請行動が続いている。

 沖縄戦史実を改ざんした「つくる会」教科書

 今回も教科書記述で問題となっている点が、1945年3月の慶良間諸島における強制集団死についての部分だ。
 「つくる会」系の教科書は、〈沖縄戦の開戦を4月に〉して、3月の強制集団死自体が存在しなかったかのように改ざんし、さらに〈米軍の猛攻で逃げ場を失い、集団自決する人もいました〉という記述を使うことに対して、県民の多くは、[日本軍の関与によって引き起こされた]もので、沖縄戦の史実を歪曲は許されないとする反対意見があがっている。
 沖縄戦から66年が経過しているにも関わらず、沖縄戦の記述に関する教科書検定問題や強制集団死をめぐっての裁判が、なぜこれだけ数多く何度も繰り返されるのだろうか。右翼勢力の台頭に対して、「沖縄戦の史実の歪曲は許されない」だけでいいのだろうか。

 沖縄戦認識の画期的な本を刊行

 繰り返される沖縄戦の歴史認識が確定されない問題を完全に解明した画期的な本が9月に出版される。沖縄国際大学の平和学の担当教員4名(石原昌家、安良城米子、渡名喜守太、私)が共同執筆した「ピース・ナウ沖縄戦―無戦のための再定位」(法律文化社)だ。強制集団死をめぐる問題、なぜ「集団自決」という表現がだめなのか、靖国合祀取消裁判など沖縄戦をめぐる戦後66年間の闘いの総括がこの本の中に凝縮されている。一読するだけで、これまで学んできた沖縄戦の認識が180度転換し、沖縄戦に関するすべての疑問が解決するだろう。

 無防備運動の優位性の確認

 これだけ執拗に権力側が沖縄戦の事実を変えたいのは、日本を再び戦争が出来る国にしたい国防族など戦争屋たちの狙いがあるからだ。沖縄戦の教訓と言われる「軍隊は住民を守らない。そればかりか作戦のためには住民をも虐殺した」事実は、権力側にとって、あらたな戦争体制=有事体制を構築していくためにはどうしても消滅させたい汚点のひとつなのだ。この本によって、教科書問題などを引き起こす権力側の狙いが理解出来るとともに、それに抗する対案として無防備平和運動が提起されている。
 日米軍事一体化が強化され、「防災・災害救援」を口実にして有事体制がどのように現在進められているかを分析し、それに地域から抗する取り組みとして無防備平和条例制定運動がある。県内マスコミ各社にも「防災会議」への参加が呼びかけられるなど、着々と有事体制は水面下で進められているが、武力ではない平和の作り方、軍隊も武力も基地も原発もいらない無戦社会をめざす無防備平和運動の優位性を改めて再認識するだろう。
  【国連人権理事会】 平和への権利 世界キャンペーンその⑤                                            東京造形大学教授・無防備全国ネット共同代表 前田朗   11年59号6~7面  

 専門家協議会

 八月七日、ジュネーヴ(スイス)郊外のグランサコネの丘にある宗教改革:センター・ジョン・ノックスの会議室で「人民の平和に関する専門家協議会」が開催された。主催はスペイン国際人権法協会、世界キリスト教協議会、平和への人権国際監視団。 
 参加者は、左記の発言者以外に、人権理事会諮問委員会のメンバーからベンゴア委員、ユセイノフ委員、そして新たに選出されたばかりのボワソン委員、スペイン国際人権法協会のダヴィド・フェルナンデス・プヤナ、世界キリスト教協議会のクリスティナ・パパゾグロ、笹本潤、塩川頼男(以上、国際民主法律家協会、IADL)及び筆者である。筆者は国際人権活動日本委員会(JWCHR)の資格で参加した。 

 冒頭に、国連人権理事会諮問委員会の平和への権利作業部会長のモナ・ズルフィカー(エジプト)、スペイン国際人権法協会会長のカルロス・ビヤン・デュランがあいさつをした。
 第一報告は、ヴォルフガング・ハインツ(ドイツ)「平和への人権宣言草案における権利の担い手と義務の担い手」。ハインツは諮問委員会平和への権利作業部会の報告書担当責任者で、4月の「進展報告書」を執筆し、今回その訂正版「進展報告書」において、「人民の平和への権利国連宣言・草案」を提案している。NGOレベルでルアルカ宣言、ビルバオ宣言、バルセロナ、宣言、サンティアゴ宣言などが続いてきたが、国連公式機関では初めての宣言案をまとめたのがハインツ委員である。
 なお、サンティアゴ宣言は、笹本潤・前田朗編『平和への権利を世界に』(かもがわ出版)に翻訳を収録している。また、本年四月に公表されたハインツ委員の「進展報告書」は、前回ごく簡潔に紹介したが、反差別国際運動(IMADR)が編集中で本年秋出版予定の著書に翻訳を収録予定である。 
 第二報告は、アルフレド・デ・ザヤス(アメリカ)「人民の平和への権利宣言草案への修正意見」。ザヤスは元国連人権機関の専門家で、現在はジュネーヴ外交国際関係大学教授である。人権高等弁務官事務所が二〇〇九年に開催した平和への権利ワークショップのパネラーであり、ビルバオ宣言の起草にもかかわった
 第三報告は、カルロス・ビヤン・デュラン「義務と履行」。資料として、デュラン教授の最新論文「平和への人権--スペイン市民社会による立法イニシアティヴ」(スペイン国際法年報に掲載予定)が配布された。ほとんど知っている内容だが、やはり運動の仕掛け人本人が書いた現段階でのまとめの論文なので、経過がよくわかる。
 デュラン教授とプヤナ氏を、ゴールデンウィークに日本にお招きする予定で準備していたが、福島原発事故のためキャンセルになった。改めて12月訪日の相談を始めたところである。

 諮問委員会発言

 翌八月八日、パレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で、国連人権理事会諮問委員会第七会期が開会した。初日の午後に、平和への権利を巡る審議が行われた。
 筆者(国際人権活動日本委員会、JWCHR)は、NGOとして、作業が進行中の平和への権利国連宣言起草に関連して、発言した。 
発言前半は、二〇〇八年四月一七日の名古屋高裁判決の紹介である。本年三月の人権理事会の際にも同じ発言をしたが、平和的生存権に関する日本の情報が知られていないので、もっと積極的に紹介していく必要がある。

 ピースゾーンをつくる人民の権利

 発言後半はピース・ゾーンについて、日本で取り組んでいる無防備地域運動、二七ある軍隊のない国家、フィンランドのオーランド諸島を例にして、「ピース・ゾーンをつくる人民の権利」を訴えた。
 この言葉は、発言の二時間ほど前につくった言葉である。「ピース・ゾーンをつくる人民の権利」。短い中に、軍隊のない国家と軍隊のない地域、憲法九条と第一追加議定書五九条、国際人道法と国際人権法を組み込んだ発言だったので、スイスの平和運動家クリストフ・バルビーが「最高の発言だ」と喜んでいた。
 
 国連公式機関で初の無防備言及

 今回、諮問委員会という国連公式機関で初めて無防備地域宣言について発言した。もっとも、具体的な中身について触れることはできなかった。ピース・ゾーンの一つとして無防備もありうると指摘しただけである。
 また、発言中に「周知のように、世界には軍隊のない国家が二七ある」と述べているが、必ずしも「周知」ではない。日本でも世界でも、まだまだ知られていない。中味をよく知っているのはバルビーと筆者くらいだ。また、「フィンランドのオーランド諸島」をピース・ゾーンの例として取り上げたが、欧州の委員は知っていても、それ以外の委員はあまり知らないかもしれない。
  
 集団の権利、人権としての平和

 さて、諮問委員会の審議では、最初にハインツ委員が「進展報告書」(A/HRC/AC/7/3)のプレゼンテーションをした。報告書には、人民の平和への権利国連宣言の最初の草案が収録されている。これまでずっと議論が行われ、NGOはいくつもの宣言を発表してきたが、国連の公式機関レベルで草案がまとめられたのは今回が初めてである。草案は全一四条。NGOのサンティアゴ宣言からいくつも取り入れられているが、多くが削除されている。
 委員、政府、NGOの発言の中心となったのは、第一に平和への権利の性格、第二に手続き論・入口論、第三に監視メカニズムの設置問題である。
 第一に、平和への権利の性格。個人の権利だけでなく、人民、集団の権利としていることに批判が続いている。アメリカ政府や日本政府は、権利は個人のものであり、集団の権利は認められないと言う。しかし、人民の自決権、発展の権利、環境権など、すでに集団の権利はいくつも認められている。
 第二に、手続き論・入口論。平和問題は人権理事会で議論するテーマではなく、安保理事会マターであるというのが中心である。アメリカ、EU、日本がこう考えている。これに対して、坂元茂樹委員が、世界人権宣言二八条を手掛かりとして、平和な国際秩序は世界人権宣言ですでに対象とされていたのであって、現在いっそうのこと人権としての平和を議論するべきであり、人権理事会で取り上げるに相応しいと発言していたのが印象的であった。
 
 日本政府は反対

 なお、日本政府は人権理事会でも諮問委員会でもこのテーマについて一度も発言せずに反対投票してきた。反対理由が不明であったが、七月に東京で開かれたNGOと外務省の懇談の場で、集団の権利問題や、平和は人権理事会ではなく安全保障理事会のテーマだ、といった理由を示したという(筆者は参加していないので、又聞きであり、正確にどのように述べたかはわからない)。
 第三に、監視メカニズム。従来、監視メカニズムは条約でつくるものであって、宣言では履行や監視のメカニズムは設置できないという問題である。NGOは監視メカニズムをつくれと主張してきたが、ハインツ草案は、監視メカニズムについて議論を継続するべき、というにとどめている。
  今回発言した政府は、アメリカ(反対意見)、ボリビア、キューバ、パキスタン、コスタリカ、アルジェリア、ウルグアイ、モロッコ(以上、賛成意見)であった。従来からの発言の繰り返しであった。
 NGOは、国際平和メッセンジャー組織(カルロス・ビヤン・デュラン)、国際人権サービス(アルフレド・デ・ザヤス)、国際人権活動日本委員会(筆者)、国際民主法律家協会(笹本潤)、国際良心・平和税(デレク・ブレット)が発言した。
 
 来年6月理事会で本格的討議

 八月一二日、ハインツ委員が提出した決議案が全会一致で採択された。これにより、次回の諮問委員会第八会期(二〇一二年二月予定)にハインツ委員が次の報告書と宣言案を提出し、そこでの議論を経て、人権理事会第二〇会期(二〇一二年六月予定)において本格的討論が行われる。
     【吹田市議会】8月市議会で普天間移設撤回決議採択
     【7/12大阪】無防備全国ネット第8回総会開催 
        11年59号8面   
  
 【吹田市議会】8月市議会で普天間移設撤回決議採択
    
 「平和なまちづくり吹田ネットワーク」が請願していた日米合意撤回意見書が8月12日(金)の吹田市議会で可決されました。市民派議員の奮闘と民主や公明も賛成。反対は吹田維新の会など。
 原発震災の陰で、名護市議会の会派へ政府の切り崩しが執拗に行われています。しかし、民意は、6月沖縄県議会で仲井真知事に「県内移設反対」と初の反対表明を行わせ「外交・防衛は、国の専管事項ではなく、基地などの問題は、当然地元自治体や住民の意向も反映されなければならない」(6・29)と発言させました。こうした中での意見書の可決は、非常に意義のあるものです。全国の議会でさらに運動を。

 【7/12大阪】無防備全国ネット第8回総会開催 
  
 7月10日(日)、大阪市内で開催した。総会で講演した曽我逸郎・長野県中川村長は「中川村全村挙げたTPP(環太平洋経済提携協定)参加反対デモを人口の8~9%参加で成功させた。基礎自治体こそが住民の命を守る。原発には手を染めてはいけない」と語った。総会では、「非暴力・自治・軍民分離で非戦のまちづくり」をめざしてきた無防備運動を、原発を廃止し命と人権、平和を守るまちづくり運動として強化していくことを決めた。