北海道・上士幌町、福岡市で原発廃止へ直接請求 
       市民の力で自治体・議会での脱原発施策の確立を
                           
                      無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局  11年60号2面 
       
 
 1 原発廃止へ 各地で起こる直接請求

 いま各地で、反原発・脱原発を自治体から進めていくために直接請求権を活用した運動が進行している。
 北海道・上士幌町では、「原発いらないまちづくり条例」の直接請求が行われ、有権者の約2割の署名を集め、9.21に町選管に提出,10月中に議会で条例案審議の予定である。(詳細3面参照)
 福岡市では、「福岡市が玄海原発の再稼働の拒否権をもつ安全協定を九州電力と締結すること」及び「こども病院の人工島移転」についての是非を問う住民投票条例直接請求運動が開始された。(10/3~11/3 法定数2万3千筆 目標4万筆)

 2 原発廃止の運動の局面

 原発廃止の運動は、野田政権の登場により新たな局面に差しかかっている,野田首相は明確に原発再稼働を打ち出した(国連演説、施政方針演説等)。また、避難準備区域の解除、除染の「推進」により住民・子どもの避難に歯止めをかける動きも強まっている,
 このような中で、いま運動側に求められているのは、引き続き、①停止中の原発の再稼働を阻止する闘いを現地―全国を結んで強化していくこと、②子どもを放射能から守るため汚染地域から避難させるとともに、避難した被災者への補償を実行させることである。
 この課題の実現のためには、野田政権と電力会社に対する社会的圧力を強めていくことが必要である。その点で、野田政権・電力会社が伊方原発3号基、志賀原発2号機、大飯原発3号基などをはじめ再稼働を目論んでいる情勢にあって、11.11第2波経産省包囲行動、12.11行動を大きく成功させることが必要である。それと共に上士幌町や福岡市の直接請求運動は積極的な意義を有している。

 3 直接請求運動の意義

 この運動の意義は、①原発をめぐって当該自治体内で広範な議論を起こすことにより、原発の停止・廃止に向けての世論を形成していく一大契機となる、②原子力の「安全」、エネルギー供給・消費のあり様をめぐり、自治体、住民が当事者意識をもって考え、権利として自己決定する(註)、③大事なことはみんなで決める―住民の生活、平和、権利等に関わる重要な事項は、住民(国民)がその決過程に関わり民意に基づく地方自治を確立する、ことにある。
 
 4 自治の力で原発再稼動阻止・廃止を!

 こうした意義を持つ直接請求運動に協力し成功させよう。また、自治体当局に再稼動反対の立場を取らせる要請行動を行おう。自治体議会で再稼動反対決議を採択させよう。食品全品検査を自治体に行わせよう。放射能ガレキの受けいれに反対し、放射能汚染から子どもたちをまもろう!自治体当局に除染などの汚染対策措置、安全協定の締結、PPS(特定規模電気事業者)からの電気購入をはじめとした脱原発施策を進めさせよう。

(註)06年、チェルノブイリ事故から20年目に、EU地方自治体会議は、「スラブティッチ・アピール」を採択し、加盟国自治体に勧告した,このアピールでは、原子力の安全に関して行政の5原則を規定―〈ⅰ〉政府の責任、(ⅱ)地方・地域自治体の不可欠な役割、(ⅲ)地域住民の連帯、(ⅳ)透明性と情報、(ⅴ)関係者の関与と協議,この中で、「最前線の地方・地域自治体が住民を守る」、「原子力管理は国や地域、行政上の制限に縛られず等しい立場で対応する」等が謳われている。

  【北海道上士幌町】
   脱原発へ普通の市民の力を結集 条例成立へ奮闘中!ご支援を! 
         かみしほろ5000本のひまわりの会/直接請求代表責任者 秋田裕夢 11年60号3面     

  3/11の東日本大震災とそれに続く福島第1原発事故は、遠く離れた道東の小さな町にも大きな衝撃をもたらしました。
当初は私が東北出身者ということもあり、宮城県へ支援物資を運ぶための町民有志の集まりでしたが、有志の一人である町内医師が、過去に健康被害調査のためにチェルノブイリ近郊へ足を運んでおり、今回の原発事故による甚大な健康被害への危惧が高まりました。
 北海道では北電のプルサーマル計画が進捗中でもあり、いつしか町民有志が会合をもつようになり、原発の速やかな停炉・廃炉を望む署名活動や、町民への原発および放射能被害について啓蒙活動を行ってきました。
 
 普通の市民にできること たどり着いた直接請求

 しかしながら、通常の署名は請願でしかなく、意思表示をしても実際に国や行政を動かす力としては実効性が乏しいことは否めません。かといって政治的に力を持たない普通の町の住民はそれ以上何ができるだろうかと考えた末にたどり着いたのが「直接請求」でした。

  脱原発依存の町が国を変える

 原発に依存しないまちづくり条例を自分たちの住んでいる町に制定することができるなら、それがいつか都道府県、そして国の進む方向を変えていく第一歩になる。そんな思いで取組みました。
 まずインターネットで条例請求をするための直接請求の仕組みと、全国の市町村の条例(ほんの一部ですが)を調べ、一人でも多くの町民に賛同していただけるような条例案作成と事務手続きの準備をはじめました。町有志の自然集合的グループでしたので、直接請求をするにあたって「かみしほろ5000本のひまわりの会」(由来はひまわりの持つ平和的イメージと町人口約5200人から)として行動することと決め、条例案その他の文言や署名簿の作成において法的な不備がないよう担当窓口と協議を重ね、約1ヶ月半かけてようやく署名活動を開始するに至りました。
 
 有権者の2割の署名

 直接請求に必要な有効署名数は有権者の50分の1以上です。上士幌町の場合4,362人(2011.9.1現在)ですので87人以上集めれば請求は認められますが、なるべく多くの賛同を得ようと目標を有権者の1割、できれば五百人として活動を開始しました。
 署名期間が1ヶ月という制約の中、代表者3名、委任者9名の計12名で戸別訪問を中心に実施し、最終的に有権者の2割近い846人(有効数で830~840人と推定)分の署名を集めることができました。
 
 道東の町から全道、全国へ

 上士幌は泊原発からの距離も遠く、直接自分たちの問題としては実感しづらい場所でありながら、直接請求のための署名活動で、町民の多くが、原発や放射能に対する危機感を持っていることがわかりました。次世代が安心して暮らすための町づくりや、電力のあり方を見つめ直すきっかけにはなったのではないかと思っています。
 国や自治体に頼るのではなく、住民が「原発いらない!」という意思表示をしていくことが必要なのではないでしょうか。原発から比較的遠い、道東の小さな町が投じた小さな一石かもしれません。しかし、その波紋が泊原発近隣の市町村はじめ、全道、そして日本中の自治体に広がっていくことを願っています。
※10/11に署名有効数835と確定。議会は11月上旬予定。

町長へ賛成意見書、議員へ可決の要請を全国から!
■上士幌町総務課アドレス soumuka@town.kamishihoro.hokkaido.jp
■議会事務局アドレス  gikai-jimukyouku@town.kamishihoro.hokkaido.jp
■上士幌町役場(総務課)  FAX 01564-2-4637
 【兵庫県宝塚市議会】沖縄県内移設反対請願趣旨採択  
            野田政権の辺野古新基地建設推進にSTOPを
     
                                        11年60号4面

  宝塚市議会で昨年から「継続審査」(ほとんど実質審議なし)が続いていた「沖縄請願」(沖縄県において明確にされた普天間基地の県内移設反対・撤去の住民意思を尊重し、 国の政策立案・実施に反映することを求める意見書の提出及び決議を求める請願)が、9月26日の総務常任委員会で「継続審査」が少数否決され、「趣旨採択」が多数で可決した。続く10月13日の本会議で、同じく趣旨採択された。
 委員会では陳述人が、沖縄で起こった事件の数々を具体的に述べて「これは人権の問題」と訴えた。この意見陳述内容をどの議員も否定できず、2時間にわたる論議の中で、「意見書や決議は国に出さない」という条件で「沖縄の思いを尊重するぎりぎりの判断をする」ということで、自民・公明・民主系議員も含めて「趣旨採択」に賛成することになった。その結果、意見書も決議も上げない「趣旨採択」となったが、日米同盟強化・辺野古新基地建設推進の野田政権の現在の状況から見て、意義のあるものとなった。
 宝塚市では、足掛け2年にわたって「継続審査」が繰り返され、請願の出し直しを2回も行って、粘り強く採択を求めてきた結果として、とうとう多数の議員が「否決」も「継続審査」もできずに「趣旨採択」に持ち込むことが出来たのだ。これは、先頭に立っていただいた大島議員をはじめ紹介議員5人のご尽力と、やはり800名を超える請願署名(うち300名程度の沖縄出身者の署名)の力が大きくものをいったと言える。
 
 琉球新報が尼崎・吹田両市議会意見書報道 さらに声を!

 10月10日付琉球新報で「尼崎、吹田市議会が意見書 普天間移設『県内反対民意尊重を』」と両議会の意見書を詳しく報じた記事が掲載された。
 野田政権成立以降、日米同盟強化・辺野古新基地建設へ、沖縄担当相、防衛相、外務相と相次ぎ訪沖している。こうした状況の中で県民の意思を無視した新基地建設を許さないため、全国の自治体で引き続き議会決議に取り組み、普天間基地撤去・辺野古新基地建設反対の声を大きく広げよう。
※吹田市議会意見書は8面に掲載
    【資料】京都府向日市議会意見書         11年60号4面
  9月27日、京都府向日市議会で、杉谷議員や共産党との共同提案で「原発撤退意見書」が可決された。全文は以下の通り。

  原子力発電からの撤退を求める意見書  2011/9/27 京都府向日市議会

 福島第一原子力発電所は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、1号機、2号機、3号機がメルトダウンを起こし、現在その収束の道筋さえ見えない深刻な事態に陥っている。この過酷事故によるおびただしい放射性物質の汚染により、福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内の「警戒区域」、ならびに半径20キロ圏外の「計画的避難区域」に指定された住民は、住み慣れた家、職場を追われ、故郷に帰れる見通しもなく、苦痛な避難生活を送っている。
 向日市は、14基の福井原発からおよそ65キロに位置し、また府営水の水源となっている日吉ダムは、約35キロ圏内となっている。私たち向日市民にとっては、この過酷事故は決して他人事ではなく、現在避難せざるを得ない人々の心情を思うと誠に忍びなく思う。原子力発電所は、多重防護による対策が取られているから過酷事故は起きず絶対に安全だという「安全神話」が完全に崩壊したことにより、福島第一原子力発電所の事故発生以来、日々原子力発電所事故に対し不安と危険を覚えている。
 よって向日市議会は、福島第一原子力発電所の過酷事故を教訓に、子孫にこのような不安と危険を残さないために、国においてエネルギー政策の抜本的な転換を図り、期限を定めて原子力発電から撤退することを強く求める。また、その期限に至るまで、このような過酷事故による危険を二度と起こさないため、原子力発電所の安全確保に充分な措置を新たに取るよう、国に対し次の通り要望する。
                   記
1 期限を定めて原子力発電から撤退し、代替エネルギーに転換した新たなエネルギー政策を定めること。
2 原子力発電所の安全を確保するため、30年を超え高経年化している原子力発電所の運転の延長を認めないこと。
3 原子力発電所にかかる緊急時計画区域(EPZ)を初めとする安全基準の抜本的な見直しを図ること。
4 原子力発電所周辺地域の防災対策の確立を図るために、国の責任において地域の安全対策として、避難道路や避難施設等を早急に整備すること。
5 原子力安全・保安院はより一層原子力発電所の安全の確保を図るため、原子力利用を維持する経済産業省からの分離・独立ならびに権限強化を行うこと。
6 放出された莫大な放射能から住民と子どもの命と健康を守るため、環境や食品の放射能測定、除染、その他あらゆる方策を全力で講じるとともに、放射能汚染の状況、放射性廃棄物の処理等について、十分な情報公開を行うこと。
  【沖縄から】  教科書・自衛隊…軍事力依存勢力の浸透の封じ込めを  
         
無防備地域宣言・沖縄ネットワーク 事務局長 西岡 信之 11年60号5面
 
 来月に北海道との運動交流

 那覇市の無防備平和条例制定をめざす署名運動開始から、10月10日で二周年になります。2010年1月13日の市議会で条例案を否決された以降も、那覇市の請求代表者や受任者を中心にして、2・3カ月に一度程度のペースで、拡大幹事会を開催し、情勢学習や今後の県内での無防備運動の展望などを話し合っています。
 そうした中で、無防備地域宣言をめざす札幌市民の会共同代表の森啓さんが、沖縄大学の自治体学会や読谷村役場、名護市議会などの招請で沖縄に来ることになりました。那覇市の署名運動では、来沖がかなわなかった森先生ですが、ようやく沖縄に来ていただけることになりました。11月13日、森先生と私たち無防備地域宣言・沖縄ネットワーク幹事会との交流会を持ちます。自治体学、行政学に詳しい森先生から再度、無防備運動の意義や北海道の動き沖縄の動きを楽しく交流したいと考えています。
 
 八重山の教科書問題

 さて、無防備平和運動や沖縄の平和運動にとって、今大変なことが沖縄で起こっています。
「軍隊は住民を守らない」という沖縄戦の教訓も、無防備運動のひとつの重要なキーワードです。「軍民混在」の戦場であった沖縄戦は、米軍の猛攻撃で多くの県民の犠牲を出しましたが、友軍と呼ばれていた日本軍は、県民を守るどころか、食糧を奪い、避難していた壕を追い出し、沖縄の言葉で会話をするだけでスパイとみなして虐殺し、そして強制集団死まで強要しました。
 そうした教訓によって、軍隊も基地も武力もいらない、米軍も自衛隊もいらないという無防備運動に結びつくのですが、八重山への自衛隊配備、日米軍の一体化強化という動きが急速に進められている中にあって、八重山の教科書選定問題がおこりました。国のためには自らの命を差し出す殉国死を強いる教科書を選定させようという組織的な動きが展開され、政府民主党もその方向で動いています。
 
 メールで竹富町教育長を脅迫

 ところが問題はそれどころではないことが明らかになってきました。自民党、立ち上がれ日本=日本会議、沖縄護国神社・波之上神宮(靖国神社)、勝共連合=統一教会、幸福実現党などが一体となって、教科書選定で暗躍していたばかりか、沖縄国際大学の政治学の芝田秀幹教授が、つくる会系教科書選定に反対した竹富町の慶田盛安三教育長に脅迫メールを送っていたことが判明しました。「本学(沖国大)の授業では貴殿を『沖縄のヒトラー』と位置づけて、徹底的に批判していく」と脅していたのです。芝田本人も脅迫メールを認め、大学はホームページで謝罪したが、それで問題は解決しません。

 沖縄戦の史実捏造の講義開始

 2011年度後期の「女性と社会」の講義に、元自衛官幹部の恵隆之介を非常勤講師に採用させると、これまでの沖縄戦の史実までも180度逆転の捏造した内容の講義を開始しました。今年6月には「尖閣・沖縄を守ろう!全国学生連続フォーラム―沖縄の安全保障を考える学生の集い」を開催し、すでに恵隆之介を講師に迎えていたのです。幸福実現党や勝共連合の学生を組織的に大学に入学させ、昨年4月の過激派系自治会をつぶさせたのもその一環だと言われています。
 
 軍拡勢力の動き封じ込めを

 沖縄の民主・平和・人権運動がこうした動きに気が付かなかったばかりか、軍事力依存勢力側が組織的に動いているのとは対照的に、まとまっていない課題をつきつけられていると思います。沖縄国際大学の他の平和学担当教員をはじめ沖縄の平和運動の総力をあげて、こうした動きを封じ込めることが緊急に求められています。
  原発稼動拒否権としての原子力安全協定の締結を                                            無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局    11年60号6~7面  

 8月に「関西広域連合」や滋賀県と16市町が関西電力に「協定」を申し入れた。また、北海道泊原発を巡り札幌市、浜岡原発を巡り藤枝、焼津、袋井、磐田の4市が、柏崎刈羽原発で上越市、愛媛県伊方原発で八幡浜市、石川県志賀原発で七尾市、羽咋市、中能登町が、福井県2府5県で構成する関西広域連合のほか、福井県内の小浜市、若狭、越前、南越前各町の1市3町で作る協議会も表明。京都府内全26市町村と連名で、隣接する福井県内に原発がある関西電力に要望書を提出。島根原発(松江市)から20~30キロ圏内に入る米子市と境港市を対象に含めて島根県が中国電力に要請。水戸市、笠間市などが茨城県に対して東海原発と協定を結べるよう要請した。(※毎日新聞記事等より)
 これに対し、電力会社は「国による原子力の安全性の検討や防災計画の見直しなどの動きを見ながら検討したい」などと回答している。

 1.原子力安全協定とは

 ①法的権限のない自治体の実務的契約

 現行法においては、原発施設の安全に係る規制権限は、国が一元的に管理しており、原子力防災関係(原災法第32条による立ち入り質問調査権)を除いて自治体には法的権限がない。しかし、現実には原発の運転再開等に際して、関係自治体の了解が必要となっている。そこには、自治体と電気事業者との間で締結している実務的契約としての「原子力安全協定」がある。

 ②各地の安全協定の内容(共通項)と締結主体

 各地の協定の内容(共通項)は、・施設の新増設する際の事前協議・事前了解、・放射性廃棄物の放出量規制、核燃料物質等の保管管理、・環境放射能や温排水の調査・測定及びその公表、・異常時や平常時の通報・連絡
・燃料等の輸送に関する事前連絡、・自治体による状況確認・立ち入り調査及び措置要求、・関係委員
会や会議等の設置、・事業者による損害補償、・請負業者も含めた事業者の品質保証活動などがある。
 締結主体は、電気事業者と立地県及び立地自治体である。例外として浜岡原発(静岡県・御前崎市+牧之原市、掛川市、菊川市)や敦賀原発(福井県・敦賀市+越前町、若狭町)では隣接、隣々接自治体の一部が締結主体となっている。

 2.運転再開時の事前了解と安全協定の問題点

 ①実質拒否権として行使可能な「事前了解」

 運転再稼動時の事前了解は、原子力安全協定に明確な規定はない。(新潟、青森、福井の安全協定では自治体からの協定に基づく措置要求で停止した原発の運転再開について事前協議を定めている。)
 しかし、実際には施設の新増設する際の事前協議・事前了解が、原発の再稼動の事前了解に準用されている。その手続きは、様々である。担当部署や議会全員協議会、議会特別委員会での審議やシンポジウム・公開討論会などを経て首長が決定するなどがある。ただ、最終は首長の判断であり、議会での検討やシンポジウム・公開討論も「やらせ」がつきまとう。再稼動の事前了解も「明文化」されているわけではないが、この事前了解がないと現実として原発は運転再開ができず、現状は不十分であるが実質「拒否権」として行使可能なものとしてある。

 ②安全協定の問題点

 一方で、安全協定は多くの問題点も持つ。
・県と立地自治体しか締結できない。⇒原発事故で被害をこうむる可能性のある圧倒的多数の住民が、立地自治体でなく隣接自治体にいる場合(玄海~玄海町は人口6700人、中心部が原発から15キロの唐津市は約13万人。福井の小浜市も大飯原発から10キロ圏内に人口の半数が住むが隣接自治体の立場、など)もある。にもかかわらず、隣接自治体は法的権限はおろか、協定に基づく何の権限も持っていない。
・「再稼働の事前了解」について基準もなく、明文もない。そのため、首長の判断にゆだねられている。
・県や国での原発にたいする安全審査等でも要求すべきだが、自治体レベルでも事故の際に現実的避難ができない場合は運転を認めないなどの安全審査基準が全くない。
・立地自治体及び周辺市民の意見を正確に反映させるシステムが皆無である。
・電気事業者にとっては、「地元地域・自治体との信頼関係構築~安全の証」「かくれみの」の側面がある。
・自治体側の課題⇒安全協定を機能させるための自治体のチェック機能の向上~原発村でない知見の活用等。

 3.市民の要求を突き付け、拒否権発動できる安全協定の締結を推進しよう

 以上から、現在の原子力安全協定の締結という仕組みは、原発の安全性確保のためには不十分である。しかし、これを活用する必要はある。

 自治体の拒否権として明文化を

 原発建設は確かに「国策」ではあるが、自治体が受け入れを拒否し、建設認可や再稼働の了解を出さなければ民間企業としての電力会社が強制的に建設や稼働することはできない。その意味で自治体は、実は「国策」としての原発に対する強力かつ最終的な「権力」と「権限」を持っている。それを協定の「拒否権」として明文化する意味は大きい。

 すなわち、電気事業者にとっては、地元地域・自治体との信頼関係構築~安全の証」「かくれみの」として活用したいのであろうが、自治体がこの協定を活用し、周辺自治体も含めて締結しより権能を強化していけば確実な「原発稼動拒否権」を持つことになる。

 その方向について
 ①立地自治体だけでなく希望する
 すべての自治体で締結。

 ②新増設や再稼働の事前了解は首長の判断で決めることなく、明確な基準を整備。特に住民の避難計画を含む防災対策を自治体がとれるかを稼働の安全審査対象にすべきであり、その担保を協定に盛り込む。

※米原子力規制委員会(NRC)並の権限を…米ニューハンプシャー州で完成したシーブルック原発は、隣接するマサチューセッツ州当局と数自治体が避難計画作成への協力を拒否したため、運転が認可されず廃炉となった。その理由は、10万人以上の海水浴客を避難誘導することは不可能、電力会社の避難計画は浴びた放射能を洗い落とす施設を義務付けていない、身体障害者の避難対策を特別に配慮していないというもの。州の担当者は「本当に事故が起きるかどうかという問題ではない。市民の安全は、最悪の事態を予測して準備すべき」と地方自治の優先を重んじた。(以上 山崎隆俊「生き残れない『原子力防災計画』」)

 ③市民の意見を首長の決定 (行政処分)に正確に反映させる。原発の安全性という失敗の許されない特別な事項については、適正手続の保障の要請は何をもっても代えられないほど高く行政法上必要である。→広域的な住民投票に類する制度(住民投票に類して、住民が1票の権利を持つ原発再稼働審査投票など)などが考えられる。

 ④運転状況の常時監視や抜き打ち検査などの安全確保の強化と自治体のチェック体制の強化。

 以上を手掛かりに、市民が主人公であり主権者であることを前面に出した原子力安全協定の改定と締結の拡大を要求していこう!
     【資料】吹田市議会 普天間移設撤回意見書
    
                                      11年60号8面   
  
   米軍普天間飛行場移設問題についての意見書

 平成22年(2010年)5月28日、日米両政府は、沖縄普天間基地についての共同発表を行った。その内容は、再び名護、辺野古への新基地建設の強行を表明したものとなっている。これに対し、沖縄県議会は「この共同発表は、「県内移設」反対という沖縄県民の総意を全く無視するもので、しかも県民の意見を全く聞かず頭越しに行われたものであり、民主主義を踏みにじる暴挙として、また沖縄県民を愚弄するものとして到底許されるものではない」と批判し、全会一致で米軍普天間飛行場移設の日米共同発表の見直しを求める意見書及び同決議を可決している。そして、同年10月15日には、名護市議会においてもその見直しを求める意見書が可決されている。その後の沖縄県知事選挙でも、再選された知事は新基地建設に反対の意向を表明した。
 
 地方自治の本旨は住民意思を実現することであり、外交や安全保障も、その本質は国民の幸福を実現することにあり、この根本にあるのは、やはり住民の意思に他ならない。明確に示された住民意思を尊重すること抜きに、地方自治の発展と住民の幸福を実現することが難しいことは明確である。沖縄では日本に復帰して39年を迎えた現在においても、米兵による様々な事件、事故が続いている。戦後65年間一貫して過重な基地負担を強いられている沖縄県民に思いをはせるとき、沖縄県民の意思を尊重すべきことは当然である。

 よって、本市議会は政府及び国会に対し、米軍普天間飛行場移設問題について、さきの沖縄県議会、名護市議会等の意見書を尊重されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。