原発を問う民衆法廷第二回法廷(大阪)開催
    「大飯・伊方原発を再稼働させてはならない」
           「国は再稼働妥当の決定の撤回を」決定
  12年62号2面~3面 
       
 
 4月15日(日)、大阪市内で「原発を問う民衆法廷大阪法廷」が開催された。
この民衆法廷は、2月25日(日)に東京で福島事故の東電と政府の刑事責任を問い開催され第一回法廷に続く、第二回法廷として、関西電力、四国電力などを被告として、原発再稼働は犯罪であることを明確に民衆の手で裁いたもの。

  再稼働禁止を決定

 この法廷は、野田政権が大飯原発再稼働方針を決定し、14日に枝野が福井に入り、県知事、おおい町長らに会い、再稼働承認を求めるというタイミングで開催。
会場満杯の300人が詰め掛け、若狭・伊方現地での最前線で闘う方々と、現実の稼働差し止め裁判の水準を結集し、判事団から、「関西電力、四国電力に再稼働及び調整運転の禁止、国に対して再稼働決定の撤回と再稼働させないこと」など8項目にわたる決定(民衆法廷決定2号)が下された。

  司法を動かすのは市民

 総括陳述をした代理人の井戸謙一弁護士(志賀原発差し止め判決を下した元金沢地裁裁判長)は、「脱原発を進められなければ、福島の方たちに申し訳ない。再稼働を進める政治を止めるのは司法で、司法を動かすのは市民。日本を変えるかどうかの正念場。」と述べた。
  参加者の心捉えた陳述

 美浜町の松下照幸(森と暮らすどんぐり倶楽部)さんは、「関西電力・保安院の耐震偽装」を告発し、福井県庁で断食中に法廷のために訴えた中嶌哲演さん(ビデオ陳述)、四国伊方原発の現状を立地や地域破壊から訴えた近藤誠さん(伊方原発反対八西連絡協議会、元南海日日新聞記者)、福島の現実と郡山から大阪への避難の苦難を訴えた萩原ゆきみさん。そして、放射能の恐怖と再稼働反対をせつせつと訴えた佐野宏美さん。
 そのどれもが、傍聴者のみならず判事団、代理人団、アミカスキュリエ(法廷の友~被告弁護役)の心をとらえた。

  地震だけでない問題を提起

 本法廷は、証言(証言者:山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)さん「立地の危険性と地震に耐えられない原発」、山崎隆敏(元越前市議、サヨナラ原発福井ネット代表)さん「若狭の原発立地の危険性」)によりストレステストの嘘と若狭の地震に耐えられない原発の姿を明らかにした。
 また、意見陳述により、原発は、地震による過酷事故の招来だけでなく「大都市消費地に対する国内植民地たる立地地域」(中嶌哲演さん)に汚染や骨肉の争い、原発マネーによる分断と民主主義破壊など多岐にわたる問題があることを端的に示した。これは、次回の大坂法廷(6/17)で一定の憲法判断とともに、検証され決定として判断をくだされる予定である。

  原発立地地域でも廃炉要求

 四国の近藤さんからは、3/12に愛媛商工会議所連合会が「伊方原発3基の再稼働反対と廃炉」を表明し、たこと(3/13毎日新聞)、さらに旧伊方町地域の匿名投票では6割が原発反対であった、というニュースも披露された。
 また、山崎隆敏さんからはおおい町で、原発交付金を使用した事業に「地域振興にならない」として4人の町議が反対した、こんなことははじめてということも報告された。確実に立地地域でも地殻変動が起きている証だ。

  運動の確信を深め後押し

 民衆法廷は、単なる「法廷劇」ではなく、現実の運動と連携し具体的に運動への確信を深め後押しして行くものであることが明確になった。
次回の5月20日郡山法廷、6月17日大阪法廷、7月15日広島法廷を連続して成功させ、原発廃炉の大きなうねりを作り出そう。


   【資料】

   原子力発電所を問う民衆法廷・決定第2号
                    2012年4月15日・第2回公判
一 主文
1.関西電力は大飯原子力発電所1号、3号、4号機、美浜原子力発電所1号、3号機、高浜原子力発電所1号、4号機について、再稼働及び調整運転をさせてはならない。
2.四国電力は伊方原子力発電所1号、2号、3号機について、再稼働及び調整運転をさせてはならない。
3.国は、前2項の原子力発電所を再稼働させてはならない。国は、2012年4月13日に行なった大飯原発3、4号機再稼働の決定を撤回するべきである。
4.国は、福島第一原発事故の原因を解明し、二度とこのような事態を招かないようにするために、十分な調査を行い、十分な情報公開を行ったうえで、あらゆる知見を集約して原子力政策を抜本的に見直す作業を進めるべきである。
5.訴外・西川一誠福井県知事は、大飯原発の再稼働に同意してはならない。
6.訴外・時岡忍おおい町長は、大飯原発の再稼働に同意してはならない。
7.福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県の各知事は、関西電力保有の原発群の安全性判断のために、共同して、原子力安全専門委員会を設置するべきである。同委員会委員は、電力会社等から研究費・助成金その他のいかなる利益供与も受けたことのない者でなければならない。
8.福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、三重県、和歌山県の各知事は、関西圏における中長期的なエネルギー政策のあり方を検討するために、それぞれ個別に又は共同して、エネルギー政策検討委員会を設置するべきである。同委員会委員は、電力会社等から研究費・助成金その他のいかなる利益供与も受けたことのない者でなければならない。

二 理由
(以下 略)

   【東電・政府の原発犯罪を裁く5.20郡山法廷】

とき:5月20日(日)  12時開場 13時開廷
場所:福島県郡山市民交流プラザ (JR郡山駅すぐ)傍聴無料

【陳述者】
若松丈太郎さん(南相馬市)吉沢正巳さん(浪江町 酪農家)渡辺ミヨ子さん(田村市)
【証人等】
佐藤武光さん(映画監督)
山本英彦さん(医師、子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク)
カテリーナさん(チェルノブイリの「歌姫」)

 2月25日の東京法廷で起訴をした判決(決定)が下されます。ぜひ、ご参加を!

 ※原発を問う民衆法廷大阪法廷ホームページ
http://genpatsu-houtei2.main.jp/index.html
 こちらで、法廷の動画、訴状、陳述全文、特別発言、決定2号全文などの資料がご覧いただけます。
  【滋賀から】
  大津市議会・滋賀県議会で原発再稼働反対意見書採択
               福島の現実と県民の声で再稼働阻止へ
          脱原発・滋賀☆アクション 代表 峯本敦子    12年62号4面    

 3月16日大津市議会、23日滋賀県議会で、「福島第一原子力発電所事故の原因究明等がなされていない中での、福井県に立地する定期検査中等の原子力発電所の再稼動を認めないことを求める意見書」が可決されました。
 
  署名や全会派要請で議会動かす

 「脱原発・滋賀☆アクション」は昨年11月、大津市議会に同様の意見書採択の請願を提出しましたが否決。七転び八起きの精神でのリベンジです。3月議会には、市と県の両方に請願を提出しました。
 年明けから準備し、総勢17人の参加で迫力あるものとなった市・県・関西電力への要請行動や、多くの市民の協力で集めた千筆を超える市長宛て署名の提出の動きと並行して、全会派に働きかけるなど、請願の動きを開始しました。
 
  県議会への請願では、大津市在

 住者だけでなく、高島市、甲賀市、東近江市、湖南市の方も含め十人の請願人が名前を連ねたことが紹介議員に強いインパクトを与えたようでした。議員から「この十人は何か一つの団体なのか」と尋ねられました。「私はたまたま脱原発・滋賀☆アクションの代表で、みんなとはつながりはあるのですが、それぞれがそれぞれの立場から再稼働に反対し生活している人たち。大津で都会暮らしをしている者も、県内の田舎暮らしの人も、同じように再稼働には反対なのです」。そう答えながら、十人一人ひとりについて丁寧に紹介しました。
 
  市民の声と行動で再稼働阻止へ

 23日の本会議で賛成討論をした議員は、県内の母親たちが3月末の1週間、滋賀県マキノに福島の子どもたちを受け入れる保養キャンプを企画していることに触れました。これは、請願に取り組むメンバーが、福島の子どもたちが少しでも伸び伸びと春休みを過ごせるようにと手作りで企画に奔走した保養支援です。募集開始後すぐに予定人員を満たしたことは何を意味しているのか。福島の現実をつきつけられると同時に、こんな社会を変える力が求められているのです。
 福島の現実、滋賀県民の声と行動が議会を動かしました。
 県内では、長浜市と高島市がUPZ(緊急時防護措置準備区域)圏に入っています。今後は両市へも働きかけをして、再稼働をとめていきたい。(4月9日)

 追記:4月24日には、市が県議会で国の再稼働への動きを拙速と批判した「国民的理解が得られない中での原子力発電所の再稼働をしないことを求める意見書」が決議された。
この間の保安院や経産省の滋賀県に対する「説明」への抗議などの市民の要請と行動の成果と言えよう。

  【資料】
 福島第一原子力発電所事故の原因究明等がなされていない中での、福井県に
 立地する定期検査中等の原子力発電所の再稼働を認めないことを求める意見書


 平成23年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故は、水素爆発および炉心溶融により大量の放射性物質を放出し、広範囲に拡散させた。
 現在、国会に東京電力福島原子力発電所事故調査委員会が設置され、事故に係る経緯および原因の究明が行われているが、調査結果および提言の取りまとめは平成24年6月の予定である。(中略)
  本県は14基の原子力施設が立地する福井県と隣接しており、県境から原子力発電所までの距離は最短でわずか13キロメートルであることから、万一、当該原子力発電所が立地する地域において地震が発生した場合、原子力災害につながるおそれがあるため、近畿1,400万人の命の水源である琵琶湖を擁する本県が被災地となってしまうことを極めて憂慮するところである。
 よって、政府におかれては、福島第一原子力発電所事故の実態および原因が究明されるとともに、福井県に立地する原子力発電所の安全性が確保されるまでは、福井県の定期検査中等の原子力発電所について再稼働を認めないよう強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成24年3月23日
               滋賀県議会議長  家森 茂樹 
(宛先)内閣総理大臣、経済産業大臣

  【沖縄から】 戦後67年ではなく、戦前が始まった?!
        防衛省・自衛隊による仕掛けられた危機
     
       無防備地域宣言・沖縄ネットワーク 事務局長 西岡 信之    12年62号5面
  ※本記事は4月2日付けのものです。

  本格的有事体制の段階

 昨年十二月に法律文化社から出版された『ピース・ナウ沖縄戦-無戦世界のための再定位』に収められた拙稿「有事法制下の日本・沖縄のいま」で、2010年12月の史上最大規模の日米軍事合同演習は、沖縄戦前夜のようなきな臭さがただようと書いた。
 ところが、今回の北朝鮮による人工衛星打ち上げにともなう日本政府、防衛省、自衛隊の動きは、軍事演習とは違い本格的な有事体制を実行する段階に入った。
 
  想像以上の早さの対処~学校・幼稚園まで 自衛隊好感度狙い

 3月30日付で、田中防衛相は、日本の領土・領海に落下する事態に備え、自衛隊法に基づく「破壊措置命令」を発令した。これにともなって、同日、内閣府の危機管理室は、弾道ミサイル攻撃による国民保護法の緊急対処事案として、国民保護法施行後初めてとなる指令が出され、私たちが想像していた以上の早さで有事体制が実行されているのだ。

 沖縄県では、内閣府危機管理室からの指示によって各市町村教育委員会から緊急事態に対処するための避難指示文書が各学校、幼稚園まで配布された。緊急対処事態が発生した場合は、全国瞬時警報システム(Jアラート)を活用することも明記されている。有事体制など遠い未来の世界と思っていた学校関係者からは内閣府の指示文書に驚きの声があがり、私のところにも教育関係者から相談の電話が入った。「今や戦後67年ではなく、すでに戦前が始まっているのですね」。北朝鮮による「弾道ミサイル攻撃」という危機意識を煽って、有事体制に向けた地ならしを行い、自衛隊アレルギーを払拭させ、自衛隊への信頼感、依存度、好感度を高めようとする政府・防衛省の狙いだ。
 
  県内に新たに自衛隊九百人配置
 
 沖縄県内には、PAC3パトリオットミサイル4基が、本土の自衛隊各基地から移送され、4月3日には石垣市に、4日には沖縄本島と宮古島市に搬入されることになった。沖縄本島には、那覇空港と隣接し滑走路を共用している陸上自衛隊那覇駐屯地内に設置され、もうひとつは南城市の知念駐屯地に配備されることになった。石垣市は、石垣市新港の埋め立て地に、宮古島市には同駐屯地内に配備される予定だ。

 しかし驚いたのは、県内全域で総勢九百人の自衛官が新たに配置されることだ。石垣市には四百五十名が派遣され、市役所に自衛隊業務を執行するためのスペースが確保され、自衛隊とともに市危機対策本部がたちあげられた。
 石垣市長は、八重山郡教育委員会で育鵬社の教科書採択させた張本人であり、尖閣諸島開拓記念式典を開催してきた若手で超右翼の市長と言われている。しかも今回、宮古島に二百人の自衛官派遣のほか、PAC3を配備しない与那国島にも五十人の自衛隊を配備するという。与那国島は、三年後に自衛隊の新しい駐屯地がつくられることになっている。
 北朝鮮の人工衛星の打ち上げが失敗した場合、田中防衛相はその破片を撃ち落とすと言うが、イージス艦搭載のSM3やPAC3で、迎撃出来ることは不可能とも言われている。しかも、日本と沖縄の安全のために駐留しているはずの米軍は、嘉手納基地に配備されている空軍のPAC3を使用するとも言わず無言のままだ。
 
  自衛隊強化の大規模な地ならし

 ようするに北朝鮮の先軍政策=軍事力至上主義を利用した防衛省と自衛隊による自衛隊強化のための大規模な税金をかけた地ならしではないのか。
沖縄戦が始まった67年前と同じ3月末、戦艦大和のようにイージス艦が出航され、特攻隊のようにPAC3が配備されるのは、悪夢としかいいようがない。
  平和への権利 世界キャンペーン⑥ 平和への権利国連宣言を求める
  
前田 朗(東京造形大学教授・無防備地域宣言運動全国ネットワーク共同代表) 
                                               12年62号6面
7面
  
  一 はじめに

 国連人権理事会での平和への権利国連宣言づくりの議論が、この春にも行われた。二月末の国連人権理事会諮問委員会が中心だが、三月の人権理事会でも議論が継続した。その状況を紹介したい。最初に、これまでの議論の経過について説明しておく。

 第一段階・国連人権理事会時代
 二〇〇五年以前の人権委員会時代、議題「平和への権利」で、キューバ政府がいろいろと努力していた。その議論を通じて徐々に国連宣言づくりが始まった。

 第二段階・NGOの努力
 二〇〇六年、NGOのスペイン国際人権法協会が平和への権利宣言づくりをめざして「ルアルカ宣言」をまとめ、世界のNGOに呼びかけを始めた。英語とスペイン語を駆使した猛烈な努力により一気に世界のNGOが繋がった。日本NGOも加わった。その後も「ビルバオ宣言」「サンティアゴ宣言」「名古屋宣言」「東京宣言」がまとめられることになる。

 第三段階・諮問委員会の宣言案起草
 人権委員会が人権理事会(安保理事会と同等の理事会)に改組され、人権理事会は平和への権利宣言の研究を諮問委員会に委ねた。
諮問委員会は二年間の研究の結果、平和への権利宣言草案を作成し、逐次その訂正を続けてきた。  

 担当はウォルフガング・ハインツ委員。坂元茂樹委員(関西大学教授)も平和への権利作業部会に所属している。人権理事会は四七カ国の政府が委員であるが、諮問委員会は専門家委員会である。
 以上がこれまでの経過である。以下、本年二~三月の動きを紹介する。第三段階の最終場面である。

  二 NGO協議会

 諮問委員会前日の二月一九日、ジュネーヴの宗教改革センター・ジョン・ノックスで、「平和への権利に関する市民社会の専門家と諮問委員会委員との第二回協議会」が開催された。
主催はスペイン国際人権法協会、平和への権利国際キャンペーン日本実行委員会など、事務局はダヴィド・フェルナンデス、笹本潤、塩川頼男、および筆者。
 メインは、平和への権利宣言草案起草者ハインツ(ドイツ人権協会顧問、ベルリン自由大学講師、欧州拷問禁止委員会)の報告で、さらにクリスティナ・パパゾグロウ(弁護士、WCC、ギリシア)およびカルロス・ビヤン報告である。つまり、諮問委員会に向けての戦略会議である。

  三 諮問委員会第八会期

 二月二〇日、国連欧州本部(ジュネーヴ)で開催中の人権理事会諮問委員会第八会期において、筆者は、NGOの国際人権活動日本委員会(JWCHR)代表として発言した。

 「ピースゾーンをつくる人民の権利」を訴え

 発言前半は、自衛隊イラク派遣を違憲とした二〇〇八年四月一七日の名古屋高裁判決の紹介である。 
 名古屋高裁は平和的生存権を具体的権利と認めた。発言後半はピース・ゾーンについて、日本で取り組んでいる無防備地域運動、二七ある軍隊のない国家、軍隊のないオーランド諸島(フィンランド)を例にして「ピース・ゾーンをつくる人民の権利」を訴えた。
 この日、諮問委員会第八会期の議題「平和への権利」で、まずハインツ委員が第二次草案のプレゼンテーションをした(A/HRC/AC/8/2)。昨年四月に公表された最初の草案に訂正を加えた第二次草案である。

 EU、米、日本沈黙

 委員の発言に続いて、政府は、キューバ、チュニジア、ウルグアイ、コスタリカ、スペイン、パキスタン、アルゼンチン、ロシアが賛成意見。第一に、カリブ・中米、アフリカ、アジア、欧州の各国が発言し、世界中が賛成という形である。第二に、これまで反対発言をしてきたEUを黙らせた。スペインが反対から賛成に回ったため、EU全体として反対意見を出すことが不可能になり、今回EUは沈黙するしかなかった。第三に、前回反対意見を述べたアメリカも発言しなかった。EUが分裂したので、アメリカもやりにくくなり、様子見をしたのだと思われる。アメリカの猿真似しかできない日本政府はもちろん沈黙。
 NGOの発言は七つ。まず、国際平和メッセージのカルロス・ビヤン(スペイン国際人権法協会AEDIDH)、次に筆者、そして笹本潤(IADL)、東澤靖(日弁連JFBA)、オリバー・カールソン(平和教育グローバル・キャンペーンGCPE)、続いて、国際良心的納税(CPTI、軍事費拒否のグループ)、南米インディアン協議会(ICSA)である。日本人が三人続いたのは委員の間でもかなり話題になった。平和への権利問題に日本の市民社会が力を入れていることが世界に伝わった。
 決議は、ハインツ委員がさらに宣言草案を手直しして、本年六月の人権理事会に提出することに決めた。

  四 人権理事会第一九会期

 コスタリカ~平和への権利がすべての人民の基本的権利と発言

 三月の人権理事会で、コスタリカ政府が、平和への権利宣言について、平和への権利がすべての人民の基本的権利として重要であり、国際社会は平和への権利をもっと重視し、国連宣言をつくるべきであると発言した。
 これは事前に政府間で相談してなされた発言であり、六月に人権理事会で始まる本格審議に際して、これまで議論をリードしてきたキューバとともに、コスタリカが前面に出て宣言づくりを進めるという宣言である。

  五 今後の動き――第四段階へ
 
 平和への権利宣言づくりは、六月の人権理事会第二〇会期の正式議題となった。そこにハインツ委員が宣言草案を提出する。キューバとコスタリカが議論をリードする。
 当面の目標は、人権理事会の中に平和への権利宣言作業部会をつくることである。諮問委員会と異なり、今度は政府委員による作業部会である。作業部会が審議検討した草案を二〇一三年の人権理事会第二三会期に提出して審議を行う。

 平和への権利宣言づくり具体化へ

 アメリカ、イギリス、フランス、日本などが猛烈に反対工作を行うであろうから、先行きは必ずしも明らかではないが、いよいよ平和への権利宣言づくりが具体化してきた。残念なのは六月の人権理事会に筆者が参加できないことである。
   【新刊】 無防備地域宣言運動発展のために一読を     12年62号8面         
 
  平和憲法と永世中立~安全保障の脱構築と平和創造』
        澤野義一著  法律文化社 四千八百円(税別)

 無防備地域宣言運動全国ネット共同代表である澤野義一(大阪経済法科大教授)さんが新しく著書を刊行した。
 平和憲法の理念を体現する永世中立論の現代的意義を検討し、政府や自治体の安全保障や平和政策の問題点を批判したうえで、代替的な政策を提言している。
 
 第二章の「コスタリカの憲法と平和主義」では06年最高裁は、核燃料の製造を可能とする政令に対して違憲無効の判決を下したことについて、「原発設置を違憲とするだけでなく、平和を単に戦争が存在しない状態と捉えるのでなく、戦争状況をもたらすような決断や行動を防止することが平和であるという積極的な平和の概念を採用」と指摘し、日本もコスタリカ憲法とその運用を学ぶべきとしている。
 第七章では、「国際安全保障における自治体平和政策の現状と課題」の中で「自治体平和政策への国際人道法の活用~無防備平和都市条例制定の意義と課題」として無防備地域運動の項を設けている。そこでは無防備平和条例を戦争に参加・協力しない包括的平和都市条例として意義をあげ、政府見解などを批判するとともに、今後の課題として「原発禁止」規定を入れることを提案している。
 また、第八章では、奈良市で継続して取り組んでいる武力紛争の際の文化財保護にも、「ハーグ条約とその地域的平和への活用」として無防備地域運動を豊富化させるために論考されており、大変参考になる。無防備地域宣言運動を柱とした自治体における平和政策を考えるためにも是非一読を。

  『原発民衆法廷①』
 2・25東京公判 ― 福島事故は犯罪だ! 東電・政府の刑事責任を問う ―
 原発を問う民衆法廷実行委員会編  三一書房 千円

 核兵器と原発のない世界を創り出すために、多くの人の知恵と力の結集が必要です。その取り組みである原発民衆法廷第一回法廷の全記録です。東電と政府を被告とした起訴状、原告の胸を打つ陳述と証言の全てを是非お読み下さい。ご注文は全国ネットまで。