今こそ反原発・非戦の自治体をつくろう!
       基地も原発も非暴力の民衆行動で全廃を!
                              全国ネット事務局 12年63号2面 
       
  「金より命」 空前の民衆の行動

 7月16日、東京は「原発いらない」「野田やめろ」の17万人の声に包まれた。民意も安全もすべて無視して強行した大飯原発再稼働に対する民衆の怒りが、空前の毎週金曜日の首相官邸前や関西電力前の行動となって現われている。この怒りは、再稼働を選択した政府や電力会社に対する怒りから、「原発を必要とする命より金もうけを優先する社会システム」に対する怒りへとなりつつある。大飯原発を停めることで全原発廃炉の道が開かれる。主権者が社会を動かそうとしている。

  戦争国家路線強める野田内閣

 一方、野田政権は、原発再稼働だけでなく戦争国家路線をさらに強化している。6月20日成立した原子力規制委員会設置法の目的に「わが国の安全保障に資する」との文言が附則で挿入され原子力の軍事利用に道を開いた。原子力基本法の「平和利用」を変更したこの改悪は、韓国マスコミでも「いつでも核武装して軍事大国を目指すという憲法改正の条件が整いつつある」と警鐘を鳴らしている。核との共存ができないのに、核の軍事利用など絶対に認められない。

   海外、沖縄・与那国へ軍事拠点

 また、政府は、昨年ジプチへ47億円を投じて海外基地を建設し、12年2月には南スーダンへの自衛隊派兵を行った。こうした海外派兵路線とともに沖縄への軍事拠点づくりへ、与那国への自衛隊(陸自沿岸監視部隊)配備を防衛省は強要している。本来、国が整備すべき地域経済支援とインフラの整備(ごみ施設、保育・福祉施設の整備、緊急患者の空輸、医療支援など)と引き換えにした地域支配(原発設置にともなう金とインフラ整備と同様の手口)である。

   オスプレイの沖縄配備許すな

 さらには、日米による欠陥機である米軍新型輸送機オスプレイの沖縄配備である。そして、野田首相は衆院予算委員会(7/12)で、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈について見直しにまで言及した。
 こうした動きに対し、沖縄では、オスプレイ配備反対宜野湾市民大会(6/17 五千二百人が参加し配備反対の民意示す)が成功し、県内41市町村全ての首長が配備反対を表明した。8/5には県民大会が開催される。危険なオスプレイ配備は、政治や安全保障の問題ではなく、命と生活を守る問題になった。与那国では、自衛隊の配備を問う住民投票条例の直接請求が行われている。

   オスプレイ配備は全国の問題

 本土の人々にとっても、オスプレイは沖縄だけの問題ではない。全国各地の飛行ルートの安全は脅かされている。全国の知事へのアンケートでは、和歌山、岡山、広島、山口、徳島、高知の6県知事が配備反対であり、低空飛行訓練には、長野も含め7県知事が反対し、配備に賛成した知事は一人もいない(7/10沖縄タイムス)。

   基地も原発も非暴力行動で全廃を 7/1無防備全国総会開く

 原発も基地も、民衆の命を犠牲にして金もうけを優先する社会の最たるものだ。このシステムを変える民意が大きくなっている。基地も、原発も、非暴力の民衆の行動で全廃は実現できる。
 無防備全国ネットワークは、7月1日に東京都内で全国総会を開催し、無防備運動を、原発廃止を求め命と人権、平和をまもるまちづくり運動として一層強化することを決めた。(別添総括方針参照)
 無防備運動と原発廃止はひとつ。「非暴力」「軍民分離」「自治」「反原発・反核」でこそ市民の安全と平和が守れることを明確に、今こそ、反原発・非戦の自治体を民衆の行動で作り出そう。
  地域破壊・憲法違反の原発を裁く~大阪・広島で原発民衆法廷ひらく
                               12年63号3面    

 原発を問う民衆法廷は、2月の東京、4月の大阪、5月の福島(郡山)に続き、6月17日に大阪(2回目)、7月15日に広島で開催された。これで、傍聴者は千百人を超え、計32人(陳述者22、証言者10)が政府、東京電力、関西電力、四国電力及び中国電力を告発した。

   【大阪】原発設置そのものが犯罪

 大阪法廷は、野田政権が大飯原発再稼働を決定したその翌日というタイミングで開催された。当日は福井県庁包囲全国行動に連帯し、再稼働決定を糾弾し原発廃止を求める確信を作り出す法廷となった。
 
法廷では、原発の設置・運転そのものが犯罪であり、また憲法違反であることが訴えられた。原発は、すべて大都市から離れた過疎地に建設され、その立地をめぐって、大規模な地域破壊・人権破壊を引き起こしてきたこと、また原発は、たとえ事故を起こさなくても通常運転そのものが、莫大な数の原発労働者の被曝労働を必要とすることなどが陳述され、また周辺住民に低線量被曝による健康被害を引き起こしている危険が高いことが、敦賀原発周辺調査やドイツ政府関係機関による大規模な調査結果などを基に証言された。
 
 特に、斉間淳子さん((八幡浜・原発から子どもを守る女の会)の陳述は、伊方原発の存在とその立地と存続が子ども未来や希望すら奪うという現実を多くの傍聴者の心に刻んだ。

  原発は将来の国民の権利奪う

 澤野義一大阪経法大教授の証言は、原発と平和的生存権(憲法前文)及び平和主義(憲法第9条)との関係を問い、生命権、幸福追求権、個人の尊重(憲法第13条)生存権(憲法第25条)が原発の存在そのものとの関連を問い直し、また、将来の国民の権利(憲法第11条、97条)という観点での検討を判事団に促した。核開発が軍事(核兵器)のためであり、原発はその技術維持のための「平和利用」であること、核被害は航空機事故とは違い100万年にも及ぶ放射能被害をもたらすというという点で、憲法違反であり人類とは共存できないことを示唆した。

    【広島】地域を破壊した原発建設

 7月15日に開催された広島法廷では、島根原発に反対する運動を長年取り組んでこられた芦原康江さんの陳述が胸をうった。
 福島でも、伊方でも、若狭でも起ったことが島根の小さな町でも起ったことを明らかにされた。それは、電力会社による地域破壊、地域の人間関係の破壊である。
カネにモノを言わせて、漁民の漁業権を買取り、売れるはずもない山を高値で購入し、金で懐柔策を続け、住民を黙らせ、そして地域を抑え込んでいった。
 「一人ひとりの命の軽重は同じはずなのに、原発建設の中では、明らかに過疎地住民の命は軽く扱われている」「広島市内や岡山市内で暮らす住民の命より、明らかに私の命は軽い」「島根原発の周辺で生きる子ども達の命は、更に軽く扱われている」芦原さんはこう告発し、中国電力に廃炉を求めた。

 原発民衆法廷運動は、民衆法廷が単なる「法廷劇」ではなく、現実の運動と連携し具体的に運動への確信を深め廃炉が必要な理論と確信を生み出し、全原発廃炉への世論を作り出す運動として大きな意義がある。
今後、札幌(12月8日予定)をはじめ、各地で開催が計画されている。
  【沖縄から】 欠陥機オスプレイ配備絶対阻止 島ぐるみの闘いへ
     
       無防備地域宣言・沖縄ネットワーク 事務局長 西岡 信之    12年63号4面~5面
  
 米軍の最新型の輸送機・垂直離着陸機オスプレイ(海兵隊仕様がMV、空軍仕様がCV)の配備問題で、再び沖縄は燃えている。すでに事故の危険性は度々伝えられてはいたが、まさかここまでひどかったのかと驚くほどだ。
 しかし、オスプレイを乗せた輸送艦は、ハワイを経由し山口県岩国市に向かっている。7月24日に岩国到着。8月沖縄・普天間基地配備というシナリオに私たちは満腔の怒りを持って配備を拒絶する。

  その後も事故・トラブル続出/構造上の欠陥放置が原因

 今年に入って、4月のモロッコでの海兵隊MV22型の墜落で米兵2人が死亡。6月フロリダ州での訓練中の空軍CV22型の墜落で5人の負傷。今月9日には、ノースカロライナ州の海兵隊ニューリバー航空基地のMV22型が飛行中に、ドライブシャフト(回転軸)にトラブルが発生、緊急事態宣言を発し、同州のウィルミントン国際空港に緊急着陸した。同じく今月9日には、06年3月に米東南部ノースカロライナ州で飛行準備中のMV22型が突然上昇し、地面にたたきつけられていた事故が発生していたことがわかったが、海兵隊は、「飛行準備中」という理由で事故に含めていなかった。
 06年から11年の5年間で、海兵隊の集計で、200万ドル以上の損害や死者が出た場合の事故をAクラス、損害200万ドル未満・けが人程度の事故をBCクラスにして、BCクラスも含めると30件発生していたが、BCクラスは事故に含めていないことが7日わかった。
 6月29日、米国防総省の「国防分析研究所」(IDA)の元主任分析官のレックス・リボロ氏は、日本の防衛省が作成したエンジン故障時に対応する解説書が間違っていることを指摘。リボロ氏は、米国防総省の内部文書に、オスプレイには自動回転能力が欠如していることが明記されていることも米議会公聴会で証言していたこともわかった。
 10年のアフガニスタンでの事故も空軍の上層部が事故隠しのために、事故機指揮の中佐を更迭させ、事故報告書を改ざんするよう圧力をかけていたことも判明。
そもそも92年の試験飛行中に搭乗員7人全員が死亡した墜落事故によって、米軍は11ヶ月間飛行を停止し、原因究明対策を行っていたが、最終的には事故原因不明のまま試験飛行を再開した経過がある。
 構造上の欠陥が明白であるにも関わらず、莫大な研究開発費を回収したいボーイング社幹部がオスプレイ配備を米軍上層部にカネで迫ったことが、背景にあると考えられる。

   沖縄は島ぐるみの闘いへ

 東京のアフガン復興国際会議に出席した米クリントン国務長官は、「オスプレイは全世界に配備され安全性は確実なもの」と明言した。
 沖縄や日本各地のオスプレイ配備反対の声をまったく無視した暴言だ。日米両政府は、7月24日山口県岩国市への搬入、8月沖縄・普天間基地へのオスプレイ配備計画を変えようとはしていない。
 しかし、米国内においてさえ、6月6日には基地周辺の住民の反対によりニューメキシコ州のキャノン空軍基地やコロラド州でオスプレイ訓練飛行が中止になっている。米国でもオスプレイ反対の声はあるのだ。反対しているのは沖縄や一部の日本人だけという言質はあたらない。
 6月17日、5200人を集めたオスプレイ配備反対の宜野湾市民大会以降、県知事・宜野湾市長による政府・防衛省への配備反対の申し入れをはじめ、宜野湾市民大会実行委員会、那覇市議会議員団、軍転協(県内27の米軍所在地市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会)など、さまざまな行政機関が、連日のように政府・民主党への配備反対の要請行動を続けている。 

 オスプレイの危険性が明白となり、配備反対の声が日ましに高まる中で、国頭郡東村の高江ヘリパッド建設を容認してきた伊集村長が、「オスプレイ配備を強行するならヘリパッド建設を見直す」との見解を発表し、同じくキャンプシュワブへの提供を許してきた宜野座村長も基地返還を明言するなど、これまで以上の反発が高まっている。
 また沖縄だけでなく、オスプレイの低空飛行訓練ルートが発表された九州や四国の自治体からも配備反対の議会決議が広がり、県民大会開催前から全国的な課題となってきている。
 こうした中で、オスプレイ配備に反対する県民大会が、8月5日(日)宜野湾市の海浜公園で開催されることが決まった。県議会を中心に、大会共同代表に県議会議長や那覇市長などが名前をつらね、超党派の実行委員会が呼びかけられ、焦点は仲井眞知事の大会参加表明というところまで来ている。県内各経済団体の実行委員会への参加も進み、知事の参加によって経済団体からの組織参加が決まる見通しとなった。

 95年の少女暴行事件の県民大会、07年の沖縄戦歴史捏造の教科書検定県民大会、10年の普天間県内移設反対の県民大会を超える10万人以上の規模を実行委員会は、想定している。
 また市民運動レベルでは、普天間爆音訴訟団、平和運動センターを中心に、国道58号線の普天間基地の大山ゲート前に、連日20名程度が座り込み、テントに結集している。
本土における脱原発・再稼働反対の首相官邸前金曜日行動や関電前行動に連帯し、野田内閣打倒のひとつの大きな国民的課題としてこの県民大会を、「オキュパイ普天間」と位置づけ、大きく成功させることが求められている。

   有事に抗する与那国自衛隊配備住民投票
 
 オスプレイ配備反対の県民運動の中で、異様な横断幕が沖縄国際大学近くの道路沿いなどに掲げられている。「中国による沖縄・尖閣の占領を許すな! 沖縄こそオスプレイ配備を! チベット・ウイグルの二の舞になるな!」―幸福実現党の仕業だ。
 尖閣諸島の一部を東京都が購入する動きや石原都知事の「尖閣に自衛隊配備」発言、政府の尖閣国有化表明などの動きによって、中国もまた尖閣(釣魚島)は、「核心的利益」と表現し、中国共産党が「尖閣は制御不能の危険性」があると語るなど、日中両政府の軍事拡大路線が、彼ら幸福実現党や恵隆之介、「桜チャンネル」などが、水面下で戦争を煽っている。 那覇市の老舗の映画館「桜坂劇場」で、幸福実現党の「ファィナル・ジャッジメント」が上映され、地元の壺屋や沖縄タイムスの販売店舗に無料鑑賞券がばらまかれている。
 
 さらに野田内閣は、自衛隊制服組など戦争推進勢力と一緒になって、「集団自衛権行使の容認」、「宇宙の平和利用撤廃」、「原子力法の安全保障付則」など、これまでの戦争を防ぐためのさまざまな規制を一気に取り払おうとしている。
 こうした動きの中で、最西端の与那国島では、自衛隊配備の是非を問う住民投票条例のための直接請求運動が取り組まれている。県内では三番目の無防備署名運動とも言えるものだ。台湾にもっとも近い島で、「軍隊のいる島」にするか、「軍隊を拒絶した島」にするか、平和をめざす取り組みが続けられている。(2012年7月14日)
  平和への権利 世界キャンペーン⑦
 国連人権理事会第20会期「平和への権利の促進に関する決議」採択
  
前田 朗(東京造形大学教授・無防備地域宣言運動全国ネットワーク共同代表) 
                                             12年63号6面
7面
  
   一 決議採択

 七月五日、ジュネーヴで開催中の国連人権理事会第二〇会期は、平和への権利の促進に関する決議案一六(A/HRC/20/L.16)を、賛成三四、反対一、棄権一二で採択した。投票結果は次のとおり(国連人権理事会プレスリリース七月五日より)。
 賛成――アンゴラ、バングラデシュ、ベニン、ボツワナ、ブルキナファソ、カメルーン、チリ、中国、コンゴ、コスタリカ、キューバ、ジブチ、エクアドル、グアテマラ、インドネシア、ヨルダン、クウェート、キルギスタン、リビア、マレーシア、モルジヴ、モーリタニア、モーリシャス、メキシコ、ナイジェリア、ペルー、フィリピン、カタール、ロシア連邦、サウジアラビア、セネガル、タイ、ウガンダ、ウルグアイ
 反対――アメリカ合州国
 棄権――オーストリア、ベルギー、チェコ、ハンガリー、インド、イタリア、ノルウェー、ポーランド、モルドヴァ、ルーマニア、スペイン、スイス
 二〇一一年までの投票でも、毎年、賛成が三二~三四くらいあったので、賛成多数の採択は予想通りであった。今回の注目は、本年二月に開催された人権理事会諮問委員会において平和への権利国連宣言草案がまとめられ、具体的な条文が明確に提示されたことである。決議の具体的内容は草案そのものを採択するという趣旨ではないが、宣言草案を横目で見ながらの審議であり、決議採択である。

   二 決議(全文)

  決議は短いので、全文を次に引用する(平和への権利国際キャンペーン日本委員会訳を参照した)。

 【平和への権利の促進決議】
 人権理事会は、
 総会、人権委員会及び人権理事会によって採択された人民の平和への権利の促進に関するすべてのこれまでの決議、とりわけ人権理事会が諮問委員会に対して、国連加盟国、市民社会、学識者およびすべての利害関係者と協議して、人民の平和への権利に関する宣言草案を準備するよう求めた二〇一〇年六月一七日の理事会決議一四/三及び二〇一一年六月一七日の理事会決議一七/一六を想起し、
 また、「人民の平和への権利の宣言」と題する一九八四年一一月一二日の総会決議三九/一一及び国際連合ミレニアム宣言を想起し、
 国際連合憲章にうたわれている目的および原則に対する厳格な尊重を育てることを決意して、
 平和への権利の促進に向けられた市民社会組織によって実行されている重要な仕事とこの問題の発展への貢献を歓迎し、
 諮問委員会によって準備され、人権理事会に提出された研究に含まれる宣言草案に留意して、
 この問題の漸進的発展を留意して、
1 諮問委員会によって提出された草案を基礎にして、かつ、過去、現在および将来の見解および提案を妨げることなく、平和への権利に関する国際連合宣言草案を漸進的に交渉する任務をもって、任期を定めない政府間作業部会を設置することを決定し、
2 また、作業部会は、人権理事会第二二会期の前、二〇一三年に四作業日について第一会期会合を開くことを決定し、
3 国連人権高等弁務官事務所に対して、作業部会がその任務を完遂するために必要な援助を与えるように要請し、
4 人権理事会議長に対し、作業部会第一会期会合に宣言草案に関する諮問委員会作業部会長を招くよう要請し、
5 諸国、市民社会およびあらゆる関連する利害関係者に対して、作業部会の仕事に積極的かつ建設的に貢献するよう呼びかけ、
6 作業部会に対して、人権理事会第二三会期において審議するために経過報告を提出するよう要請する。

   三 政府発言

 投票前の発言は四カ国であった。
 キューバ(決議案提案国)は、決議案は「平和への権利の促進」と変更になったこと、主眼は政府間作業部会を設置することであると趣旨説明をした。さらに、平和への権利の促進については市民社会が大きな働きをしたと述べ、世界各地の多様な市民社会代表が決議案を支持しているとし、最後に幅広い支持を訴えた。

 中国は、一般的コメントとして、平和への権利は重要な集団の権利であるとし、キューバ政府の努力に感謝を表明した。

 アメリカ合州国は、紛争が生じ、人権が侵害されていることに深く憂慮するとし、市民が自由な言論、信仰、集会の権利を否定されていると平和は不安定となるとし、人権理事会において生産的な関与を実現しようとしてきた諸国に感謝すると述べたうえで、しかし、宣言草案は平和の問題に関係のないテーマにも及んでいるし、平和を達成するための努力に紛糾を招くものである。人権理事会は人権義務の実施に焦点を当てるべきである。人権は普遍的なものであり、個人によって担われる。平和に反するような投票をしたと見られたい国はない。しかし、決議や作業部会は平和と人権に寄与しないだろう。決議案に反対するように諸国に求める、と述べた。
 オーストリアは、ベルギー、チェコ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ルーマニア、スペインを代表して、平和への権利の概念に疑問があるとし、平和への権利に関する国際的コンセンサスはなく、それがあるかのように述べている決議に疑問がある。平和への権利は他のフォーラムで議論されるべきである。平和への権利は人権法に否定的な影響を及ぼすおそれがあるので棄権する、と述べた。
 イタリアは、投票の後に、平和への権利にはあいまいさが残っている、保護する責任と平和への権利はどのように関係するのか、決議は議論のための良き土台にならない、と述べた。

   四 投票結果をどう見るか

 いくつか補足しておこう。
 第一に、日本が入っていないのは、理事国でなくなったからである。人権理事会は選挙で選ばれた四七カ国が理事国となり、投票権を有する。日本は選出される回数が多いが、現在は理事国ではない。同様に韓国、イギリス、フランス等も理事国から外れた。
 第二に、前年まではアメリカ、日本、EUが反対投票し、反対が一二カ国ほどであった。今回はアメリカだけが反対であった。アメリカを孤立させることは、人権NGOの戦略目標であり、それが実現した。
 第三に、アメリカが孤立したのは、EUが分裂したからである。前年までEUは一致して反対投票であった。ところが、NGOのロビー活動により、スペイン議会が二〇一一年に、平和への権利に賛成するようにとの決議を行った。このため二〇一二年二月の諮問委員会に際してスペインが賛成の意向を表明した。これによりEUは分裂して発言できなくなった。今回のイタリア発言は、EU代表としてではなく、スペインも含めて諸国の代表という形になった。スペインは賛成すると見られていたが、棄権になった。
 第四に、決議案提案国がキューバであった。事前の協議では、今回からコスタリカが提案するという話が出ていたが、最終的にはキューバであった。キューバは、人権委員会の時代からこのテーマの議論をリードしてきた。人権理事会改革以後も、決議提案国であった。アメリカのキューバ叩きに対して、第三世界諸国が団結してキューバを前面に押し立ててきたという意味がある。 

 今回は政府間作業部会を設置するという決議案であり、作業部会の審議はコスタリカが担当するという話になっていた。そこで今回からコスタリカが決議を提案するというのが三月に協議した内容であった。しかし、人権理事会開催前の協議の結果、決議案提案はやはりキューバが担当する結果になったようだ。
 第五に、中国とロシア連邦が賛成を維持した。諮問委員会の宣言草案には、大量破壊兵器の廃止や、兵役拒否の権利などさまざまな項目が含まれる。中国とロシアは二〇一一年まで決議に賛成してきたが、宣言草案が具体的になるにつれて、果たしてこのまま賛成するのだろうかとの疑念もないわけではなかった。筆者は、いつ中国とロシアが棄権にまわるのかと心配してきた。しかし、今回も両国は賛成であった。

   五 今後の課題

 二〇一三年に作業部会が始まる(三月頃の見込み)。それまでの間に、今夏の諮問委員会と、秋の人権理事会があるので、その会期又は前後に人権NGOによるロビー活動を展開しなければならない。オーストリアやイタリアの発言も踏まえて、繰り返し平和への権利の議論を行っていきたい。
   【ご案内】    12年63号8面         
  
 7月28日(土)~29日(日)に、『エルおおさか』で『ZENKO大会』が開催されます。
1%の利益のために市民の命を犠牲にする原発を推進するグローバル資本に、野田はNOだと首相官邸前で、関西電力前で怒りのエネルギーが燃えています。
詳しくはhttp://www.zenko-peace.com/12zenko/12zenko.html
大会で開催される反原発と無防備運動の二つの分野別討議を案内します。ぜひご参加を。

 大飯原発即時稼働停止させ、原発稼働ゼロから
                全原発廃炉の流れをつくりだそう!


 大飯が停まれば全原発廃炉の道が開ける。首相官邸前及び関電前の毎週金曜日行動の継続・拡大・強化を軸にした直ちに実行する方針を討議します。
7月28日(土)14時30分~17時
エルおおさか ホール (京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」西へ300m)

7月29日(日)9時30分~正午
エルおおさか 視聴覚室
【福島】黒田節子
(ハイロアクション福島原発40年)
【若狭】中嶌哲演(原発設置反対小浜市民の会、明通寺住職)
山崎隆敏(サヨナラ原発福井ネットワーク)
斉藤征二(元敦賀原発下請労働者)
【伊方】小倉正(さよなら原発四国ネットワーク)
【玄海】石丸初美(玄海原発プルサーマル裁判の会原告団長)
【東京】渕上太郎(経産省前テントひろば代表)
【北海道】谷百合子(無防備札幌市民の会)

 沖縄基地撤去と原発廃止~平和への権利と無防備地域宣言運動

7月29日(日)9時30分~正午
エルおおさか504号室

原発違憲論と無防備運動」 澤野義一さん (大阪経済法科大学教授)
「オスプレイ配備阻止と無防備運動」
 西岡信之さん 
(無防備沖縄ネット事務局長/沖縄国際大学教員)