原発事故でびわ湖代替の水源なし 
     近畿千七百万人を死に追いやる大飯原発の即時停止を!
             市民の命と健康を守る自治体の責務を及追しよう!
                            全国ネット事務局 13年67号2面        
 
 大欠陥の原発防災  滋賀県知事、水対策なし認める

 3月11日に行われた滋賀県防災危機管理局に対する原発防災計画についての要請の中で県は、避難生活のみでなく、そもそも人間の生活にとって肝心要の飲料水の確保ができないことを認めた。原発事故が起これば、滋賀県として100ミリシーベルトの放射性物質で琵、琶湖が汚染されると予測しながら琵琶湖の湖水汚染に対して何の対策もないことが明らかになった。担当者は「現時点で対策はない」と言い、その後顔を真っ赤にして「あるわけがない」と正直に吐露した。そして、この日の夕方の記者会見で、嘉田滋賀県知事は「福井県の原発事故で琵琶湖が汚染された場合の代替水源は現実的には不可能ではないか」と表明したのだ。これは、避難どころか近畿1700万人は、死のふちをさまようということを認めたことになる。

 無責任な他人事の原発防災 原発停止しかない

 さらに、滋賀県は関西広域連合にも要請しているというが、関西広域連合は「災害時の水確保策と、しては、備蓄水の活用、相互応援で行われる応急給水、自衛隊による応急給水など。福井の原発で事故が起こった場合の琵琶湖への影響を、滋賀県が平成24~25 年度で調査している。調査の結果、追加的な対策が必要となれば、広域連合としても対策を検討する( 3/6 10団体への回答)とまるで他人事だ。備蓄や応援給水でびわ湖・淀川水系の給水人口1700万人をカバーできるわけもなく、近畿の原発防災はまさに「絵空事」なのだ。もはや、原発防災は破綻しているといってよく、「飲料水の確保」の一点をとっても、稼動している大飯原発を停止させ、すべての原発を廃炉にするしかないことは明らかなのだ。これは大きく問題にする必要がある。特に、UPZ圏以外の近畿圏の自治体にもどうするのかと問うことが必要である。国、電気事業者、関西広域連合、県、市町村と誰も原発事故を起こらない「対岸の火事」として「当事者意識」のない対応に終始し、誰も責任を取らない無責任体制が繰り返されている。これを許してはならない。

 自治体は責務を果たせ~京都・滋賀要請行動

 しかし、自治体に市民の命を守る最大の責務を果たさせていくことは可能だ。2/ 7~ 8に京都府と滋賀県内のUPZ圏原発30キロ圏(9自治体)に対する要請行動が取り組まれた。これは政府・原子力規制委員会が昨年に決定した「原発防災指針」を基に対象自治体(原発立地及び30キロ圏135自治体480万人)に3月18日までに避難計画含む防災計画を策定するよう求め、計画策定をもって停止中の原発再稼働の免罪符にさせようとしていることに対し、市民の命を守るという自治体の責務を鋭く問うものとなった。(原発防災批判は№ 65掲載記事参照)要請の中で「(500μSv /時の避難基準は)本市の平常値の23倍~5千倍になり非常に高い値となる。大変危惧をしている。」(滋賀県高島市長回答書)「避難計画は完全ではない」(京都府綾部市)「議員や市民団体など多くから批判されている」(京都府舞鶴市)など、多くの自治体が「原発防災指針」が不十分であると認めた。
 また原発再稼動についても「大飯原発再稼働反対意見書(H24 /3/28)を重く受け止め、…段階的に減らし最終的に原発ゼロをめざす」(高島市長)など、自治体段階では、原発再稼動を明言した安倍政権の思惑通りには進まない実態が明らかになった。

 自治の力で原発を止めよう

 自治体の最大の責務は地方自治法に規定する市民の命と生活を守ることだ。そこにこそ原発廃止や非戦を国に求める権限の源泉がある。関西各地で、そして全国でとことん「市民の命を守る」という自治体の最大の責務を繰り返し首長に問い、原発推進を許さない自治のネットワークの力で原発を廃止に追い込もう!
  【沖縄から】 
 本土がどうであれ、世論調査がどうであれ、
         沖縄はけっして安倍政権を許さない!
                  西岡信之(無防備地域宣言・沖縄ネットワーク)  13年67号
3面    
 
 安倍政権が進めている諸政策を沖縄側から見ると、「憤懣(ふんまん)やるかたない」ので、そろそろ日本と手をきって「独立」したいと思うのも仕方ないと思う。

 最近の国会答弁や政府発表は、沖縄県民の総意とはまったく反対のことを進めているにもかかわらず、さもそれを沖縄が望んでいるかのように決めつけ、正面から突破しようとしている。安倍首相は、話し方はソフトのようだが、真逆のことを「いけしゃあしゃあ」と憎らしいほど厚かましく言うところが最も許せないのだ。

 安倍首相は「基地負担軽減のために、普天間の県内(辺野古)移設を進めていく」事が重要といい、「オスプレイの安全性は確保されているのでこれからも理解を求めていく」と言い「尖閣諸島をはじめとする南西諸島防衛のためにも一日も早い与那国への自衛隊配備をすすめる」と答弁した。普天間は即時閉鎖・返還県内移設反対県外・国外移設が県民の総意であることを幾度も表明してきているのは、もうこれは国民の多くが周知のことだ。オスプレイは、オール沖縄の1・27東京行動で「強行配備撤回」を示したばかり。与那国への自衛隊配備は、地元では住民投票など真っ二つに賛否が割れている。

 さらに、八重山(石垣市・竹富町・与那国町)での公民教科書選定では、義家弘介文部科学政務官を竹富町に送り込み、育鵬社を使うよう恫喝した。沖縄では「屈辱の日」である4月28日を、安倍首相は日本が主権を回復し米国からの独立を認識する記念式典を今年から開催するという。本土は、サンフランシスコ講和条約で主権回復をしたかも知れないが、それは沖縄を米軍政府の施政下に置くと言う沖縄を処分した見返りだ。

 こんな安倍政権が、沖縄に対してやりたい放題をしているのに、発足時よりも高い74%もの支持率を得ていることに納得がいかない。本土の日本人は、どれだけ沖縄に鈍感なのか、どれだけ切り捨てるのかという怒りが高まる。
 オスプレイ東京行動では「在日特権を許さない市民の会(在特会)」や頑張れ日本!全国行動委員会などが、沖縄参加団に「日本を守るオスプレイ」「沖縄の左翼はゆすりの名人」「日本から出て行け」などの悪罵を投げつけた。沖縄には存在しなかった「在特会」が、最近では辺野古のテント村を襲撃するという事前情報が何度も届くようになった。
安倍政権の誕生により新興右翼勢力や「在特会」などのヘイト・クライム(憎悪犯罪)集団が、さらに鼻息荒く息巻いてきている。

 私は、彼らが1900年代のイタリアのファシスト党の黒シャツ隊に見えて仕方ない「安倍救国政権の大義」などと彼らは安倍を持ち上げ、公安警察と一体となってやりたい放題だ。
しかし、アベノミクスによる新自由主義の1%だけが恩恵を受ける経済政策などは、労働者の半数に届く非正規労働者や社会保障切捨てで苦しむ国民の総反撃を受けるだろう。日本軍慰安婦問題などの歴史認識でも国際社会から見放されるだろう。とにかく、本土がどうであれ、世論調査がどうであれ、沖縄はけっして安倍政権を許さない。
  集団的自衛権行使容認-海外での武力行使合憲化を阻止しよう
       
  無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局    13年67号4面~5面
 
  1 はじめに

 
2月8日、安倍首相は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長:柳井俊二国際海洋法裁判所所長,以下「安保法制懇」という)を“再開”し、集団的自衛権行使の容認に向けての再検討を指示した。懇談会のメンバー、検討するテーマは第1次安倍内閣時(06年9月~07年8月)の懇談会と同じである。
 第1次安倍内閣時、安保法制懇は、「脅威の多様化」、「(安全保障問題に対する)共同対処の強まり」という安全保障環境の変化に対応するために「安全保障の法的基盤」を再構築する必要があるとして、次の4類型について検討した-(1)公海上での米艦艇の防護、(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃、(3)国連平和維持活動等で他国部隊を守るための「駆け付け警護」、(4)戦闘地域での多国籍軍への後方支援。
 そして、安保法制懇は以下の結論を出した-

ⅰ.(1)(2)は集団的自衛権行使に当たり、(3)は海外における武力行使に当たるおそれがあり、(4)も「武力行使との一体化」とみなさる、従って、いずれも現行の憲法解釈に従えば違憲であり禁じられているが、解釈変更によって容認すべきである。
ⅱ.そのため、国際平和協力法(一般法)を制定し、PKO以外で武器使用の蓋然性の高い「国際平和活動」に参加する場合には国会承認を得る等の手続きを規定、また、集団的自衛権に基いて米国に協力する場合については基本的安全保障政策を確定する(→国家安全保障基本法)などの法的整備を図る。

 しかし、この報告は、安倍退陣によってお蔵入りとなってしまった。安倍は、これをもう一度出し直させようとしているのである。

  2 何のための集団的自衛権行使容認か?

 何故、安倍はこのように執拗に集団的自衛権行使の解釈変更-合憲化を進めようとしているのか?それは、現在、自衛隊を海外派兵する根拠法がないからである。自民党政権は、PKO法(1992年6月)、テロ特措法(01年11月~07年)、イラク特措法(03年~09年)等の積み重ねにより自衛隊海外派兵を「付随任務」から「本務」化する(06年防衛「省」昇格法-自衛隊法「改正」)ことには成功した。しかし、自衛隊をインド洋、イラクに派兵した当の法律は、期間限定、派兵地域限定の特措法であり、既に失効した。自衛隊を海外派兵しようにも現在はできない。
 また、自衛隊を海外派兵し、米軍支援等を行ってきたが、「武力行使との一体化」は違憲とされ(自 衛隊イラク派兵違憲訴訟-名古屋高裁判決)、「海外における武力行使」も憲法上禁じられたままにあるからである(1981年「集団的自衛権についての政府見解」等)。
 このような状態を放置しておいては、「日米同盟-未来のための変革と再編」(05年10月)で確認した、「国際的な安全保障環境を改善する上での二国間協力」も、「他国との協力の強化」も進まない(注1)。また、自衛隊を、日本の“国益”、グローバル資本の権益を擁護するために出動、活動する部隊へと変えていくこともできない(注2)。
 何としてもこれらの制約を取り払い、自衛隊を海外に派兵するだけでなく、海外で武力行使もできるようにしていく必要がある。その方便として、“同盟国である米国を守る”ことは「自衛権」行使のうちで合憲、“国連等の行う平和活動への参加”の中での「武力行使」は合憲、という世論形成を図っていこうというのが安倍の狙いなのである。そして、その成功の上に、「集団的自衛権」行使を規定する「国家安全保障基本法」(注3)を制定し、さらに“いつでもどこへでも”自由に自衛隊を海外派兵できる一般法としての「国際平和協力法」(注4)制定へと踏み込んでいく、これが安倍が思い描く「安全保障の法的基盤の再構築」だ。ここまで進めば改憲せずとも自衛隊は実質的に「国防軍」化する。

  3 荒唐無稽、違憲そのものの4類型

 前述したように、安保法制懇は前回と同じメンバーで構成されている。結論は既に見えていると言っても過言ではない。しかも、日本をめぐる情勢は06~07年時より厳しさを増している。朝鮮は核実験を重ね、尖閣問題をめぐり中国との間では軍事的緊張も高まっている。それ故、世論調査でも、集団的自衛権行使について賛成との回答が45%となっている(注5)。安倍は、今度こそは最後までやり遂げようと考えているに違いない。

  しかし、安保法制懇が検討する4類型は、荒唐無稽、違憲そのものである。類型(1)(2)は、米国に対し正面きって攻撃(戦争)をしかける国家(テロリストには、魚雷、対艦ミサイル、ICBMは持てない)があるということが前提となっている。しかし、そのような国はない。北朝鮮が、もし米国に向けてミサイルは発射したら、北朝鮮は即座に反撃(核攻撃もありうる)を受け、国家そのものが消滅に至る。金正恩がそのような判断を下すことはあり得ない。中国は米国との間で「新冷戦」的状態にあるとも言えるが、他方では、相互に深い依存関係にあり、「戦略的パートナーシップ」を結んでいる。米中戦争はあり得ない。それは尖閣問題に対する米国の対応でも明らかだ(注6)。類型(1)(2)はそもそもあり得ないと言える。

 百歩譲って、北朝鮮ないし中国がそのようなムボウなことを仕出かすとして、(1)(2)のような事態に日本が実際に際会するだろうか?それもない。日米の艦船が並走するというような海戦はあり得ず、北朝鮮が米国に向けて撃つミサイルは日本の上空を通過もしないし、撃ち落す迎撃ミサイルもない(注7)。これでどうして集団的自衛権を行使できるのか。このような荒唐無稽な話を誰が真に受けるだろうか?
 また、(3)(4)は歴代内閣(イラク特措法を提案した小泉政権ですら)-内閣法制局が一貫して「そのような事態はあり得ない」「違憲」であるとしてきたことであり、名古屋高裁はイラクにおける武装米兵等の輸送業務を違憲とした。政府が提案する法案について、それが違憲か否かをチェックする権能・責任を有する内閣法制局が違憲とし、司法も違憲と判断した事項をたかが首相の私的諮問機関である安保法制懇が覆すなどということはあり得ない。そもそも首相には憲法遵守義務が課せられている。それを公然と破るような所業が許されるはずがない。
 
  4 集団的自衛権行使について検討する前にイラク戦争を検証しろ!

 この3月20日で、イラク戦争はまる10年を迎える。この戦争が違法な戦争であったことは今や誰の目にも明らかとなった。イラクに大量破壊兵器はなく、フセインがウサマ・ビン・ラディンと結託・共謀していた事実もなかった。ブッシュはウソを並べて“イラクの脅威”を言い立て、予防先制攻撃-イラク侵略を行った。国連憲章に全く反する戦争であり、戦争犯罪そのものだ。それ故、この戦争に参戦したオランダ、英国ではイラク戦争参戦について検証が行われ、政権の判断が追及されることとなった。ところが、米蘭同様にイラク戦争に参戦し、自衛隊に違憲の作戦に従事させた日本では、検証作業すら行なわず、居直りを決めこんでいる。

 そのような政権が、“日米同盟のため”と称して、「集団的自衛権」を合憲化しようとしている。そして、明文改憲すら回避して実質的な自衛隊の「国防軍」化を進めようとしている。米国が、「集団的自衛権」の名の下に行った戦争-レバノン派兵(1958年)、ドミニカ軍事介入(1965年)、ベトナム戦争(1965年)、ニカラグア軍事介入(1985年)等、これらは全て他国への侵略・主権侵害であった。日本はこれと同じことをしようというのか?そんなことはアジア太平洋戦争において日本から侵略された国の民衆が許さないだろう。
 安倍政権は、集団的自衛権行使について検討する前にイラク戦争を検証しろ。

(1) http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html
(2) 日本経団連「わが国の基本問題を考える-これからの日本を展望して」(2005年1月18日)、経済同友会憲法問題調査会「憲法問題調査会意見書 自立した個人、自立した国たつために」(2003年4月21日)、「日本商工会議所「憲法問題に関する懇談会報告書-憲法改正についての意見」(2005年6月16日)では、いずれも9条2項の改正、自衛隊海外派兵を打ち出している。
(3) 「国家安全保障基本法案」は、自民党国防部会防衛政策検討小委員会が作成、自民党総会が了承。2012年7月6日に公表。その第10条で「国際連合憲章に定められた自衛権の行使」を、11条では「国際連合憲章上定められた安全保障措置等への参加」を規定している。これらの規定により、集団的自衛権行使を認め、海外での武力行使を伴う作戦への参加も認める。
(4) 上記の「国家安全保障基本法」第11条を具体化する法として、「国際平和協力法」(一般法)を制定する。これについても、既に自民党が素案を出している。
(5) 2012年12月の、「朝日」・東大谷口研究室が共同で行った調査の結果。12年12月総選挙で当選した議員では賛成が79%に達した。
(6) 米国は、尖閣を「日米安保の対象地域」と言いつつも、領土主権問題には一切言及せず、日中両国に一貫して自制と、話合いのテーブルにつくことを求めている。訪米した安倍はオバマから日本支持の踏み込んだ発言を引き出そうとしたが、オバマは日本の「冷静な対応」を評価しただけであった。また、米議会調査局は、「米国が(尖閣問題で)軍事衝突に巻き込まれる可能性も」との報告書を発表、警戒している(2.21「共同」)。
(7) 詳しくは、「マガジン9」(http://www.magazine9.jp/)の、「マガ9対談 川口創さん×半田滋さん『検証:9条を骨抜きにするいくつかの方法について』」参照。

  平和の島・オーランド諸島(1)
  東京造形大学教授/無防備地域宣言運動全国ネット共同代表 前田朗 13年67号6面~7面
  
  朝日新聞社説

 『朝日新聞』一月六日「社説は「アジアの国境――繁栄わかちあう智恵を」と題して、領土問題にいかに対するべきかを説いている。

 「近隣国との信頼関係は、歴史認識をめぐる一部政治家の浅慮な」言動によって何度も揺るがされたとし「こうした不信の構造をどう、すれば崩せるのか」と問い、暫定的な答えとして、若者たちが向き合って議論をする地道な試みを紹介している。
 「社説」はオーランド諸島を引き合いに出す「今から一〇〇年近く前、北欧を舞台に始まった話である。」と始め、バルト海のオーランド諸島の領有問題を取り上げ、一九二一年の国際連盟の裁定によって、オーランド諸島がフィンランド領となるとともに、島を非武装化し、住民自治を認めたことが書かれている。日本の領土問題に関連してオーランド諸島を引き合いに出すのは、十分理由のあることだ。もっともオーランド諸島の歴史自体があまり知られていないし「社説」の冒頭にごく簡潔に書かれているだけなので、読者にどれだけ伝わるかな、という印象も持った。二〇〇八年夏にオーランド諸島を訪ねたので、その折の記憶をもとに若干の紹介をしたい。詳しくは当時『月刊社会民主』二〇〇八年一一月号から三回に分けて書いたので、参照していただきたい。

  平和の島を訪ねよう

 平和の島として知られるだけではなく、平和研究所を設置し、国際社会に平和づくりを発信してきたオーランド諸島を訪ねたのは二〇〇八年八月のことだ。オーランド諸島はフィンランド領なので、ヘルシンキから行くのかと思ったが、調べてみるとスウェーデンのストックホルムからの方が近いし、便利だ。飛行機で行けるという情報があったので、調べたが毎日飛ぶ定期便はないという。毎日、遊覧船が出ているので、それに乗ればよいことがわかった。
成田空港からスカンジナビア航空でデンマークのコペンハーゲン空港にゆき、乗り換えてストックホルムへ辿りつく。空港から電車で一時間程だったろうか、ストックホルム中央駅に着いたのは夜遅くだった。近くの安ホテルに泊ったためレストランもバーもなかった。空腹だったので、駅の近くをうろついて、チキンとビールにありつく。ストックホルムはおもしろい町だが、今回は省略。
 翌朝、駅の案内所でオーランド諸島への行き方を教えてもらった。ストックホルムの港から出る遊覧船に乗るコースと、まずはバスで東海岸へ出てから遊覧船に乗るコースがあった。後者の方が便利だと言うので、切符を買って駅ターミナルからバスに乗り込んだ。着いてみると、周囲には何もない海岸に、遊覧船専用の小さな発着港があった。どの客もなぜかキャスターを持っていたので不思議に思ったが、理由は後に判明する。

  爽快なアーキペラーゴ

 大型遊覧船は、ストックホルム東とオーランド諸島の首都マリエハムンの間を一日一往復している。客室フロアに入って座ったが、出航するや、みんなどんどん出て行く。後について甲板に出ると、お祭り状態だった。子どもたちが走り回る。あちこちで記念撮影している。出店はビール、コーラ、ファンタ。ピラフ、スパゲティ、ハンバーグ。スカンジナビアなので真っ青と言うわけにはいかないが、ほとんど雲のない水色の青空が広がる下、中年ポップ・バンドが演奏している。プレスリーからビートルズまで、六〇年代ポップスが中心だ。デル・シャノンの「ランナウェイ(悲しき街角)」、ポール・アンカの「ユー・アー・マイ・デスティニィ」、ニール・セダカの「ワン・ウェイ・チケット(恋の片道切符)」が続く。「スカンジナビアなのにアバはやらないのか」などと呟きながら、ポップコーンを食べた。
 船は白い航跡を残しながらアーキペラーゴの海を抜けて行く。小さな島や岩が広がる群島の海をアーキペラーゴという。スカンジナビア半島周辺、例えばデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにかけてアーキペラーゴの海だ。北海からバルト海にかけての地域だが、バルト海には大小二四〇〇〇もの島が点在すると言う。東アジアでは、フィリピンやインドネシアも同様の海を抱えているし、規模は小さいが朝鮮半島南西部にも似たような海がある。
 日本の瀬戸内海もそう呼べないこともないが、少し違うような気もする。オーランド諸島もアーキペラーゴだ。島の数は六五〇〇と言うから、バルト海の島の二五%を超える。それだけの島を全部合わせても面積は一五〇〇平方キロで、沖縄より若干広い程度である。六五〇〇の島と言っても大小さまざまで、しかも小が圧倒的に多い。それは島と言うよりも岩である。何もない吹きさらしの岩、一軒の家屋建物がポツンと建っているだけの島小さな灯台があるだけの島、満潮時には水没しそうな岩などが続く。

  キャスターを持って

 遊覧船内には、レストランとショップがある。お昼時のレストランは満員でごった返していた。ショップでお土産物でも見ておこうと回ってみて驚いた。お酒、ケーキ、チョコレートなど飲食品が多数並んでいるのと、貴金属、高価な腕時計や、小型の電気製品がズラリと揃えてあった。特に売れているのが、酒類だ。客はウィスキー、ワイン、ビールをダース単位で買っている。一瞬「オーランドに行くのに、なぜお酒を買っているのか。ひょっとしてオーランドではお酒は手に入らないのか」などと不安に思ったが、違った。
 オーランドの遊覧船内は関税免除となっているため、酒類を格安で販売している。ストックホルム市内で買うよりもずっと安い。休日は子ども連れで遊覧船に乗り、船内で子どもを遊ばせておき、大量に酒類を買って帰れば、遊覧船代を出してもお釣りがくると言う。だから、大半の客はオーランドのマリエハムンに着いても船から降りないで、そのままストックホルムに帰る。客はみなキャスターにお酒やお菓子を積み上げて、子どもはぬいぐるみを買ってもらって帰って行くのだ。遊覧船の稼ぎがオーランド諸島の収入の基本部分だと言う。(続く)

    原発民衆法廷  四日市法廷 浜岡原発廃炉決定下す
                                          13年67号8面         
 
    原発を問う民衆法廷第7回公判が2月11日、三重県四日市市内で開かれた。130人を超える傍聴者で超満員の四日市法廷が裁いたのは中部電力。静岡県浜岡原発に関して、新たに3~5号機の廃炉と6号機の建設の中止を求める決定を下した。また、未だに芦浜原発開発用地を所有したままで、原発建設を狙っている中部電力に対し、「開発用地や不動産を地方公共団体に寄付するなど、公企業としての社会的貢献をせよ」と勧告し、原発用地を手放すことを求めた。

   「漁協総会の委任状は公然と金で買われた」

  三重県南部の南島町(現南伊勢町)と紀勢町(現大紀町)にまたがる芦浜地区の中部電力原発建設計画に対し、住民は1963年の計画提示から37年間にわたって闘い2000年に白紙撤回させた。

  しかし、原発建設のための中部電力の「工作」は熾烈を極めた。旧南島町古和浦の住民・小倉紀子さんは証言した。「漁協総会の委任状は公然と金で買われた。小倉さんの夫が漁協理事となったとたん、猛烈な嫌がらせが始まった。注文をしていないのに商品が届く。最初は痔の薬だったが、次第にエスカレートし大きなダブルベッドが届いたこともある。「殺すぞ」「次はお前の番だ」などの脅迫の手紙や夜中の無言電話もあった。」「推進派だった隣の家とはいまだに言葉を交わすことはない」。原発は建設計画が持ち上がるだけで自治を破壊し、住民を引き裂き、地域を荒廃させることが証言された。

  民衆法廷は、5月熊本、6月福島と続き、7月東京で最終判決を下す。