自治体を市民の命を守る砦に 
   原発再稼働させるな 被災者・避難者要求を実現しよう
     "無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局 13年70号2面        
 
   暴走する安倍政権 カギ握る自治体

 参院選での自民党の圧勝から、安倍政権はまさに原発再稼働と戦争への道へ暴走を始めている。汚染水の垂れ流し、大飯破砕帯の結論先延ばし、原発輸出、集団的自衛権行使策動、ナチス賛美発言、自衛隊海兵隊創設や欠陥機オスプレイ導入策動、沖縄切捨てと一貫した侵略戦争賛美の態度など枚挙にいとまが無い。
 問答無用の振る舞いであるが、私たちは指をくわえて見ているわけにはいかない。国家権力を操るグローバル資本はしたたかで強大ではあるが、これらに抗することが地球環境と私たちの命を守ることになる。
 その闘いの大きなカギが中央政府に対する地方政府たる自治体であり、そこに暮らす市民である。

   独自施策で市民の命を守るのは自治体の義務

 新規制基準再審査申請を認めず、ベント工事も認めない新潟県知事の態度は政府・電力会社の横暴に歯止めをかけている。新潟県知事(元通産官僚)の動きの背景には、中越地震での経験とともに反原発の世論の下で、市民の命と安全を守るという行政の最大の責務をあいまいにできない自治体の立場がある。自治体は住民の存在が前提となって成立しているから、国の方針では住民の安全を守れないことが明白な場合、反対せざるを得ないのだ。ここに自治体を追及する展望がある。

 現行の原発法制が国に権限を専属させていて、ことあるごとに自治体は「権限がない」と逃げる。しかし、その法制が不備で市民の生命と安全を守れないのであるから、自治体が固有の事務として国に要求しまた独自政策を策定するのは当然のことである。地方自治法に規定される自治体の責務(住民の福祉の増進~1条の2)や、憲法前文(平和的生存権)、同13条(幸福追求権、人格権)、同25条(生存権)を根拠として、自治体が市民の生命・健康・幸福を原発被害から守るために、憲法が付与した自治権を行使することは義務ですらある。

 特に、原子力規制権限を国に留保しているのは法律以下の関係法令であって、先に示した憲法はそれら法律の上位規範であるのだから、この憲法に基いて自治体が独自措置をすることはまったく適法であり、権限外なことはない。自治体の「権限外」論という逃げ口上を許さない闘いをつくろう。自治体の国追随姿勢からくる不十分さを市民の運動で追及し、徹底して市民の命と生活を守る立場に立たせていく ことは可能だ。

   再稼働阻止・被災者避難者支援を自治体から

 9月15日をもって大飯原発が定期点検のため停止し、稼働原発ゼロとなる日本で、再度稼働させない闘いとともに、放射能健康診断無料化などの医療要求、避難・保養プログラムをはじめとした被災者・避難者の要求を実現させることである。この要求を実現し、全国の自治体に波及させれば、再稼働促進のために被災者支援を放置し福島事故の責任をとらない政府を許さず、ただちに政府に着手させる自治体からの包囲網を形成することができる。

 その際に重要なテコとなるのは、福島事故の現状と汚染の実態である。汚染水流出、福島事故の現実、甲状腺ガンの緊急事態など、事故の収束どころか国民の生存にとって極めて深刻な事態に立ち至っていること、そして要求が至極もっともであることを押し出すことである。

 また、無料健診や人権を基礎においた避難と補償、被ばく限度の勧告を行った国連グローバー勧告を活用し、これが国際基準であることを示して自治体にその実施を迫ることが必要である。そして、このことを広く市民に知らせ社会化し世論をつくることも必要である。

 確信をもって自治体担当者、知事、市長など首長、議員に、当該自治体の行政権のもとにある住民である被災者・避難者の命と健康を守るという自治体の使命を果せととことん迫り、自治体を反原発へと変革しよう。
  【沖縄から】   
   無防備平和な与那国島を - 住民投票で是非を
               
西岡 信之 (沖縄国際大学・平和学非常勤教員)  13年70号3面 
 
 「これからも、ずっと、へいわがつづくように ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」。

 今年6月23日の「慰霊の日」。糸満市の沖縄全戦没者追悼式で朗読した平和の詩「へいわってすてきだね」は、与那国町の小学1年生、安里有生君(6歳)が綴ったものだ。安里君は、追悼式で自らの詩を読み上げた。
 さわやかな感動を生んだが、政府は、沖縄がさも平和であるかのような宣伝に利用したことで、県民のひんしゅくをかった。

 与那国島は、日本の最西端。石垣島から120キロ、台湾まで110キロにある孤島。東京の大手町から芦ノ湖までの箱根駅伝とほぼ同じ距離で、晴れた日には台湾北部の3千メートル級の連峰が望める。
 与那国は、これまで一度も自衛隊も米軍も配備・駐留されたことがない「平和で無防備な島」だ。沖縄戦でも1944年10月と12月に米軍の空襲をうけたものの激しい地上戦は行われていない。軍隊のいない島は、大きな戦火から免れるのだ。その与那国島に自衛隊配備が、いま狙われている。

 8月11日、任期満了に伴う与那国町長選が行われ、現職の外間守吉氏(自民公認、公明推薦)が553票を獲得し、与那国改革会議議長で新人の崎原正吉氏(社大・社民・共産・県民ネット推薦)の506票を破った。47票差という僅差の勝敗は、有権者1128人、投票率95.48%、無効18票、棄権51票を考えると、ほとんど差がなかったことがわかる。最大の争点は、自衛隊誘致問題。当選した外間氏は、4年前の町長選挙と同じように自衛隊誘致を最大の公約にし、崎原氏は自衛隊誘致は、住民投票で是非を問うことを主張していた。

 外間氏が再選された前回4年前の選挙での差は、103票。先日の参議院選挙では、自民党の自衛隊推進候補が149票差であったが、今回の町長選では大幅に差は縮まった。外間氏は、二度の選挙で自衛隊誘致は島民の民意であり、住民投票はしないと当選の会見の場で語った。

 「無防備平和」の与那国島に本当に自衛隊を誘致していいのだろうか。外間氏は、「自衛隊と思わずに、経済振興策と考えてほしい」と持論を展開している。過疎化がすすみ島民の人口流出が続く中、自衛隊誘致しか島の未来はないという。しかし、島民人口1500人の島に、100人の自衛隊員とその家族が移住してくると、島民の10分の1以上が自衛隊関係者となり、永遠に「自衛隊支配の島」になる可能性は高い。町議会議員にも自衛隊関係者が占めるようになるだろう。自衛隊配備が必要かどうか、島の未来の方向性を問うには、住民投票で民意を問うべきだと地元新聞の社説でも取り上げている。

 70年余で10回を超える大日本帝国時代の出兵・戦争は、1874年2月の大久保利通内務大臣を中心とした「台湾蛮地処分要略」が閣議決定されてから始まる。国境の島嶼地域で起こった宮古島の遭難船事件を口実にして日本は侵略戦争に突き進んだ歴史に学ぶ必要がある。
 安倍政権の戦争国家づくり、南西諸島防衛強化としての与那国自衛隊配備は、沖縄を再び戦争の最前線におくものだ。

 無防備平和運動の根幹をなすジュネーブ条約追加第1議定書の「予防措置」=「軍民分離の原則」こそが、最も住民を安全・安心にする国民保護計画といえる。国境の島に軍隊はいらない。市民自治の観点からも「自衛隊配備の是非を問う住民投票」の実施で、平和な島をめざしてほしい。
 集団的自衛権行使の合憲化は侵略への道
       
  無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局   13年70号4面~5面
 
 1 集団的自衛権の全面解除狙う安倍政権

  参院選に「大勝」した安倍-自民党政権は、集団的自衛権行使の憲法解釈を覆すために躍起となっている。また、秋の臨時国会で秘密保護法を制定すべく準備を進めている。抵抗の大きい明文改憲については当面回避しつつ、解釈改憲によって戦争国家づくりを進めるというのが安倍の「手口」なのである。
 政権に復帰した安倍は、今年の2月、集団的自衛権行使に関する憲法解釈の変更に向けて安保法制懇を再招集した。安倍の意を受けた安保法制懇は、集団的自衛権の「法理的な禁止を全面解除」(北岡座長代理)すべく検討を進めている(「朝日」8.10)。柳井座長は、集団的自衛権の全面容認のみならず「防衛出動」要件の緩和を提言することを明らかにした(「東京」8.23)。
  また、安倍は、集団的自衛権行使を「憲法上許されない」との解釈を維持してきた内閣法制局の判断を変えるために法制局長官の首まですげ替えた。第1次安倍政権時の安保法制懇の事務局を担い、集団的自衛権行使=「合憲」化を進めてきた外務官僚の小松一郎を長官に据えたのだ。「スポーツの試合で自分に有利なように審判を代えるようなもの」(山崎拓・元自民党副総裁)だ。こうまでして安倍は集団的自衛権行使の合憲化を図ろうとしているのである。

  2 集団的自衛権とは何か

  では、集団的自衛権とは何か?政府は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止すること」と定義している。自民党はこれを「主権国家の自然権」だと言っているが、ウソである。それは、集団的自衛権が行使された実例を見れば一目瞭然だ。

1956年 旧ソ連によるハンガリー軍事介入
1958年 米国によるレバノン軍事介入
1958年 英国によるヨルダン軍事介入
1964年 米国などによるベトナム戦争 (~1975年)
1965年 米国によるドミニカ軍事介入
1968年 旧ソ連・ワルシャワ条約機構によるチェコ侵攻
1979年 旧ソ連によるアフガニスタン侵攻
1981年 米国によるニカラグア侵攻
1983年 フランスによるチャド軍事介入
1983年 米国のグレナダ侵攻
1990年 イラクのクウェート侵攻に対する湾岸戦争
2001年 米国とNATOアフガニスタン戦争

 ハンガリー、チェコへの軍事介入、アフガニスタン軍事侵攻について、旧ソ連はいずれも軍事同盟を結んだ相手側(実質的には傀儡政権)からの「要請」に基く「集団的自衛権の行使」であると説明した。米国のベトナム戦争も、南ベトナム傀儡政権からの「要請」によるものであり、「集団的自衛権の行使」が名分であった。ニカラグア侵攻は「隣国エルサルバドルなどの国の要請による集団的自衛権の援用」、グレナダ侵攻は「東カリブ海諸国機構の要請」と説明した。しかし、これらの集団的自衛権の発動は、殆どの場合外部からの武力攻撃が発生していない状態の下で行われた。「自衛」とは真っ赤なウソ、旧ソ連、米国等の自らの勢力圏、権益を守るための軍事介入、侵略でしかなかったことは明白だ。

 第1次世界大戦の甚大な被害、悲惨な結果は、「戦争の違法化」の流れをつくり出した。その結果、1928年パリで不戦条約が締結された。
 この条約の第1条は、「締約國ハ國際紛爭解決ノ爲戰爭ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互關係ニ於テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ嚴肅ニ宣言ス」と規定した。戦争は違法化されたのである。
 そして、1945年6月に設立された国連もこれを踏襲した。国連は憲章第1条第1項で、「国際の平和及び安全を維持すること」を目的と規定し、これを「平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現」すると宣言した。さらに第2条で、「国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」、「国際関係において、武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」との原則を確認したのである。
 しかし、国連憲章の51条は、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と例外的に自衛権を認めた。

 しかし、1944年に採択されたもともとの国連憲章草案には「集団的自衛権」という概念はなかった。ところが、1945年3月の米州諸国会議で、加盟国のいずれか1国に対する攻撃も全加盟国への攻撃とみなすという「チャプルテペック決議」が採択された。
 この決議は、米国が自分の“裏庭”と見なしていた中南米に反米・左派政権が誕生する恐れが出てきた中で、いざとなれば米国への忠誠を誓う政権を擁護する目的の軍事介入の権利を確保したいとの思惑から採択させたものであった。そして、米国はこの決議を大義名分にして、45年6月に調印された国連憲章に、「集団的自衛権」を国家の「固有の権利」として盛り込ませたのである。旧ソ連は社会主義「共同防衛」=東欧諸国への「介入の権利」を確保するためにこれに同調した。そして、先述したとおり、集団的自衛権は米国、ソ連等が自らの支配圏、勢力圏を「防衛」するための手段・口実としてのみ利用された。集団的自衛権という概念は、「東西冷戦構造」の中から生まれたものであり、もはや廃棄されるべきものなのである。

  3 安倍はなぜ集団的自衛権に固執するか

  米国、旧ソ連のような“超大国”としての「勢力圏」を持たぬ日本で、安倍はなぜ集団的自衛権行使を全面解除しようとするのか。自民党は「日米同盟を維持・強化するため」と説明している。
 しかし、日米首脳会談時(本年2月)、オバマ大統領は、「中国を刺激する懸念がある」として日本の集団的自衛権行使容認に支持を表明しなかった(「共同」2.1)。米議会調査局も、日米関係に関する報告書(8.2公表)で、「日本国内及び近隣諸国との矛盾を拡大しかねない」との懸念を示した。
 米国は一方で日本にアジア・世界で軍事上の役割分担を求めつつも、安倍の動きを手放しで歓迎・支持はしていないのである。

  安倍は米国の「要請」に応えると言いつつ、日本のグローバル資本の権益、市場・資源を確保・擁護守るために自衛隊を制約なく海外に出動させ、軍事行動=武力行使ができるような態勢を構築していくことを狙っているのである。その口実として集団的自衛権を使おうとしている。
 かつて、日本は、日英同盟を根拠に第1次世界大戦に参戦した。日英同盟の趣旨からすると必ずしも参戦しなければならない訳ではなく、日本の思惑については当の英国や米国、中国からも懸念が出されていた。
 しかし、日本は日英同盟を盾にとるかたちで、開戦から1か月後に強引にドイツに戦線を布告、中国の山東半島に兵を送り青島のドイツ軍を降伏させ、ドイツが経営していた山東鉄道を占領した。海軍は南洋諸島(マーシャル諸島、カロリン諸島、マリアナ諸島)に艦隊を派遣して占領し、この地域に軍政を敷いた。元老の井上馨は、第1次大戦を「日本国運の発展に対する天佑」と言い、「東洋に対する日本の利権を確立せざるべからず」と述べていたが、そのとおりに日本は動いたのである。そして、日本は中国に対し21か条の要求(ドイツ権益の日本への引渡し、旅順・大連の租借期限と南満州鉄道権益の期限を99ヵ年に延長すること、中国沿岸の港湾・島嶼の他国への不割譲等)を突きつけるに至った。
  第1次大戦を通して日本は膨張し、中国での利権を拡大していった。安倍は、その再現を夢見ているのかも知れない。しかし、それは結局、破滅への道でしかなかった。「戦後レジームからの脱却」を言い、「日本を取り戻す」と叫ぶ安倍は、同じ轍を踏もうとしていると言わざるを得ない。

  4 安倍の路線は行きづまる

  依然として安倍政権の支持率は高く、自民党は衆参両院で多数を占めている。しかし、安倍の思惑どおりにはことは進まない。共同通信の世論調査(8.24~25)では、集団的自衛権について「行使できないままでよい」47.4%に対し、「憲法の解釈を変更して行使できるようにした方がよい」は20.0%にとどまった。「朝日」の世論調査でも、集団的自衛権を使えるようにすることについて、「賛成」は27%に対し、「反対」は2倍以上の59%であった。多くの国民は、安倍の下心を見透かし、反対している。96条改憲を引っ込めざるを得なかったように、集団的自衛権行使の解釈変更も簡単には行かない。
  このことに確信をもち、安倍の戦争国家づくりを阻止していく運動を広げていこう。安倍の暴走を止める力は地域にある。再稼動反対、オスプレイ配備反対とともに集団的自衛権の禁止解除反対の声をあげ、地方議会での決議・意見書採択に結びつけていこう。

(注) 会報3月号掲載の「集団的自衛権行使容認-海外での武力行使合憲化を阻止しよう」を併せてお読み下さい。
  原発民衆法廷を国連人権機関に報告
  東京造形大学教授/無防備地域宣言運動全国ネット共同代表 前田朗 13年70号6面~7面
  
  諮問委員会にて

 原発民衆法廷第一〇回東京公判終了から三週間後、私たちは国連人権理事会諮問委員会に原発民衆法廷のことを報告することができた。

 諮問委員会とは、国連人権理事会の下に置かれた専門家機関である。人権理事会は、安保理事会や経済社会理事会と並ぶ国連の理事会だが、四七か国の政府が理事になる。人権理事会という名前だが、人権を外交的に扱う場である。人権の論理が純粋に貫かれるわけではなく、アメリカがイラク叩き、キューバ叩き、朝鮮叩きに利用してきた場所でもある。
 そうは言っても、人権という名称を冠しているので、世界人権宣言や国際人権規約をはじめとする国際人権法を尊重しなければならない。国際人権法の理論を構築するのは、人権理事会の下に置かれた専門家による諮問委員会である。
 諮問委員会第一一会期は、八月一二日から一六日までジュネーヴの国連欧州本部(パレ・デ・ナシオン)で開催された。初日午前中に入館手続きをして、会場に行ってみると、早々に議題の審議が始まった。最初の議題は「災害後・紛争後における人権の促進と保護」である。事務局が用意した報告では、キルギスタンの人権状況が取り上げられていた。また、諮問委員たちが次々と発言したが、ハイチ地震後の状況とか、太平洋の島嶼であるフィジー、サモア、キリバスの状況などであった。地震や津波のことは話題になったが、福島のことには誰も言及しなかった。
 そこでNGOの「国際人権活動日本委員会(JWCHR、前田弓恵)」は、原発民衆法廷について報告した。通常は事前に発言希望を出して団体名を登録するのだが、この時は事前登録がなく、その場で挙手をして議長に発言を求める方式だった。NGOの発言時間が来るや、すかさず挙手をして、いの一番に次のような発言をした。

 <私たちは二〇一二年二月から原発民衆法廷を開始し、福島、大阪、広島など各地で公判を開き、本年七月二一日の東京公判で判決を出した。判決は二八項目の勧告から成るが、原発の全面廃止を要求し、国連人権理事会に「原発事故と人権特別報告者」を設置すること、国連総会に原発禁止条約の採択を呼びかけることを盛り込んでいる。アメリカによる原爆投下から六六年後、福島原発事故は再び多くの被爆者を生んだ。事故から二年経っても被害は続いている。政府は除染作業を放棄し、被害者による自己管理を求めている。福島の子どもの甲状腺がん比率が急激に上昇している。子ども被災者支援法は機能していない。復旧のための被ばく労働も続いている。原発は棄民政策の上に成り立っている。国連人権理事会諮問委員会が、チェルノブイリと福島の教訓に学んで、災害後の人権について研究するよう要請する。> 
 JWCHR発言の後、諮問委員会のベンゴア委員、スーフィ委員などが福島の事態を取り上げる必要があると発言した。

  三つの諮問委員会決議

 諮問委員会は、人権理事会から諮問を受けた課題について専門的検討を加える。これまで、職業と身分の差別、ハンセン氏病と人権、テロと人質、平和への権利国連宣言などの報告をまとめて、人権理事会に送ってきた。「災害後・紛争後の人権の促進と保護」は前回の人権理事会で話題となって新たに議題とされたが、その最初のNGO発言がJWCHRであった。
 諮問委員会第一一会期は、八月一六日、閉会した。委員会は三つの決議を採択した。

 決議1は「災害後・紛争後における人権の促進と保護」であり、七人の委員による作業部会を設置し、報告者に鄭鎮星委員を指名し、諮問委員会第一二会期(二〇一四年二月予定)と人権理事会第二六会期に報告書を提出するとしている。 

 決議2は「人権分野における国際協力の強化」であり、九名の委員による作業部会を設置し、報告者にオカフォル委員を指名し、諮問委員会第一二会期と人権理事会第二六会期に報告書を提出するとしている。

 決議3は「腐敗が人権の享受に与える否定的影響」であり、一三人の委員による作業部会を設置し、パベル委員を報告者に指名し、諮問委員会第一二会期と人権理事会第二六会期に報告書を提出するとしている。 

 諮問委員会第一一会期の全体のまとめは、オカフォル委員が作成した報告書(A/HRC/AC/11/2)に記載されている。

   今後に向けて

 若干の感想を述べておくと、第一一会期はややさびしい会期であった。議題が以上の三つに限られていたこともあり、実質的な意見交換も少なく、報告書作成に向けた事務手続きに終始した感がある。平和への権利国連宣言のための審議が前会期で終了したこともあって、注目するべき議論はほとんどなかった。ズルフィカー委員は「前回一〇会期は平和への権利の議題しかなかったが、今回は三つあったので良かった」と言っていたが、違うと思う。

 平和への権利の議論は、委員だけでなく、多くの政府が賛否両論を闘わせ、NGO発言も相次いだ。そして、国連宣言草案が作成されて人権理事会に送られた(人権理事会に作業部会が設置され、議論が続いている)。今回は、発言したのはほとんど委員だけで、政府発言もNGO発言も過去最低の回数であった。

 発言以前に、有力NGOのほとんどが参加しなかった。国際的に評価の高い有名NGOは、諮問委員会に見向きもしなくなった。諮問委員会の権限が、かつての人権委員会人権小委員会と違って、極めて限定されているためだ。この点を見直さないと、諮問委員会はその役割を低下させ続ける一方だろう。

 ともあれ、私たちとしては原発民衆法廷の報告をすることが出来た。「災害後・紛争後における人権の促進と保護」は、今後、本格的な議論になる。福島の現実を国際社会に伝えていく場の一つとして、この議題に注目していきたい。できれば他のNGOにも声をかけて、諮問委員会に原発事故後の重大人権侵害について情報を提供していくことが望ましい。
 また、「事故後」だけでなく、本来ならば「原発と人権」を議論するべきである。国際原子力機関の存在があり、国連機関でそうした議論をすることは非常に難しいことは分かっているが、さまざまな回路で議論の機会を作っていく必要がある。そうすることによって諮問委員会の機能を回復させることができる。
   米はシリア攻撃をするな  日本は支持するな
     無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局    13年70号8面         
 
 米国によるシリア攻撃の危機が高まっている。8月21日、シリア、ダマスカス郊外で化学兵器による攻撃が行われ、多数の住民が犠牲となったことが報道され、米国は、この攻撃がアサド政権によって行われたと断定し、近く巡航ミサイルによる攻撃や空爆を行うという。しかし、この攻撃はアフガニスタンやイラク攻撃のように、国連憲章や国際法を無視したものであり、際限の無い暴力の連鎖と極めて多くの無辜の市民の人命の犠牲につながることが明白である。断じて攻撃を行ってはならない。

 まず、米国は化学兵器による攻撃がアサド政権によるものとしているが、その証拠は提示されておらず、国連調査団の調査は開始されているが、真相はいまだ確定していないのである。ありもしない大量破壊兵器の存在を理由に一方的な攻撃をおこなったイラク攻撃を再現させてはならない。

 第2。化学兵器使用は当然残虐兵器使用を禁じた国際人道法に反し、どちらが使用したにせよ言語同断である。しかし、それでもなお、この攻撃は、米英仏(英は、8/29英下院議会で攻撃反対が多数となり、攻撃には不参加となった)が独断で断定しただけの単独軍事行動であり、国連安保理決議を得ない武力行使は違法とした重大な国連憲章、国際法違反である。イラク攻撃のときでさえ、米国は国連安保理の承認を得ようとしたが、今回はそれすらしていない。戦争犯罪は、国連調査団の調査結果も含めて、国際法で裁かれ処罰されねばならない。

 第3。シリアへの巡航ミサイルによる攻撃や空爆は、罪の無い市民に多大な犠牲をもたらす。20万人近くの犠牲者を出したイラク攻撃のような極めて悲惨な結果になる。

 シリアはシリア沖に大規模な天然ガスが埋蔵されていることが近年明らかになり、さらにシリアは、エネルギー輸送ルートとして、大きな可能性を持った国なのだ。この構図の下に、政府側にはロシア、中国、イランが、反政府側には、米英仏やサウジアラビアなどが支援し、互いに政府側、反政府側に武器・資金援助を行っている。
 こうしたグローバル資本主義の世界支配の利益・資源争奪のためのシリア攻撃は断じて許してはならない。日本政府が、根拠も国連安保理決議すらない(あっても攻撃は認めてはならないが)なかで、攻撃を支持することは、憲法違反であることはもちろんのこと市民を殺戮する戦争国家であることを表明することに他ならない。断じて許してはならない。
  集団的自衛権行使先取りのオスプレイ軍事演習許すな
    
無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局    13年70号8面         
 
 10月上旬から滋賀県あいば野で日米合同軍事演習が行われる。日米軍事一体化の深化とともに、毎年おこなわれるようになったこの軍事演習は、今年は、日本で初めて欠陥機オスプレイを使用して行われる。内容は敵陣突入の兵員降下訓練と敵地攻撃での運用である。日米軍事演習では、すでに「壊憲」が進行しているのだ。

 自衛隊は来年度予算に1億円のオスプレイ導入のための調査費を要求しており、2015年オスプレイ配備を目指している。また、6月には米国での陸海空3軍参加の日米軍事演習で自衛隊のヘリ空母(実際は軽空母)「ひゅうが」に着艦訓練を行っている。

 まさに、自民党が打ち出している自衛隊の海兵隊創設と侵略軍化が着々と進められる中での演習となる。欠陥機オスプレイは、国民の命を脅かすと同時に米軍のアフガニスタン「不朽の自由作戦」や「イラクの自由作戦」に使用された強行侵攻能力をもつ侵略兵器なのだ。「専守防衛」をかなぐり捨てた集団自衛権行使を先取りするこの演習を見過ごすことはできない。

 7月の関西広域連合会合でもオスプレイ訓練受け入れが議題に上った際、嘉田滋賀県知事は、これに反対している。命をおびやかすオスプレイ軍事演習は自治体としても受け入れてはならない。自治体要請とともに、9月末に予定される「オスプレイ来るな!日米軍事軍演習反対あいば野集会」に参加しよう。沖縄のオスプレイ配備撤回を求め闘おう。