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2005年05月23日

沖縄タイムス「論壇」に”無防備”掲載

5月23日付沖縄タイムスの「論壇」に無防備が掲載されました。
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沖縄タイムス「論壇」 2005年5月23日(月)
  

     「無防備地域条例」制定を
             -自治体の住民避難指針に-

藤 中 寛 之

 有事の際、軍事目的のために国民の人権を制約する有事法制が整備され、憲法の平和主義が危機に瀕している。現在、沖縄県は国民保護法に基づき、具体的な住民避難等のあり方を定める「国民保護計画」を作成している。その際、中央政府の論理によって、沖縄が本土防衛の「捨石作戦」にされた沖縄戦の教訓を踏まえ、自治体は「住民の安全を守る」という第一義的な責務を果たすために何をすべきだろうか。ここでは、日本政府が昨年加入し今年の二月に正式発行した国際人道法のジュネーブ諸条約の第一追加議定書に規定された「無防備地域」(第59条)を根拠とする、「無防備地域宣言」という条例制定運動を紹介したい。

 この「無防備地域」は、「移動兵器の撤去」や「軍事行動を支援する活動の禁止」等の条件を満たした上で、自治体などの「適当な当局」が適切な時期と区域において宣言する。そうすることで、戦時における軍事優先政策に抗して、国際人道法の様々な住民保護規定の下、自治体等を中心とした集団的戦争不参加が国際的に保障され、地域住民の生命・財産や郷土を戦禍から守ることができる。

 この自治体の責務を、行政(国の指針)や議会に任せるのではなく、地域住民にとって譲ることのできない重要なテーマとして、地方自治法の直接請求制度を活用しようとする試みが「無防備地域宣言」という条例制定運動である。この運動は故林茂夫氏や松下圭一氏を主な提唱者とし、1980年代、小平市などで主婦等によって取り組まれ、近年、有事法制やイラク戦争などへの危機感から、大阪市や荒川区などで実施されている。今後、全国二十以上の市町村で取り組まれる予定だが、これらを支援するために「無防備地域宣言運動全国ネットワーク」(http://peace.cside.to)が設立されている。

 沖縄においても、すでに多くの市民や沖縄戦の研究者、政治家などが「無防備地域宣言」に関心を持っているのだが、この条例の参考となる先行的な取り組みとして、研究者や自治体職員・市民が、対等な立場で議論しあって作成した沖縄自治研究会の自治基本条例(案)がある。2002年5月、事前学習会で高良鉄美琉球大学教授は「自衛権と平和的生存権」と題して、国際的な条約にある非武装地帯への攻撃禁止と憲法9条は無関係ではないとし、島袋純助教授が「無防備地域宣言」を紹介した。その後、これに関連する前文や抵抗権、自治体の対外関係、住民投票制度等について議論がなされ条文化した。そして昨年11月、私は、無防備地域(地区)宣言は「住民の安全を守る」という自治体の最大の設立根拠を具現化する一つの施策であると提起し、道州制を想定した県レベルの自治基本条例(構想案-中間報告)の解説に盛り込むことへの合意を得た(2005年3月)。

 各地域において、一人ひとりの「平和への思い」を盛り込んだ無防備地域条例(案)を作成して制定し、自治体の住民避難等の指針とすることが、憲法9条の理念を内実化させる本当の意味での住民保護最優先主義に立脚した国民保護計画ではなかろうか。

(沖縄大学地域研究所 特別研究員)

投稿者 全国ネット : 2005年05月23日 14:10

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