« 2005年09月09日 | メイン | 2005年11月09日 »

2005年10月16日

10/13沖縄タイムス「論壇」に無防備記事が掲載

沖縄タイムス 「論壇」 2005年10月13日(木) 朝刊 より
-------------------------------------------------------------------

 非現実的な政府の指針-危機意識あおる国民保護計画-

                                         西岡信之

 衆議院選挙は、小泉自民党の大勝で終わった。選挙戦では「憲法守れ」「イラクからの撤退」は一部野党からあったものの、国民保護法に基づく国民保護計画について、ほとんど争点にならなかったことが残念でならない。

 国民保護法の意義を、政府は、武力攻撃事態が発生したときに、国民の生命、身体および財産を保護するための措置を迅速に実施することを目的とうたっている。今年三月、政府は「国民の保護に関する基本指針」を定め、この指針に沿って都道府県が国民保護計画を二〇〇五年度中に策定。〇六年度中に市町村が策定することになっている。鳥取県や福井県が保護計画策定を国からの指導で先行して進め、東京や大阪も素案や概案をそれぞれ発表している。沖縄県も、六月議会で「国民保護法関連」条例を可決し、現在「国民保護計画」を検討中だ。

 政府の「国民保護基本指針」とは、まったく非現実的でたわ言としか言いようがない。武力攻撃事態を、(1)着上陸攻撃(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃(3)弾道ミサイル攻撃(4)航空機攻撃-の四類型を想定し、(1)については、攻撃が事前に察知できるとのことから先行避難・広域避難とし、(2)から(4)までは、突発もしくは発生から避難までの時間が短いから屋内避難としている。着上陸攻撃事態で、数十万人を安全で迅速に非難させることは、すでに鳥取県のシュミレーションでも不可能なことが証明された。突発攻撃事態の「屋内避難」も考えなくとてもそれしか選択できないであろう。核兵器や生物兵器、化学兵器からの攻撃への対処にいたっては「手袋、帽子、雨ガッパなどで外部被曝を抑制する」など、とても広島、長崎の被曝国の政府の基本指針とは信じられないものだ。要するに、いったん武力攻撃事態が起こればどうしようもないということを政府自らが白状しているようなものだ。

 では、なぜ、このような実効性に欠ける国民保護計画を、政府は全国の都道府県と市町村に作らせようとしているのか。それは、国民保護に名を借りた戦争国家づくりを地域の隅々にまで浸透させるためだ。すでに策定された他府県の国民保護計画では、町内会単位をはじめ、学校や会社単位での避難訓練の徹底を求めている。自治体職員と住民に対して危機意識をあおり、職場・地域から戦時思考を深めることを狙っている。

 沖縄戦が始まる八年前の一九三七年に日中戦争が始まり、三八年に国家総動員法が施行され、空襲に備えての民間防衛組織の「警防団」が三九年に発足した。字単位での防火訓練が日常化され、住民は「銃後の守り」という名の下に戦意高揚のために駆り出された。国民保護法は国家総動員法の復活と言える。

 地域から戦争国家づくりを目指す政府の「国民保護基本指針」とは違う、対案が私たちには必要だ。ジュネーブ条約による「無防備地域宣言」は、非戦・非武装によって、地域を武力攻撃から守る一つの方法だ。市町村段階では国民保護計画の中に「無防備地域」を条文に含めることが求められている。
                                        (那覇市/会社員)

投稿者 全国ネット : 23:15 | 報道 /| 新聞 /| 沖縄 /| 沖縄タイムス | トラックバック (4)