2005年11月20日

戦争非協力自治体づくり研究会・”国民保護計画が発動される日”シミュレーション報告集会



 国民を戦争に巻き込む戦争法制として批判してきた国民保護法が、昨年6月に成立しました。小泉自公政権はさきの総選挙の結果を受け、平和憲法の改悪と結び国民保護法の具体化を積極的に進めようとしています。住民の暮らし、生命・財産を守るべき自治体が国の戦争体制に組み込まれるのは重大な問題と考えます。
 国民保護法は、平成18年度までに各市町村の国民保護協議会設置と国民保護計画作成を義務づけています。
 本集会は、この戦争に住民を巻き込む”国民保護計画”について、どの様な対応をとるべきか、ともに考え、行動する集会です。ぜひご参加ください。

  • とき   : 11月27日(日) 午後1時30分 開会
  • ところ  : 桐朋高校 視聴覚室 ( 国立駅南口徒歩15分)
  • 資料代 : 500円
  • 内容   : 1.記念講演 『国民保護法にどう対応するか』
                 講師 : 松井 繁明 (弁護士)
           2.報告 『住民避難シミュレーション』  他
  • 呼びかけ人
     平 和元 弁護士       松井 繁明 弁護士
     田中 隆 弁護士       上原 公子 国立市長
     渡辺 治 一橋大学教授   山内 敏弘 龍谷大学教授
  • 主催  : 戦争非協力自治体づくり研究会
           (代表:平 和元 弁護士)
  • 連絡先 : 三多摩法律事務所
      (042-524-4321、hisen-jichitai@freeml.com

ポスター (PDFファイル308KB)、案内はがき (PDFファイル144KB)

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2005年06月30日

「法と民主主義」2005年6月号 「軍隊のない国家、軍隊のない世界-世界の非武装国家」

「法と民主主義」399号(2005年6月号)

     軍隊のない国家、軍隊のない世界
        ――世界の非武装国家


     前田 朗(東京造形大学)

一 脱軍事化セミナー

 今年もジュネーヴ(スイス)の国連欧州本部において開催中の国連人権委員会でロビー活動を行った。日本関連のテーマとしては、いつものように日本軍性奴隷制問題の発言が非常に多かった(1)。
その他にも、ペルーの外務大臣はフジモリ問題を取り上げて、ペルーで裁判を行うために身柄引渡しを求めた。また、日本航空客室乗務員深夜免業問題、国家公務員法・堀越事件、アフガニスタン難民問題などについてNGOが発言を行った。
 人権委員会に参加するNGOメンバーは、人権委員会会期中に会議室を借りて、さまざまなセミナー(ブリーフィング、討論会、意見交換会)を開く。日本軍性奴隷制に関してもセミナーが開かれ、ソウルから参加した性奴隷被害者が証言したり、日本や韓国のNGOが問題解決を訴えた。
 数多くあるNGOセミナーの中に、四月一三日、「二七の非武装国家」というセミナーがあった。主催はNGOの「国連女性大学」だが、実際の主催は「脱軍事化を求める協会」というスイスのNGOであった。この協会は国連協議資格を有していないので、協議資格を有している「国連女性大学」が部屋を借りてセミナーを開催したのである。
セミナーの案内チラシには単に「二七の非武装国家」としか書いていなかった。非武装国家といえば日本では「軍隊を捨てた国・コスタリカ」が知られるが、二七という数字が明示されていたので、参加してみた(2)。
報告者は三人であった。まず「国際友和会」のミシェル・モノーである。ジュネーヴ在住の人権・平和活動家であり、かつて取り組まれた「軍隊のないスイス運動」にもかかわったということで、その報告をしていた(3)。「軍隊のないスイス運動」は、スイスで行われている国民投票を活用して、軍隊廃止をめざして国民投票に持ち込んだ。結果は約三〇%の投票を得たが、過半数を取ることはできなかった。しかし、国民投票が行われたことで、軍隊について、戦争と平和について活発な議論が行われ、その後のスイス平和運動の発展につながった。スイスでは、軍隊の戦闘機購入に対する批判が強まり、国民投票が行われたこともあるという。
 次に「国連女性大学」のポンチタ・コンチタである。彼女は国際労働機関(ILO)に二五年勤務した後にNGO活動家として国連人権委員会に参加してきた。報告の冒頭で「女性は平和運動の担い手か?」と問いを投げかけて、「女性=平和」というイメージは架空のものに過ぎない。それ自体がジェンダー差別による想定だった、と指摘した。それだけなら日本の有名なフェミニストも同じような発言を繰り返している。しかし、彼女は、そう指摘した上で、なおかつ「女性は真に平和運動の担い手であるべきだ。男性が平和運動の担い手たり得ないと主張するわけではないが、現実の国家・社会においては女性こそ平和運動のイニシアティブをとらなければならないし、そうすることが可能である」と主張している。政治・経済・軍事の現実を見れば、家父長制的な社会が軍事社会、軍事国家を形成しているから、女性の役割が重要だという指摘である。

二 二七の非武装国家

 セミナーの基調講演はクリストフ・バルビー(脱軍事化を求める協会のコーディネーター)であった。バルビーはフランドル(スイス)在住の弁護士で、『非軍事化と軍隊のない国家』(同協会、二〇〇一年)という小冊子の著者である(4)。
 バルビーは、軍縮過程を「脱軍事化」、軍隊が廃止された状態を「非軍事化」と呼んでいる。
 非軍事化の基準は、第一に、憲法において軍隊を保持しないと明言したり(パナマ、コスタリカ)、平時には軍隊を保有しないと規定したり(リヒテンシュタイン)、警察を置いているが軍隊については何ら言及していない例である。第二に、実際の制度である。警察、税関、国境警備隊と軍隊の区別である。第三に、現に武器や兵隊を保持していないことである。
 当日配布された資料や口頭説明によると、バルビーが掲げる非武装国家は次の通りである(5)。現在の主権国家数の一五%に当たるという。
以下、a地理的位置、b人口、c面積、d独立の年、e非軍事化の年代が判明している場合はその年代、f政治体制、g安全保障・防衛体制などである。ただし、すべての項目について説明や記載があるわけではない。

 アンドラ――a欧州(フランスとスペインの間)、b七万二千人、c四六八平方キロ、d一二七八年、e一二七八年、f議会制、g中立、フランス・スペインとは一九九三年に協定

コスタリカ――a中央アメリカ(ニカラグアとパナマの間)、b三八四万千人、c五万七百平方キロ、d一八二一年、e一九四八年、f議会制民主主義、g中立、積極的平和主義

ルクセンブルク――a欧州(ドイツ・ベルギー・フランスの間)、b四二万二千人、c二千六百平方キロ、d一八一五年、f立憲君主制、gNATO加盟国なので志願NATO兵九百人がいるが、国軍はない

モルディヴ――aインド洋、b二七万千人、c二九八平方キロ、d一九六五年、e一九六五年、f共和制、g積極的国際主義

サンマリノ――a欧州(イタリア内部)、b二万六千人、c六一平方キロ、d一二九五年、e、f議会制民主主義、g中立

リヒテンシュタイン――a欧州(スイスとオーストリアの間)、b三万二千人、c一五七平方キロ、d一八〇五年、e一八六八年、f立憲君主制、g中立

アイスランド――a北大西洋、b二七万六千人、c一〇万三千平方キロ、d一九四四年、e一九四四年、f共和制、gNATO加盟、なおケフラヴィク米軍基地がある

セントクリストファー・ネイヴィス――aアンティル、b四万三千人、c二六七平方キロ、d一九八三年、e一九八三年、f立憲君主制、g地域的安全保障、カリブ諸国機構

ドミニカ――aアンティル(グアデロープとマルティニクの間)、b七万千人、c七五〇平方キロ、d一九七八年、e一九八一年、f共和制、gカリブ諸国機構

グレナダ――aアンティル(セントヴィンセントの南)、b九万三千人、c三四四平方キロ、d一九七三年、e一九八三年、f議会制君主国、gカリブ諸国機構

セントルシア――aアンティル、b一五万人、c六二〇平方キロ、d一九七九年、e一九七九年、f議会制君主国、gカリブ諸国機構

セントヴィンセント・グレナディーン――aアンティル、b一一万二千人、c三八八平方キロ、d一九七九年、e一九七九年、f議会制君主国、gカリブ諸国機構

パナマ――a中央アメリカ(コスタリカとコロンビアの間)、b二七六万七千人、c七万七〇八〇平方キロ、d一九〇三年、e一九九〇年、f議会制民主主義、g中立

モーリシャス――aインド洋、b一一四万千人、c二千四五平方キロ、d一九六八年、e一九六八年、f共和制

パラオ――a太平洋、b一万九千人、c四九〇平方キロ、d一九九四年、e一九九四年、f議会制民主主義、gアメリカと協定

ヴァヌアツ――a太平洋、b一八万二千五百人、c一万二一八九平方キロ、d一九八〇年、e一九八〇年、f共和制、g地域的安全保障

ソロモン諸島――a太平洋、b四一万七千人、c二万八四四六平方キロ、d一九七八年、e一九七八年、f立憲君主制、g地域的安全保障

ハイチ――aアンティル、b七九五万二千人、c二万七七五〇平方キロ、d一八〇四年、e一九九五年、f議会制民主主義、gOAS

サモア――a太平洋、b一七万四千人、c二八四二平方キロ、d一九六二年、e一九六二年、f立憲君主制

キリバツ――a太平洋、b九万四千人、c七二八平方キロ、d一九七九年、e一九七九年、f共和制

トンガ――a太平洋、b九万八千人、c六九九平方キロ、d一九七〇年、f立憲君主制

ナウル――a太平洋、b一万千人、c二四平方キロ、d一九六八年、e一九六八年、f共和制

モナコ――a欧州(フランス南部、地中海)、b三万三千人、c一・八一平方キロ、d一二九七年、e遅くとも一七四〇年、f立憲君主制、gフランスと協定

クック諸島――a太平洋、b一万五千人、c二四〇平方キロ、d一九六五年、e一九六五年、f立憲君主制、gニュージーランドと協定

ツヴァル――a太平洋、b一万千人、c一五八平方キロ、d一九七八年、e一九七八年、f立憲君主制

ニウエ――a太平洋、b二千二百人、c二六〇平方キロ、d一九七四年、e一九七四年、f立憲君主制、gニュージーランドと協定

ミクロネシア連邦――a太平洋、b一一万四千人、c七〇〇平方キロ、d一九八六年、e一九八六年、f連邦制、gアメリカと協定

マーシャル諸島――a太平洋、b六万人、c一八〇平方キロ、d一九八六年、e一九八六年、f共和制、gアメリカと協定

ヴァチカン――a欧州(イタリア内部)、b八六〇人、c〇・四四平方キロ、d一九二九年、e一九二九年、f宗教国家、g中立

 非武装国家は世界各地に点在し、その地理的状況も政治的由来も異なるが、バルビーは、各国の安全保障政策について、国連機関に委ねる例、地域的安全保障の例、二国間条約による例、中立政策の例に分けている。中立政策の例はコスタリカ、サンマリノ、リヒテンシュタイン、パナマ、ヴァチカンである。また、非武装国家の特徴を、一部の例外を除いて民主主義国家であり、特に女性の権利が他よりも保障され、教育水準も比較的高いと述べている。さらに、人権水準も高く、死刑廃止国が多いこと、平和の文化が意識されていることを指摘している。最後に、いずれも小国であるが、人口約八百万のハイチも含まれる。同規模の多数の国家が軍隊を保有しているので、これらの諸国の脱軍事化が課題であると述べた。

三 非武装国家の特徴

 バルビーが掲げた諸国について、限られた情報ではあるが、特徴をいくつか整理してみよう。
 第一に、地理的状況はどうであろうか。欧州(アンドラ、ルクセンブルク、サンマリノ、リヒテンシュタイン、モナコ、ヴァチカンおよび北大西洋のアイスランド)、中央アメリカおよびアンティル・カリブ地域(コスタリカ、セントクリストファー・ネイヴィス、ドミニカ、グレナダ、セントルシア、セントヴィンセント・グレナディーン、パナマ、ハイチ)、インド洋(モルディヴ、モーリシャス)、太平洋(パラオ、ヴァヌアツ、ソロモン諸島、サモア、キリバツ、トンガ、ナウル、クック諸島、ツヴァル、ニウエ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島)である。非武装国家はたしかに各地に点在している(6)。
 第二に、非軍事化の時期と原因に着目してみよう。まず、第二次大戦以前からの非武装国家(アンドラ、サンマリノ、リヒテンシュタイン、モナコ、ヴァチカン、そして第二次大戦中に非武装となったアイスランド)はすべて欧州である。一九七〇年以前の非武装国家(コスタリカ、モルディヴ、モーリシャス、サモア、ナウル)に対して、残りのほとんどが一九八〇年頃よりも後の非軍事化である。
 同じく時期について、独立年と非軍事化が同じ場合(アンドラ、モルディヴ、アイスランド、セントクリストファー・ネイヴィス、セントルシア、セントヴィンセント・グレナディーン、モーリシャス、パラオ、ヴァヌアツ、ソロモン諸島、サモア、キリバツ、ナウル、クック諸島、ツヴァル、ニウエ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ヴァチカン)と、独立以後に非軍事化した場合(コスタリカ、リヒテンシュタイン、ドミニカ、グレナダ、パナマ、ハイチ、モナコ)がある。
 非軍事化の原因は定かでないが、以上の点からも推測できるように、植民地や信託統治領からの独立に際して軍隊を新設しなかった場合と、政治的軍事的理由から軍隊を廃止した場合がある。後者の中にも、積極的に平和主義を掲げて軍隊を廃止した場合(コスタリカ)と、外国軍によって独裁政権が打倒された後に非軍事化した場合(パナマ、ハイチ)がある。日本は一時期この例であったことになる。
 第三に、国家の規模に着目してみよう。世界最小国家ヴァチカンをはじめとして、小規模国家が多い。人口百万人を超える国家(コスタリカ、パナマ、ハイチ)は三カ国に過ぎない。面積が一番広いパナマはほぼ北海道に匹敵する。日本全体の二割程度である。醒めた言い方をすれば、自前の軍隊を備える国力(経済力、人口)のなかった諸国が多い。あるいは、歴史的政治的理由から軍隊がおよそ必要なかった(モナコ、ヴァチカンなど)ともいえる。とはいえ、バルビーが指摘するように、同じ規模の国家はたくさんあり軍隊を保有しているので、それらにおける脱軍事化と非軍事化が課題である。
 第四に、安全保障政策は、バルビーも触れていたが、国連に委ねているので特段の政策を掲げていない例、地域的安全保障(NATO、カリブ諸国機構)、二国間条約(パラオ、モナコ、ニウエ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島)、そして中立や積極的平和主義(アンドラ、コスタリカ、モルディヴ、サンマリノ、リヒテンシュタイン、パナマ、ヴァチカン)がある。
 第五に、死刑存廃である。バルビーは「死刑廃止国が多い」とだけ指摘していた。非武装国家のうち死刑廃止国は、アンドラ、アイスランド、サンマリノ、ヴァチカン、モナコ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、コスタリカ、ドミニカ、ハイチ、パナマ、キリバツ、ソロモン諸島、ツヴァル、ヴァヌアツ、パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦である。また、通常犯罪のみ死刑を廃止した国はクック諸島である(7)。非武装国家の多くが死刑廃止といえるが、逆に死刑廃止国の大半は武装国家である。

四 非軍事化の課題

 セミナーの質疑応答の際に、私は「憲法九条に戦力不保持・戦争放棄とあるのに、日本政府は自衛隊をイラクに派兵した。日本の平和運動も努力しているが力不足が恥ずかしい」と述べた。
 これに対して、バルビーは「日本国憲法九条は人類の貴重な財産であるから、改悪されないように頑張って欲しい」と励ましてくれた。ミシェル・モノーも「日本国憲法九条は日本にとっても重要だが、世界にとっていっそう重要だ」と発言した。
 また、私は「日本では昨年からジュネーヴ諸条約第一追加議定書五九条に注目して、自治体で無防備地域条例をつくろうという運動が始まっている。昨年は大阪と枚方で条例制定要求に必要な署名を集めた。今年になって荒川と藤沢でも集めた。残念ながら自治体議会では条例案は否決された。赤十字国際委員会によると、第一追加議定書に基づく無防備地域宣言の前例はまだない。だから、日本では世界初の無防備地域条例を目指して、各地で続々と運動が起きている。これは小さな取り組みに過ぎないが、地域社会における平和意識を掘り起こし、平和運動の活性化をはかり、ひいては憲法九条の精神をもう一度、日本社会に根付かせるための重要な取り組みだと信じている」と述べた(8)。
 バルビーは「第一追加議定書は知っていたが、そうした運動がありうるとは考えたことがなかった。まさに私が主張してきた脱軍事化の運動である。ぜひ詳しく知りたい」と述べた。モノーも「軍隊のないスイス運動は国民投票がない国では難しいと言われた。しかし、無防備地域宣言が運動になるのなら世界で取り組むことができる。非常に重要な取り組みなので、スイスでも議論してみたい」と述べた。
 多くの非武装国家の実例が私たちに問いかけるのも同じ課題である。日本国憲法九条の歴史的意義はいまなお輝いている。その輝きに曇りをもたらしているのは、日本政府の憲法破壊政策である。メディアにおいても、いつの間にか軍事化した日本国家に追随した報道が当たり前になってしまった。平和教育への攻撃も激しさを増している。日本社会の平和意識にも陰りが見られる。
 こうした現実に挑む反戦平和運動を再構築するために、私たちは、非暴力平和主義の思想と運動を改めて学び直す必要があるのではないか。「戦争ができる普通の国」などという不見識な主張に惑わされず、非武装国家の現実に目を向け、地域の非武装化、そして軍隊のない世界を目指す射程の長い運動を粘り強く闘う必要があるのではないか。
 バルビー、モノーらスイスの平和運動とは、夏に開催される国連人権小委員会で再開することを約束してきた。七月下旬には再びスイスを訪れる。その際、無防備地域運動の資料も持参するつもりである。憲法九条を世界に「輸出」したかったが、今や「輸出」などと言える状況ではない。憲法九条を守り実現することが世界の反戦平和運動への貢献であるが、同時に無防備地域運動を世界に「輸出」することも考えたい。
 非暴力・非武装・無防備の思想と運動を世界から日本へ、そして日本から再び世界へ!



(1) 前田朗「国連人権委員会六一会期における『慰安婦』問題」統一評論四七六号(二〇〇五年六月)参照。
(2)コスタリカについては、「コスタリカに学ぶ」法と民主主義三九四号(二〇〇四年一二月)等参照。
(3) 軍隊のないスイス運動については、伊藤成彦『軍隊のない世界へ』(社会評論社)参照。
(4) Christophe Barbey, La non-militarisation et les pays sans armee, APRED, 2001.
(5) セミナーではニ七カ国としていたが、バルビーの著作にはニ九カ国が掲載されている。前者になくて後者に掲載されているのはルクセンブルクとトンガである。「脱軍事化を求める協会」のウエッブサイトにもニ七カ国が掲載されている。http://www.demilitarisation.org/
(6) 澤野義一「外国憲法の平和条項はどうなっているか」憲法研究所・上田勝美編『日本国憲法のすすめ』(法律文化社、二〇〇三年)は「軍隊を保有しない国」を二八カ国掲げている。ルクセンブルクがなく、アフリカのガンビアとマリが掲載されている点がバルビーと異なる。
(7) 『年報死刑廃止二〇〇四』(インパクト出版会、二〇〇四年)。
(8) 無防備地域宣言については、前田朗「無防備地域(地区)宣言とは何か」法と民主主義三九四号(二〇〇四年一二月)、同「平和運動の新しい風 無防備地区宣言運動」救援四二九号(二〇〇五年一月)、同「地域から平和をつくる――無防備地域(地区)宣言運動を広げよう」青年法律家四〇七号(二〇〇五年一月)、同「無防備地域宣言とは何か」世界七三六号(二〇〇五年二月)参照。

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2005年05月31日

6/19無防備地域宣言運動全国ネットワーク全国総会のご案内

 無防備地域宣言運動全国ネット会員の皆さん
 無防備地域宣言運動に関心をお持ちの全国の皆さん

 当全国ネットワーク全国総会のご案内を申し上げます。
 (3週間先に迫ってからのご案内になってしまったことお詫びします。)

 今回の総会は、昨年3月7日大阪での結成以来の全国総会となります。
 この間、大阪市に始まり、枚方市、荒川区、藤沢市と4自治体で直接請求がなされ、今また西宮市においても6月2日に選管に署名提出の運びとなっています。

 ここまで大きく広がった無防備地域宣言運動ですが、やはり有事法-国民保護法の下での戦争国家作りへの危機感と、逆に平和な地域を作っていこうという粘り強いエネルギーが根底にあるのだと思います。

 総会では、こうした今日的な情勢を明らかにしながら、無防備~条例化の運動が国内外にいっそう飛躍して行くための意見交換を行って行きたいと思います。

 この間、全国各地からさまざまな形で無防備地域宣言運動を支え、応援してくださいました幅広い皆様のご参加を期待しています。

 下記の、実施要綱の概略をご参照していただいて、是非多くの皆様のご参加をよろしくお願いいたします。

                        記

 ・日時:6月19日(日) 13時~16時
 ・場所:大阪市北区神山町11-12 山西福祉記念館
        地図
 ・提案:年間活動総括方針(事務局)
    ~討議「無防備地域宣言運動はどこまで来たか-次なる課題に向かって」
 ・連帯挨拶、アピール:バークレー市平和と正義委員会、イラク自由会議…etc.
 ・記念講演:澤野義一(大阪経済法科大学教授)
          「無防備地域宣言運動この一年~宣言条例化の意義」(仮題)
 ・参加費(会場費、資料代):700円

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無防備地域宣言運動全国ネットワーク:事務所
大阪市東成区東小橋1丁目15-1(〒537-0024)
TEL/FAX:06-6977-6050  携帯 : 090-3050-2992
E-mail:peace@cside.to
URL:http://peace.cside.to/
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2005年03月17日

講演会「イラク戦争、憲法9条と私たち」

「市民の意見30の会・東京」、「市民意見広告運動」主催の講演会の案内です。

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4月10日(日)に、小田実さん、澤地久枝さん、鶴見俊輔さんをお招きし、講演会「イラク戦争、憲法9条と私たち」を開催します。
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 今年の4月30日は、ベトナム戦争が終了してから満30年に当たります。
 ベトナム戦争の際、日本政府は、安保(日米安保条約)がある以上この国は中立ではありえないと言明し、ベトナム侵略に全面的に加担しました。
 そしていまイラクで30年前と同じような泥沼の状況に入り込んでいるアメリカにひたすら寄り添い、ついには自衛隊までも戦地に派遣するにいたり、さらにそれをこれからの日本の常態にさせようと、憲法9条の改悪まで行なおうとしています。

 イラク戦争、自衛隊派兵、そして憲法改悪に対し、日本の私たちはどうすべきか、それを3人の講師の方々と一緒に考える場として、この講演会を準備しました。

 講師の方々は、ベトナム戦争に反対する市民運動の中で大きな役割を担われ、また、現在も「九条の会」の呼びかけ人として活動を続けられている方々です。
 いま私たちがすすめている「憲法9条を変えることに反対する意見広告運動」に全面的に賛同、支持されています。

 ベトナム終戦30年のいま、イラク戦争、そして憲法9条と私たちのなすべき仕事を一緒に考え、ともに行動しませんか。
 会場は、定員2,000人という大きな収容人員のホールです。
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■講演会:「イラク戦争、憲法9条と私たち・ベトナム終戦30年のいま」
■日 時:4月10日(日)午後1時~5時
■会 場:昭和女子大学人見記念講堂
■会場住所:東京都世田谷区太子堂1-7-57
   地下鉄:渋谷駅から東急田園都市線で2つ目「三軒茶屋駅」下車、徒歩5分
   バ ス:JR渋谷バスターミナルより三軒茶屋方向行き、昭和女子大学前下車
■講 師
  ・小田 実(作家、「九条の会」呼びかけ人、「市民の意見30・関西 」代表、元「ベ平連」代表)
  ・澤地久枝(作家、「九条の会」呼びかけ人)
  ・鶴見俊輔(哲学者、「九条の会」呼びかけ人)
■主 催:市民の意見30の会・東京、市民意見広告運動
■協 賛:BOOMERANG NET(ブーメランネット)
■参加費:1,000円 (高校生以下は500円)
■連絡先
  ・〒151-0051 
  ・東京都渋谷区千駄ヶ谷4-29-12-305
  ・市民意見広告運動 
  ・事務局(吉川勇一・井上澄夫)
  ・TEL・FAX: 03-3423-0185
  ・Mail:info@ikenkoukoku.jp

 <市民の意見30の会・東京>
   http://www1.jca.apc.org/iken30/

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2005年01月24日

「救援」429号(2005年1月)

救援連絡センターの月刊紙「救援」 429号(2005年1月)に掲載された前田 朗・東京造形大学教授の記事を紹介します。(転載許可をいただいています)
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平和運動の新しい風   無防備地区宣言運動

             前田 朗(東京造形大学)


大阪と枚方からの風

 無防備地区宣言をめざす市民運 動が徐々に広がり始めた。一一月二〇日、朝日新聞は「世界にない戦争非協力のまち 高い壁でも市民は模索」と報じ、一二月一六日、東京新聞は「無防備地域 宣言 全国各地で市民運動 草の根反戦新しい風」という特集記事を掲載した。

 地方自治体に無防備地区宣言条例の制定を求める住民運動に、二〇〇四年にチャレンジした のは大阪と枚方の市民だ。

 自治体に条例の制定を求めるためには有権者総数の五〇分の一の署名を一ヶ月間に集める必 要がある。大阪市では四月二四日からの一ヶ月で必要な四万二〇〇〇を超える六万一〇四七筆の署名を集めて市議会に「大阪市非核・無防備平和都市条例」の制 定を求めた。枚方市では八月二七日から一ヶ月で必要数の三倍にあたる一万八六二一筆の署名を集めて「枚方市平和・無防備都市条例」の制定を求めた。残念な がら両市議会とも住民の請求を否決してしまい、世界初の無防備宣言条例はまだ実現していない。二〇〇五年初頭、荒川区と藤沢市の住民が一番乗りを目指して 走り出す。西宮、大槻、大津、奈良、国立、板橋など各地に運動が広がり始めた。

 一九七七年のジュネーヴ諸条約第一追加議定書第五九条一項は「無防備地区を攻撃すること は、手段のいかんを問わず、禁止する」とし、同二項は「紛争当事者の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近又はその中にある居住地区であって敵対する紛争当事者による占領に対して開放されているものを、無防備地区と宣言することができる」としている。無防備地区の条件は四つである。

a すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること。

b 固定された軍事施設の敵対的 な使用が行なわれないこと。

c 当局又は住民により敵対行為 が行なわれないこと。

d 軍事行動を支援する活動が行 なわれないこと。

 つまり、軍隊のない地区である。軍隊がいなければ、相手国にとっても攻撃する理由がない。国際法上の武力行使は敵軍の戦闘能力を低減させ、自軍が優位に立つことを目指すものである。 敵軍が存在しないところで戦闘は意味を成さないから、発砲なしに占領し、占領行政を行なって平穏と市民生活を守る義務がある。無防備地区を攻撃すれば軍事 目標主義にも反し、民間人に対する攻撃や民用物に対する攻撃となるから戦争犯罪に当たる。

 同四項は、紛争当事者の適当な 当局が「敵対する紛争当事者に対して」宣言を申し入れることとし、無防備地区の境界を特定し、通告を受けた紛争当事者は受領したことを知らせ、無防備地区 として扱わなければならないとしている。

 日本政府は二〇〇四年の一五九 国会においてジュネーヴ諸条約第一追加議定書を批准したので、日本で無防備地区宣言を行なう可能性が出てきた(従来、無防備地域という訳語が用いられてき たが、日本政府訳は無防備地区となっている)。


自治体の住民保護責任

 地方自治法第一条の二は、地方 自治体と国の役割配分を規定し「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割」を定め「住民の身近な行政 はできる限り地方公共団体にゆだねる」「地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない」としている。日本国憲法第一条は国 民主権を掲げ、同九二条は「地方自治の本旨」を規定している。地方自治の本旨の基盤には住民主権が据えられなければならない。憲法第三章は一連の基本的人 権を列挙し、同第九七条は基本的人権の本質を「侵すことのできない永久の権利」とし、第九八条は憲法の最高法規性と条約誠実遵守を定めている。第九九条は 公務員の憲法尊重擁護義務を明示している。

 以上から自治体は住民の命と暮 らしに責任を有し、住民の福祉の増進を図らなければならず、自治体が武力攻撃の対象とならないように努力する責務がある。自治体は住民の基本的人権を保障 するよう努力し、最高法規である憲法を擁護しなければならない。

 もともと憲法第九条は、武力の 行使を永久に放棄し、陸海空軍その他の戦力不保持、交戦権の否認を掲げている。つまり「軍隊のない国家」である。従って自治体は憲法第九条とジュネーヴ諸 条約第五九条がともに示しているように軍隊のない地区を実現するように努力しなければならない。そのことが憲法の人権規定や住民の福祉にも完全に合致す る。

 国民主権を掲げる日本国憲法は 議会制民主主義という間接民主主義を採用しているが、同時に第一六条に請願権を明示している。地方自治法第五章は自治体有権者の直接請求として条例制定請 求を記している。国民主権に対応する住民主権の表現形態である。この観点からも無防備地区条例採択が要請されている。

 日本政府は、外交・防衛は政府 の専権事項であって自治体は無防備地区宣言をなしえないとか、仮に一般論としてはなしうるとしても有事法制・国民保護法を制定している以上これに反する条 例制定はできないとする。大阪・枚方両市議会は日本政府見解に従って条例制定を否決してしまった。

 しかし政府見解は誤りである。 第一に憲法には防衛が政府の専権事項であるという根拠がない。行政権は内閣に属するが、憲法第九条のもとで武力による防衛は認められない。第二に仮に防衛 が政府の専権事項だとしてもその手段・方法は憲法に合致していなければならない。第三に政府はイラク特措法をはじめとする違憲の法律を作り既成事実を積み 重ねながら、軍事化の一途を歩んでいる。憲法に即した政策に反対することは許されない。第四に国民保護法は国民を守らない。名称は国民保護法だが、実態は 戦時動員法である。武力攻撃事態となれば従来は住民救援活動の一翼を担ってきた自衛隊は住民救援活動を行なわない。自治体の責任で住民を保護しなければな らない。そのためにも無防備地区宣言は有効な選択肢のひとつである。

 二〇〇五年には無防備地区宣言 運動が大きく広がることが期待される。詳しくは前田朗「地域から平和をつくる無防備地区(地域)宣言運動」法と民主主義三九四号三章。

無防備地区宣言運動全国ネットワーク http://peace.cside.to/

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2005年01月11日

「無防備地域宣言条例」~直接請求運動のブックレット

 無防備地域宣言運動全国ネットワークより、「戦争をなくす!あなたの町から 無防備地域宣言を」と題して、ブックレットを発刊しました!

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 大阪市、枚方市に続き、いよいよ東京都荒川区、神奈川県藤沢市で無防備条例直接請求署名運動が始まろうとしています。今後の運動に少しでもお役に立てればとの思いから、ブックレットの発行を思い立ち、発刊いたしました。
 第一部では、ジュネーブ条約や平和憲法擁護のたたかいとの関係を解説し、有事法体制-国民保護法についても言及しています。
 第二部では、条例づくりから直接請求運動の具体的な展開と議会審議に対する取り組みなどについて説明し、実際の市議会での質疑についても触れています。

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                      <目 次>

第一部 地域から戦争をなくす無防備地域宣言運動
    ・「無防備地域宣言運動」とは何か?
    ・無防備で大丈夫なのか?本当に住民を守れるのか?
    ・政府は国民保護法で守ると言っているのではないですか?
    ・憲法九条を守る運動とはどうつながるのですか?
    ・では、どうやったらそれが実現できるのですか?

第二部 市民の手で「無防備宣言条例」を作ろう!
    Q1:条例はどうやって作るのですか?
    Q2:市役所に対する手続きは何から始めますか?
       また日程はいつ頃から?
    Q3:請求代表者、受任者には誰でもなれますか?
    Q4:署名集めにはどのようなことに注意してすすめますか?
    Q5:議会での審議に対してはどんな準備や取組をしますか?
    Q6:大阪市ではどんな質問が出されましたか?
       それへの答弁、討議についてはどうでしたか?

資料 枚方市議会臨時本会議における請求代表者松本健男意見書
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A5版、70ページ、定価:¥700(税・送料別)
 (お支払は商品到着後、郵便振替でお願いしています)
ご注文は、無防備地域宣言運動全国ネットワークのホームページよりお願いします。

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2005年01月08日

無防備運動が『世界』2月号に掲載

本日(1/8)発売の世界2月号に無防備地域宣言運動の記事が掲載されています。
是非、ご覧ください。

sekai200502.gif ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 住民の安全
 <座談会>地域の平和を本気で守るために――「無防備地域条例」とは何か
   桝田俊介(大阪市)、大田幸世(枚方市)、岡村孝子(藤沢市)
   高瀬幸子(荒川区)、北原久嗣(国立市)

 <解説>「無防備地域」宣言とは何か
   前田 朗(東京造形大学)
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ■岩波書店『世界』

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2005年01月05日

無防備地域宣言!をめざす集い

     =====================
     戦争をなくす!あなたの町から無防備地域宣言を!
          無防備地域宣言!をめざす集い
     =====================

 「無防備地域宣言運動」とは、国際法に基づき、町から戦争をなくす運動です。
 自治体とそこに生活する住民が、その地域から戦争とその火種をなくしていくため、平時から戦争不参加の意思を表明し、そのために地域の非軍事化に努め、戦争の危機が迫った場合には自治体が無防備地域を宣言して戦争から離脱し、あくまで政府の誤った戦争政策に隷従することなく、地域住民の生命・財産を戦禍から積極的に守る運動です。
 昨年4月に大阪市で取り組みが開始され、次の枚方市では住民の直接請求による条例案が総務委員会で審議されるまでに至っています。
 1月には東京の荒川区、神奈川の藤沢市でも住民の条例制定を求める直接請求署名が始まります。他の多くの地域でも準備が行われています。
 大阪市・枚方市の取り組みの成果を踏まえて、小泉政権による戦争体制づくりが強まるいま、この運動の意義をあらためて確認するとともに、条例制定の実現に向けて交流を行いたいと思います。
 是非、ご参加ください。

 ■日時 : 2005年1月10日(月・祝) 13時30分開場、14時開会
 ■場所 : 東京都南部労政会館 03-3495-4915
        (品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎ウェストタワー2F)
 ■プログラム
   ・講演 : 澤野義一教授 (大阪経済法科大学・憲法学)
   ・報告 : 枚方市、荒川区、藤沢市など各地域から
 ■参加費 : 1000円

 ■主催 : 無防備地域宣言運動全国ネットワーク
   後援 : 無防備地域宣言をめざす荒川区民の会
        非戦のまち・くにたちの会
        戦争非協力・無防備地域条例をめざす藤沢の会
  連絡先 : 080-5054-6552 (國井)

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2004年12月28日

「法と民主主義」12月号(無防備特集)

「法と民主主義」2004年12月号(無防備特集)が発行されました。(日本民主法律家協会)

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http://www.jdla.jp/houmin/index.html


前田 朗氏の文章について転載許可を頂きましたので、全文掲載いたします。
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無防備地区(地域)宣言とは何か
   --憲法九条を守る運動ではなく、憲法九条を実現する運動を

前田 朗(東京造形大学)

一 広がり始めた住民運動
  ――大阪市民の挑戦

 二〇〇四年、各地で「無防備地区(地域)宣言条例」を求める住民運動が立ち上がり、徐々に広がり始めた。

 「無防備地域宣言運動全国ネットワーク」のウエッブサイト(1)には、大阪府大阪市、枚方市、高槻市、東京都荒川区、国立市、神奈川県藤沢市、兵庫県西宮市、滋賀県大津市等の取り組みが掲載されている(一二月一三日現在)。東京都板橋区、鹿児島市、奈良市などでも準備活動が始まっているという。

 最初に走り出したのは大阪市民であった。

 「無防備地域宣言」。二〇〇四年春のことだ。当時はほとんど誰も知らなかったこの言葉をでかでかとチラシに書き、ポスターを貼りまくり、ハチマキを巻き、幟を立て、大阪の繁華街や市内各所に陣取り、条例制定要求の署名活動を始めたのだ。

 住民が地方自治体に条例制定を求めるには、住民の五〇分の一の署名を得なければならない。 「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」は、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書の学習会を重ね、国際法を市民が活用するための工夫を凝らし、有事法制・国民保護法に対置する市民の安全宣言をめざして走り始めた(2)。

 無防備地区(地域)宣言条例づくりというほとんど前例のない運動(一九八五年に奈良市[*訂正――天理市の誤り]、一九八八年に小平市で取り組まれたという)を、大阪のような大都市で実現できるのか。無防備地域宣言を訴えて、果たして署名が集まるのか。期限は四月二四日から一ヶ月、目標は法定数の四万二〇〇〇。実は筆者は「もっと小さな都市で始めて実績を作ってから、大阪で挑戦したほうがいい」などと考えていたが、大阪市民は見事に目標を大きく上回る六万一〇四七人の署名を集め(3)、無防備地域宣言を盛り込んだ平和条例案を大阪市に提出して、条例制定の直接請求にこぎつけた。

 「大阪市非核・無防備平和都市条例(案)」第一条は、「戦争と武力を永久に放棄するとした日本国憲法の平和主義の理念、国是である非核三原則」を掲げ、「市民の平和と安全を保障することを目的とする」としている。同第二条は平和的生存権を確認している。同第三条第一項は「大阪市は、戦争に協力する事務を行わない」とし、同第五条第一項は「戦争の危機に際しては・・・・無防備地域宣言を行い、その旨を日本国政府および当事国に通告する」とし、第二項は平時において無防備地域の条件を満たすよう努力することとしている。さらに、同第六条は平和事業の推進、第七条は平和予算の計上を定めている。
 
 これに対して大阪市長は「自治体の権限を超える」という意見書を出し、大阪市議会は条例案を否決してしまった。「自治体は無防備宣言できない」という日本政府見解を鵜呑みにした拙速な判断である。 
 
 大阪市民の会は、大阪市の無防備地域の解釈自体が誤っている、自治体しか宣言できないという解釈も赤十字国際委員会の解釈に反している、ジュネーヴ諸条約は単に戦争のルールではなく国際人道法である、と批判している。
 
 二〇〇四年八月二七日、今度は枚方市民が走り始めた。「枚方非核・平和・戦争非協力(無防備)都市条例を実現する会」が、法定数の三倍を上回る二〇五〇六の署名を集め、条例案を市議会に提出した(4)。こうして無防備地区宣言を求める運動が各地に波及していくことになった。
 

二 軍隊のない地区
  ――ジュネーヴ諸条約第一追加議定書

 それでは、無防備地区(地域)宣言とは何か。

 日本政府が今年第一五九国会において「ジュネーヴ諸条約第一追加議定書(以下、第一追加議定書)」を批准した。第一追加議定書第五九条第一項は「無防備地区を攻撃することは、手段のいかんを問わず、禁止する」としている(これまで「無防備地域」と訳されてきたが、公定訳は「無防備地区」なので、以下これを用いる)。

 無防備地区の定義は第二項に規定されている。同条第二項は「紛争当事者の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近又はその中にある居住地区であって敵対する紛争当事者による占領に対して開放されているものを、無防備地区と宣言することができる」として、次の四つの要件を列挙している。

a すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること。
b 固定された軍事施設の敵対的な使用が行なわれないこと。
c 当局又は住民により敵対行為が行なわれないこと。
d 軍事行動を支援する活動が行われないこと。

 軍隊や軍事施設の存在と活動が問題となるが、同条第三項は、この地区にジュネーヴ諸条約で保護される者や警察が存在することは条件違反ではないとしている。戦闘行為のためではなく、もっぱら治安維持のために存在する警察との区別である。

 同条第四項は宣言の手続きを定め、紛争当事者の適当な当局が、「敵対する紛争当事者に対して」申し入れることとし、無防備地区の境界をできるかぎり特定することとしている。宣言通告を受けた紛争当事者は受領したことを知らせ、条件が守られているかぎり無防備地区として扱わなければならない。つまり、攻撃してはならないのである。

 無防備地区とは「軍隊のない地区」である。

 国際法は、軍事目標主義を明示している。武力紛争において軍隊が攻撃するのは、敵の軍隊であり、軍事施設である。軍事的合理性の観点に立てば、武力紛争においては敵軍の戦闘能力を効率的に奪うことが最大目標である。それ以外のものを攻撃するのは時間の無駄であり、弾薬の無駄である。人道法の観点に立てば、軍事目標以外のものを攻撃すること、つまり民間人や民用施設を攻撃することは人道違反であり、許されない。軍隊のない地区を攻撃する理由はまったくなく、許されない行為である。
 
 かつてスイスの平和運動が「軍隊のないスイス」を掲げて国民投票に挑戦したことがある。残念ながら実現しなかったが、平和運動の新しい形態を追及したものだ(5)。同様に、軍隊のない地区、戦争協力しない地区をつくりだすこと、それが無防備地区宣言運動の課題である。

三 無防備地区攻撃は戦争犯罪

 無防備地区を攻撃することは許されない。もし攻撃すればそれは戦争犯罪となる。

国際刑事裁判所(ICC)規程第八条第二項b(v)は「手段のいかんを問わず、無防備で、かつ、軍事目標となっていない都市、村落、居住地または建物に対する攻撃または爆撃」を戦争犯罪としている(6)。

 これは歴史的には一九〇七年のハーグ陸戦法規慣例規則第二五条の「防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ、之ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス」に遡る。訳文の日本語表記方法が異なるが、英文は一箇所「軍事目標となっていない」を除くと、同じ表現である。

 ハーグ規則第二五条について、ジャン・ピクテは「これは、住民が敵対行為を行なわないために発砲なしにその地域を占領できる場合は、不必要な危険と破壊から住民を守らねばならないというものである。長い間、軍事的性質をもたない都市を、開放都市と宣言することは慣習となってきた」として、「代表的な戦争法の中核」であると位置づけている(7)。
 
 旧ユーゴスラヴィア国際刑事法廷規程第三条は「手段のいかんを問わず、無防備の都市、村落、居住地または建物に対する攻撃または爆撃」を「戦争法規慣例違反」の戦争犯罪としている。「軍事目標となっていない」という部分がない点でICC規程第八条第二項b(v)と異なるが、その他は同じ表現である。

 無防備地区の解釈例としては、下田事件東京地裁判決が知られる(8)。広島原爆投下の違法性を提起した訴訟で、東京地裁は、例えば、次のように判示している。

 「防守都市・防守地域に対しては無差別爆撃が許されているが、無防守都市・無防守地域においては戦闘員及び軍事施設(軍事目標)に対してのみ砲撃が許され、非戦闘員及び非軍事施設(非軍事目標)に対する砲撃は許されず、これに反すれば当然違法な戦闘行為となる」、「防守都市とは地上兵力による占領の企図に対し抵抗しつつある都市をいうのであって、単に防衛施設や軍隊が存在しても、戦場から遠く離れ、敵の占領の危険が迫っていない都市は、これを無差別に砲撃しなければならない軍事的必要はないから、防守都市ということはできず、この場合は軍事目標に対する砲爆撃が許されるにすぎない。これに反して、敵の占領の企図に対して抵抗する都市に対しては、軍事目標と非軍事目標とを区別する攻撃では、軍事上効果が少なく、所期の目的を達することができないから、軍事上の必要上無差別砲撃が認められているのである。このように、無防守都市に対しては無差別爆撃は許されず、ただ軍事目標の爆撃しか許されないのが従来一般に認められた空襲に関する国際法上の原則である」。

 第一に、下田判決は、無防守都市(無防備地区)への攻撃は許されないことを確認している。この点は当然のことであり、本判決は日本の法学界においては大変有名で、しかも大変評価の高い判決で、多くの判例評釈が出ている。しかも、国際法の重要判例として海外にも紹介されている。

 第二に しかし、本判決は防守都市への無差別爆撃は許されているとする。これはハーグ条約以後の国際法の流れに沿わない議論である。ハーグ条約や第一追加議定書は、無防備地区以外であっても、民間人・民用施設への攻撃を否定している。無防備地区以外なら無差別爆撃が許されているという東京地裁判決には、疑問がある。

 ICC規程の解釈について、ウィリアム・フェンリクは、「無防備」には技術的な意味も含まれ、「合法的な軍事目標」概念に左右されることを指摘している。駐屯地、分離隊駐屯地、敵軍の占領地や通過地を意味する。医療部隊だけが占領している場合、無防備地区とはならないとする(9)。

 クヌート・デルマンは、ICC規程八条二項b(v)の戦争犯罪(無防備な都市村落等への攻撃)の例として無防備地区を掲げている(10)。デルマンは、無防備地区の要件を完全に満たしていない場合は、無防備地区としての保護を得られないが、その場合であっても、攻撃することはICC規程第八条第二項b(i)(ii)(iv)といった戦争犯罪となることがあると指摘している。
 
 ミヒャエル・ボーテも、第一追加議定書第八五条第三項dが「無防備地区及び非武装地帯を攻撃の対象とすること」を「この議定書に対する重大な違反行為とする」と規定していることを確認した上で、ICC規程の起草者は無防備地区を第一追加議定書よりも広い範囲に変更することは考えていなかったとする。つまり同じ範囲である。また、無防備地区宣言が行なわれたことが戦争犯罪成立要件であるのか否を検討して、形式的見地からは宣言がなされたことは必要ないとする。宣言がなされていなくても無防備の場所を攻撃すれば戦争犯罪だからである。ハーグ規則等は宣言を要件とはしていなかった(11)。
 
 また、デルマンは『米軍マニュアル』を引用している(12)。
 
 「ハーグ規則第二五条における無防備な場所は、敵軍が接触している地帯の付近又はその中にある居住地区であって敵対当事者による抵抗がなく占領に対して開放されているものである。無防備と理解されるためには、次の条件が満たされていなければならない(四要件が引用されているが、省略する)。」

 デルマンは『英軍マニュアル』も引用している(13)。

 「無防備の町または開放された町とは、敵が戦闘や死傷者を出さずに、その内外に出入りし、場所を確保できる完全に無防備の町である。」

このように米軍も英軍もマニュアルに無防備地区の説明を入れてきたのである。

四 憲法九条と無防備地区

  ジュネーヴ諸条約第一追加議定書とICC規程を活用して、日本の市民が無防備地区宣言運動を始めたが、これまで世界に無防備地区宣言を行なった例はないと言われている(14)。

 しかし、軍隊のない地区宣言は、もともと日本国憲法第九条に明示されていることである。憲法第九条は「軍隊のない国家」を宣言しているから、無防備国家宣言ということになる。無防備国家のはずの日本の政府が、憲法に違反して自衛隊を創設し、膨大な軍事予算をつぎ込み、挙句の果てに海外派兵を強行している。その日本政府が「自治体は無防備地区宣言をできない」などと主張しているが、疑問である。

 第一追加議定書五九条は、手続きの主体を「紛争当事者の適当な当局」としているが、この「当局」は英文では複数形である(appropriate authorities of a Party)。つまり、日本政府以外の主体
を含むことが想定されている。国家意思が分裂していることを想定はできないから、政府の一部局が勝手に宣言はできない。むしろ、地方自治体がこれに当たることになる。外交問題は政府の専権事項だとしても、地域住民の平和と安全と人権を守るのは地方自治体の責任であり権限である。平和憲法のもとでは平和行政こそ追及するべきである。憲法の理念を実現し、しかも憲法に従って条約を誠実に遵守すればいいのである(15)。

 日本政府は、「適当な当局」に自治体が含まれる可能性を全面否定しているわけではないようだが、有事法制が制定されている以上、これに抵触する無防備地区条例を自治体が制定することはできないとしている。

 しかし、有事法制は憲法に違反している。憲法九条に照らして容認されない(憲法九八条第一項)。また、「締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」(憲法九八条第二項)のであるから、国家の最高法規である憲法の第九条と、日本政府が締結した第一追加議定書五九条に従うのが当然である。無防備国家宣言をしている憲法の理念に即して第一追加議定書五九条の国内法化を進めるべきである。

 日本政府は、防衛・外交が政府の専権事項であることを前提として、武力攻撃を排撃するのは国全体の立場に立って判断するべきで、自治体が全体に影響を及ぼすような判断をするのは適切ではないとする。

 しかし、そもそも防衛が政府の専権事項であるという主張には憲法上の根拠がない。

 仮に防衛が政府の専権事項であるとしても、防衛の方法は憲法九条に合致した方法でなければならないのに、日本政府は憲法違反の既成事実を積み重ねてきた。
 
 次に、一般的な外交権はたしかに政府にあるが、だからと言って自治体による平和行政を否定することにはならない。地域住民の安全と生活に責任を有する自治体が、そのための施策として平和行政を行なうのは当然の責務である。日本国憲法と地方自治法のもとでは、法令解釈権は自治体にあると考えられる。ここには国際法、憲法、地方自治法の三者の重なりあいと矛盾があり、加えて国民保護法の制定によって事態が複雑化されているように見える。

 しかし、憲法九条の理念と、第一追加議定書の思想と、無防備地区条例との間には、何ら矛盾がない。矛盾しているのは憲法違反の日本政府だけである。

五 国民を保護しない政府

 第一追加議定書五九条を根拠に無防備地区宣言に取り組むのは、憲法九条の理念を地域で復権させることである。せっかく憲法九条がありながら、政府がそれを守らず、形骸化・空洞化の一途をたどってきた上、ついには有事法制において国民無視の「国民保護法」を制定した現在、日本社会の中でも憲法九条の理念が忘却されつつある。既成事実に押し流され、仕方がないと諦め、憲法改悪の流れに乗せられそうな日本社会に、自らの頭で平和について考えなおすことを求めることが必要である。

 そこで次に検討の素材とするべきは国民保護法ということになる。

 日本政府は、自衛隊海外派兵を進めるとともに、国内における総力戦体制を構築するために、「武力攻撃事態」などの「危機」をあおりながら軍事優先・戦争協力の社会風潮をつくってきた。その総仕上げが有事法制であり、社会との関係では国民保護法である。

 それでは国民保護法は「国民を守る」のだろうか。実はそうではないことがすでに憲法学者によって指摘されてきた(16)。
 国民保護法のもとでの政府と自治体の関係は、総務庁および消防庁を介在して編成される。現実には消防庁の提供する情報に基づいて自治体が各種の取り組みをすることになる。そして、国民保護法は、都道府県知事や市町村長に対して、国民保護のための訓練・物資の備蓄・体制整備などを網羅した「国民保護計画」を策定することを義務付けている。「国民保護計画」のモデルケースとして知られるのは、ミサイル攻撃やテロ攻撃への対処を想定したものである。

 しかし、実際には住民の保護など実現できない。消防庁と自治体とが緊密に連絡体制をとって、できうる限りの努力を行なったとしても、日本のような人口密集地で住民が避難することはできない。仮にミサイル攻撃が予測されるとして、いったい誰がどのように情報収集して、避難方法と避難場所を判断し、住民を誘導して避難させるのか。少しでも考えれば、非現実的な話であることがわかる。

 一九九五年の阪神淡路大震災や二〇〇四年の中越大震災の現実を見れば明らかなように、この国では地震や火山噴火などの「災害」時に、住民が被災現場で耐え忍び、懸命に生きぬくしかないのである。政府や自治体ができる限りの努力を行なったとしても、現実の災害救助は遅れに遅れて登場するしかない。

 武力攻撃事態等となれば、いっそう矛盾が露呈する。なぜなら、「災害」時には自衛隊も住民救出に役割を果たしてきたが、武力攻撃事態等において自衛隊は住民保護を行なわないからである。自衛隊は防衛出動と称して軍事行動に専念してしまうからである。自衛隊の協力を得られない状態での、しかも緊急非常事態において、自治体がいかにして住民保護を行なうことができるだろうか。まして、軍事行動を優先させる自衛隊にとって、住民避難活動は阻害要因とみなしかねない。

 「国民を保護する」ことを考えるならば、日本政府はまず何よりも「武力攻撃事態等」を発生させないように日ごろから徹底して平和外交を展開するべきである。ところが、日本政府は、日米安保条約を締結してアメリカの核の傘に入り、アジアに敵対してきた上、朝鮮半島や中国での緊張を高める帰結をもたらしてきた。自衛隊イラク派兵によって、日本はアメリカ軍事戦略に加担し、アジア敵視政策をいっそう露骨に取り始め、危険な「武力攻撃事態ゲーム」をもてあそぶ姿勢である。


六 運動を飛躍させるために

 国民保護法は、その名称とは裏腹に、戦時動員法であって、国民を保護しない。それどころか、戦争協力しない国民を排除し、異端視する。まして「国民」ではない住民を抑圧する。

 平和と安全を求める地域住民は、国民保護という上からの統制に踊らされるのではなく、自らの力で平和と安全をつくり出すために、平和の文化を鍛えなければならない。地域の平和を守るためには、紛争を予防し、起させないための平和行政を推進し、地域発の平和住民外交を展開していくべきである。軍隊で平和を築くことはできない。軍隊のない地区をつくり、軍隊のない世界を目指しながら、非暴力による平和づくりのネットワークを作り上げる必要がある。

 大阪市民の会は、市議会で否決されたものの、条例制定運動により市民が市議会を動かしたとして次のように総括している。第一に、平和条例案の一点を議案にして臨時市議会を開催させたこと。第二に、本会議で条例制定請求代表者が二五分にわたる意見陳述を行った。第三に、四時間に及ぶ委員会審議を行わせた(大阪市議会では異例の長時間)。
 
 こうした自覚的な運動を基礎に、憲法の理念を再獲得していくことが必要である。無防備地区宣言運動は、市民が国際法を活用して、憲法九条の理念と地方自治の本旨を実現するために取り組むという点に重要な意義がある。
 
 現在、奈良、大津、西宮でもウオーミングアップ中である。関東でも、国立、荒川、板橋、藤沢などで声が上がり、手が上がっている。荒川区では、二〇〇五年一月一四日に署名集めをスタートさせる予定である。

 無防備地区宣言運動を各地に広め、憲法前文の平和的生存権と憲法九条の戦争放棄・平和主義を地域に定着させ、憲法改悪反対運動へつなげていくことが必要だ。「憲法九条を守れ」と主張することは重要だが、「守れ」といい続けてきて守れなかった歴史を考えるならば、「守れ」というのと同時に「守らせる政策提言」をしていく必要がある。

 無防備地区宣言運動は市民主体の地域の平和運動だ。しかし、条例制定運動であるから、条例案の作成、市議会へのアクセスなど法律家にも役割がある。日本政府見解の誤りを追及し、市議会に条例を制定させるために、一人でも多くの法律家が運動に加わることを期待したい。


(1)http://peace.cside.to/
(2)http://peace.cside.to/muboubi_osaka/
(3)「無防備地域宣言の条例化--地方から広がる非戦運動」神戸新聞二〇〇四年八月二〇日。澤野義一「広がる無防備地域宣言運動」法と民主主義三九〇号(二〇〇四年七月)。
(4)http://peace.cside.to/muboubi_hirakata/
(5)伊藤成彦『軍隊のない世界へ』、同『軍隊で平和は築けるか』(いずれも社会評論社)。
(6)国際刑事裁判所規程第八条第二項bは、民間人や民用施設等に対する攻撃を戦争犯罪としている。「(i)一般住民または敵対行為に直接参加していない民間の個人に対する意図して攻撃を加えること、(ii)民用物すなわち軍事目標ではない目的物に対して意図して攻撃を加えること、(iii)国際連合憲章に則り人道的援助または平和維持活動に関与する人員、施設、物資、部隊または車輌であって、武力紛争に関する国際法において文民または民用物に対して与えられる保護に値するものに対して意図して攻撃を加えること、(iv)攻撃が、予期された具体的かつ直接的な軍事的利便に照らして明らかに過剰となる、民間人の生命の損失もしくは負傷または民用物への損害もしくは自然環境に対する長期的重大な損害を付随的に含むことを知りながら、意図して攻撃を加えること」。
(7)ジャン・ピクテ『国際人道法の発展と諸原則』(日本赤十字社、二〇〇〇年)。戦前日本におけるハーグ条約の理解については、前田朗『民衆法廷の思想』(現代人文社、二〇〇三年)第四章参照。
(8)東京地裁判決一九六三年一二月七日(下民集一四巻一二号二四三五頁、判時三五五号、判タ一五五号)。本判決は原爆投下の違法性を指摘した点で高く評価されているが、「無防守都市」への無差別都市爆撃が許されていると述べている点は疑問である。なお、樋口一彦は「五九条で規定される無防備地域及び六〇条で規定される非武装地帯は、この無防守都市とは全く別の制度である」と述べている(樋口一彦「原爆投下の違法性」国際法判例百選・ジュリストNo.156)が、根拠を示していない。後掲註(10)のデルマンは同じ制度と見ている。
(9)William J. Fenrick, War Crimes, in: Otto Triffterer (ed.), Commentary on the Rome Statute of the Internatinal Criminal Court. Observes' notes, Article by Article, Nomos Verlagsgesellschaft, 1999, p.197-198.
(10)Knut Doermann, Elements of War Crimes under the Rome Statute of the International Criminal Court, ICRC, Cambtidge,2002, p.179-182.
(11)Michael Bothe, War Crimes, in: Antonio Cassese, Paola Gaeta & John Jones (ed.), The Rome Statute of the International Criminal Court: A Commentary, Volume 1, Oxford, 2002, p.401.
(12)Doermann, p.182. デルマンからの再引用である。その出典は以下であるという。US Department of the Army, Field Manual, FM 27-10, The Law of Land Warfare(1956), No.39, as amended on 15 July 1976.
(13)Doermann, p.183. これもデルマンからの再引用である。The Law of War on Land being Part III of the Manual of Military Law (HMSO,1958),p.97.
(14) 「世界にない戦争非協力のまち 高い壁でも市民は模索」朝日新聞二〇〇四年一一月二〇日。二〇〇四年六月三日に赤十字国際委員会本部(ジュネーヴ)を訪れて取材した矢野秀喜さん(無防備地域宣言運動全国ネットワーク)によると、同委員会法規部の担当者は無防備地域の具体例について情報を持っていなかったという。
(15)澤野「広がる無防備地域宣言運動」前掲。
(16)たとえば、岡本篤尚「国民『保護』という幻想」世界七二四号(二〇〇四年)、水島朝穂「『国民保護』法制をどう考えるか」法律時報七六巻五号(二〇〇四年)、本多滝夫「『有事法制』と『国民保護法案』」法律時報七六巻七号(二〇〇四年)。なお、斉藤貴男「『自警団』か『無防備都市』か」法学セミナー五九九号(二〇〇四年)。さらに、藤中寛之「自治体による『無防備地域』宣言の意義と課題――『国民保護法制』における沖縄戦の教訓の制度化とジュネーヴ諸条約追加第一議定書第五九条」沖縄大学地域研究所所報三〇号(二〇〇三年)は、「反戦思想」だけでなく、軍事的合理性もあわせて考慮した自治体による無防備地区宣言の検討を追及している。

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