2006年03月28日

品川区議会審議について

品川区議会における無防備平和条例審議の到達点と今後の課題    
                           無防備地域宣言運動全国ネットワーク事務局
1.はじめに
 1月19日品川区議会は、品川無防備平和条例を総務委員会で審議し、これを否決した。04年大阪市から始まった無防備平和条例制定を求める運動は、またしても自治体当局・議会の壁に阻まれて条例制定を実現することはできなかった。しかし、条例否決という結果に変わりはないものの、条例案をめぐる審議は大きく変わった。審議内容は深まり、無防備平和条例実現の展望は切り開かれてきている。このことを品川区議会審議の到達点を整理することを通じて明らかにする。

2.条例を実現するか否かは自治体当局・議会の判断にかかっている!
 平和的生存権(憲法)と文民保護規定(ジュネーブ条約第一追加議定書)、そして住民主権・地方自治に基づき自治体は無防備平和条例を制定できる、実際に制定するか否かは首長と議会の判断にかかっている―これが品川区議会審議を通じて見えてきた。
 何故このように結論づけられるのか、その根拠を以下に明らかにする。

  1. 無防備地域の宣言主体=「適当な当局」について、自治体当局も宣言主体となりうるという赤十字国際委員会コメンタールが事実上承認された。コメンタールが言う「困難な状況」とはどのような状況をさすか、そのような状況に陥った場合の宣言の可能性・有効性にまで踏み込んだ審議が行なわれ、宣言主体の「国家独占」の誤りは明白となった。「防衛に責任をもつ当局、即ち、政府だけが宣言する権限をもつ」とする、「宣言主体=4条件整備主体」論(同一主体論)を退けたと言える。
  2. 日本政府が批准・発効したジュネーブ条約追加議定書=文民保護規定を、住民自治・地方自治に基づいて自治体が具体化する条例を制定すること(国内法化)の可能性、意義が審議を通じて明らかとなった。  自治体は本来その立法権を有するが、政府が国内法化を怠り、または極めて不十分にしか法整備を行なっていない場合には、自治体が自主的、「上積み」的に立法化する権限を有していることが反対派をも含めてほぼ共通の認識となった。
  3. 条例案審議において品川区当局は、文民保護を規定したジュネーブ条約追加議定書、国際人道法の意味について、基本的には、正確な理解、本来の解釈に基づいた答弁を行なった。文民保護規程についての無理解・曲解に基づく議論はほぼ影を潜めた。無防備平和条例制定に反対するあまりに、ジュネーブ条約追加議定書、文民保護規定の意義すら否定するという議論・審議に自治体当局は組することができなくなってきた。

3.今後の運動の課題・展望
 上記のように、無防備平和条例制定をめぐる最大の争点・論点であった、「宣言主体」をめぐる議論についてはほぼ決着がついた。論理では「勝った」のである。それ故、あとは運動の力で突破していくだけであり、もっと運動を大きくし、自治体首長・議会に決断を迫っていくことが問われている。
 それと同時に確認すべきは、赤十字国際委員会コメンタール2263号である―「ある地域は第2項に定める条件を満たしたときに無防備地域となったものと見なされる。一方的宣言や協定は、この状況を確認するものであってそれ以上ではない」。自治体が、平和的生存権の具体化、文民保護のために、当該自治体を無防備地域とするための条件整備を図り、それを満たすことこそが重要なのである。「戦争に協力しない・させない町」づくりを進め、4条件を満たす地域としたならば、その地域は「無防備地域となったものと見なされる」のである。自治体はそれを自らの権利として正々と進めることができ、誰にも妨げられることはない。
 今後の無防備平和条例制定の直接請求運動の中では、宣言主体をめぐる論争における勝利を踏まえ、平和的生存権と自治権をもっと前面に出して、無防備地域4条件を整備する町づくりに対する住民・首長・議会の支持・同意をかちえるような運動を展開していこう。

投稿者 全国ネット : 02:37 | トピック /| 東京都品川区 | トラックバック (0)