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   【原子力災害対策指針と自治体防災計画】  2012年11月
  原発敷地内でないと避難できない?
 
市民の命と健康を守らない原子力規制委「防災指針」は撤回を!
          
                   
 
 高被曝を強要する「防災指針」 

 10月31日に原子力規制委員会は原子力災害対策指針(「防災指針」)を決定した。これは、原子力産業の擁護、推進を最優先としているICRP(国際放射線防護委員会)及びIAEA(国際原子力機関)の思想とリスク基準を住民におしつけ、住民に内部被曝も含めた放射線被曝の受忍を強制するものである。市民の健康と命をはなから守る気がないこの「防災指針」は断じて認められない。直ちに撤回を求め、PAZ、UPZ圏内各自治体にもこの「防災指針」に基づく防災計画は作成するなということを求めていく必要がある。
 原子力防災計画の策定は、この「防災指針」を撤回させ、ICRP及びIAEAの基準を前提にするのではなく、ECRR(欧州放射線リスク委員会)をはじめとした原発推進でない知見を取り入れ、福島事故での防災・避難の実態を踏まえ、市民や自治体との議論を通じて新しい「防災指針」のもとで行われるべきである。

 防災指針」の問題点  経済優先、高すぎる避難基準

①基本的考え方にICRP及びIAEAの思想とリスク基準を持ってきており、経済性優先で健康と命をまもる視点にかけている。「防災指針」では、「IAEAやICRP等の国際基準に照らし」「ICRP等の勧告やIAEAの原則に則り…」と明示し、また、「放射線防護技術と社会的因子、経済的因子等の調和を図り…費用や社会的要因を考慮する」としている。
 
②現在と同様に、事故後の居住について年20mSvの避難基準を導入していること。「第4 原子力災害事後対策」の「(ⅱ) 現存被ばく状況における防護措置の考え方」で「1〜20mSv/年」と記載。これでは、また市民に無用の被曝を強いることになる。

③避難のためにあらかじめ定める基準(EALやOIL※註)がIAE A基準を基に7日間100mSvと高い数値に設定されようとしている。
 IAEA「GS‐R‐2※註」では「最初の7日間→100mSV(実効線量)で屋内退避、避難、除染」を定めており、「防災指針」には「…OIL等の具体的な基準については、今後、IAEAの国際基準を踏まえ…原子力規制委員会において検討を行う」としている。
  
 なお、この数値はフクシマ事故に比すると、原発敷地内か5キロ地点でしか避難できないほど高い数値になる。避難指示が遅れ住民は無用の高い被曝を強いられることになる。
 ・7日間100mSV→1時間当たり595μSV
 ・3・11の空間線量で、この595μSVを超えていたのは、福島第1原発の敷地内(11,900~1,200μSV)と大熊町大野(5キロ地点)の616μSVしかない。(飯館村(39キロ地点)は44.7μSV)

④30kmの重点防災対策区域(UPZ)は狭すぎる。福島原発事故では60km離れた飯舘村も避難区域となり、規制委員会が公表した被ばくシミュレーションでさえも、30km超えても7日間で100mSvに達する地点があるとしている。30kmに限ったUPZとの整合性がない。
※註

⑤30km外のプルーム(放射性雲)による被ばく対策は不明で、「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(PPA)」は「今後検討」と無視している。
 しかし、福島事故での飯館村の実例や岐阜県や滋賀県のシミュレーション調査では、「年間100ミリシーベルト以上の外部被ばくを引き起こす放射性物質が滋賀県の琵琶湖に降り注ぐ」(岐阜県)「琵琶湖を含む滋賀県北部の574平方キロで内部被曝量が100ミリシーベルト以上500ミリシーベルト未満」(滋賀県)とされており、30キロで区切ることは極めて非現実的である。
 PPAを「今後検討」とすることは、その地域を何もせず放置し、住民を危険にさらすことに他にならない。

⑥避難に伴う補償や「避難の権利」などについて何も考慮されていない。

   狙いは再稼働のクリア。策定ありきの「防災計画」にNOを!
 

 規制委は、この「防災指針」に基づいて30キロ圏UPZ自治体に来年3月までに「防災計画」を策定させるとし、田中委員長は防災計画策定を再稼働の前提条件とした。
 「防災指針」に基づいて、自治体が防災計画を策定しようにも、30キロ圏は都道府県・市町村が入り組み、避難計画は食糧・飲料水・住居・教育・医療等々含めて一自治体で完結するものではない。また、対策のための予算や国と自治体の分担も未定で、今後総務省消防庁を中心にモデルマニュアルを11月中に策定するという。

 しかし、国民保護計画では、基本マニュアルは各自治体とも国のマニュアル丸写しでとりあえず作成したが、避難計画に至っては、どの自治体も要援護者の避難計画さえも策定できず棚晒しにしたまま、国(消防庁)はその指導すら行っていないのが現状である。
 自らの自治体内での一部の避難計画さえ策定できないのに、30キロ圏の全国480万人もの(関西では合計125万人)避難計画など自治体で策定のしようもないことは明白である。

 「避難基準の「七日間で一〇〇ミリシーベルト」は、一般人の年間被ばく限度の「年間一ミリシーベルト」の百年分を、たった一週間で浴びる高い数値。立地自治体が、これほど高い値を頼りに柔軟な防災計画を立てられるのか疑問。」(東京新聞10/24)である。

 公助2割、自助8割を強調(国民保護モデル計画)した自助努力に基づき、ICRP及びIAEAの基準のみ明確にし、肝心の避難計画は後回しの防災計画とは言えない杜撰な計画をとりあえず策定させて、再稼働のための要件が整ったとしたいのであろう。

 しかし、問題点だらけのこの「防災指針」では、自治体担当部局は高被曝を強いる杜撰な「防災計画」は体裁をととのえられても、市民の命を守る「防災計画」の策定はできない。

   最大の防災計画は原発の廃止

 最大の原子力防災は、「ただちに全原発の廃炉」である。(もちろん、廃炉に至る過程での原子炉の解体、使用済核燃料や高レベル放射性廃棄物の管理は必要でそのための原子力防災体制は必要。)
 「防災指針」の問題点を指摘し、自治体を追及し、規制委員会の「防災指針」では計画は策定できない、の声をあげさせ撤回を迫ろう!自治体に「防災指針」に基づく「防災計画」を策定させない取り組みを行おう。


註:EAL…外的事象の発生に着目しながら、原子力施設の状態等で表される「緊急活動レベル」

OIL…放射性物質の濃度等、環境において計測可能な値で表される「運用上の介入レベル」
GS‐R‐2…国際原子力機関による安全基準シリーズNO. GS-R-2「原子力又は放射線の緊急事態に対する準備と対応 安全要件」のこと。この中で、「緊急防護措置と他の対応措置に対する包括的判断基準」として「最初の7日間で50mSV(甲状腺の線量当量)→よう素甲状腺ブロッキング、最初の7日間→100mSV(実効線量)で屋内退避、避難、除染」(P11)を定めている。

UPZ対象自治体 全国45から135自治体へ拡大 人口71万人から480万人

関西のPAZ(予防的防護措置を準備する区域 5キロ圏) 敦賀市、美浜町、おおい町、高浜町、舞鶴市 約18万8千人

関西のUPZ(緊急時防護措置を準備する区域 30キロ圏)福井市、越前市、越前町、鯖江市、池田町、南越前町、若狭町、小浜市、岐阜県揖斐川町、長浜市、高島市、京都府伊根町、宮津市、綾部市、丹波町、南丹市、福知山市、京都市左京区 約106万2千人

関西のPPA(プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域)※これを従前のPPZ50キロ圏と仮定すると 坂井市、永平寺町、勝山町、大野市、岐阜県本巣市、米原市、大津市、京丹後市、与謝野町、亀岡市、京都市(右京区、北区)、豊岡市、丹波市、篠山市 約128万人 
 
 原子力 規制委指針の撤回、指針に基く自治体防災計画策定に反対しよう!

     原発廃止こそ、最大の防災。自治体は市民を守る責務を果たせ!
 
 規制委員会指針の基準及び自治体防災計画策定の現状  (2013年1月)

○規制委員会の避難新基準案~2012/12/27検討チーム会合提案 未決定

 環境において計測可能な値で表される「運用上の介入レベル(OIL)」の具体的基準
 ・緊急時避難規準  500μSV/時(実効線量50mSV/週)  ⇒数時間以内に避難 
 ・早期防護一時避難 20μSV/時(20mSV/年)  ⇒1週間以内に一時移転
 ・飲食物摂取制限  0.5μSV/時(5mSV/年) 

 これはシミュレーションの7日間100mSVの半分と宣伝されているが、それでも高すぎる値で、住民を無用な被爆にさらすもの。EX高濃度汚染の飯館村(39キロ地点)は44.7μSV/時
 また、UPZの30キロ圏も見直されず。飯館村は言うに及ばず、60キロ以上離れた福島や郡山でも20μSV/時以上の線量が計測されたが、それも考慮されていない。さらに福島20mSV規準がどうだったかという振り返りもない。12/27会合では、「7日間100mSVに」(本間、下道)「避難基準を厳しくすると避難を強いることになる」(中村)と市民の命と健康を守るという観点はまったくない議論。

○自治体防災計画策定の現状

 PAZ(5キロ圏)UPZ(30キロ圏)自治体では、作業に着手するものの進んではいない。
 基本的に国任せで追随であるが、自治体担当者とて意見は持っている。住民の命と健康を守る自治体の責務で追及することが必要である。

「指針は枠組みだけでかなり曖昧。EAL、OIL、ヨウ素剤配布のタイミングなど肝心なところが示されていない。規制委からは順次指針を改定していくと説明を受けている。UPZはおおよその目安で、PPAは今は具体的に表示されていない。県としては、影響を一律的に決めるものではない。科学的なシミュレーションでないと。規制委は現状は従来のシミュレーションで同心円状のものを示している。県としてもものを言っている。基準は国の専門家集団が判断することである。これをベースに、県でも医療検討部会で検討していく。甲賀についてはPPAなどを国に言っている。」(2012/11滋賀県防災危機管理局)

「IAEA規準の引き写しでなく、科学的根拠がないと国民の不信を招く」
「低線量被ばくによる健康被害も考慮されているのか」
「住民の無用な被曝防止を」
「PAZが避難を開始すればUPZの住民も避難し始める。分けることに意味はない。このままでは防災計画は絵に描いたもちになる。」
「数値の根拠がない」
「500μSV/時という平常時の1万倍の数値は住民の理解を得られない」
「プルームの寄与は考慮しないのか」
(以上、規制委新基準案への自治体意見 規制委HPより 自治体名公表なし)

 原発は絶対的リスク 避難(廃炉)すべきは原発

 自然災害は防げない。おきたら避難するしかないのだから。だから防災計画・避難計画は必要。しかし、国民保護計画もそうだが、人為的なものは防げる。避難しなくてもその原因を取り除けば、避難計画など必要ないのだ。つくらなくていい原発を作り、福島の教訓に学ばす原発を再稼動していくために、事故が起きた際の避難計画が必要になってくるのだ。事故を生む直接の原因である原発の稼動を止めて廃炉にすればいいだけの話。電気や経済はあとからついてくる。原発を稼動させて、その結果事故のため強制的に避難させることは、人間の命を脅かし、居住権、教育権をはじめ平和のうちに暮らす権利を奪い、仕事も奪ってしまうもの。であるならば、人類の生存を脅かす原発を稼動をさせることを前提とした「避難計画」は、作ってはならない。

 まず、廃炉を決定し、今ある危機を除去した上で、廃炉作業上におこるリスクとしての避難計画と防災計画を作るべきであろう。

 規制委員会「防災指針」撤回  「指針」に基づいた避難計画作成反対

 中央政府が原発推進なら地域自治体から反原発の運動・ネットワークをつくり実質化させない取り組みをつくることが必要である。自治体には市民の命を守るという最大の責務がある。そのために行政権を行使することこそ必要である。そこになこそ、自治体の法的根拠が存するのだ。
 「防災指針」の問題点を指摘し、自治体を追及し、規制委員会の「防災指針」では計画は策定できない、の声をあげさせ撤回を迫ろう!まず大飯稼動停止の表明をせよ、と要求しよう!